じじぃの「死ぬということ・第3章・健康診断・運動をする!死の雑学」


BMIと死亡率の関係


日本人の死因 : 26.5%が「がん」で死亡、老衰も急増―21年人口動態統計

2022.06.07 nippon.com
がん・脳卒中心筋梗塞(こうそく)が3大疾病と呼ばれるが、中でもがんは日本人の死因の4分の1強を占める。
https://www.nippon.com/ja/japan-data/h01351/

肥満指数(BMI)と死亡リスク | 現在までの成果 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究

国立がん研究センター がん対策研究所
BMIと死亡リスクの間には逆J型の関係が見られる
図は、今回の分析で得られたBMIによる全死因および死因別の死亡のリスク(ハザード比)を男女別にグラフにしたものです。
BMI23-25を基準(ハザード比=1)として、各BMIグループと比較した相対リスクで示しました。死亡率に影響を与えうるBMI以外の要因(年齢、地域、喫煙、飲酒、高血圧の診断歴、糖尿病の診断歴、余暇のスポーツ・運動)について、それらの偏りが結果に影響を与えないように、ハザード比には統計的補正が施されています。
https://epi.ncc.go.jp/can_prev/evaluation/2830.html

中公新書 死ぬということ――医学的に、実務的に、文学的に

黒木登志夫【著】
【目次】
はじめに
第1章 人はみな、老いて死んでいく
第2章 世界最長寿国、日本

第3章 ピンピンと長生きする

第4章 半数以上の人が罹るがん
第5章 突然死が恐ろしい循環器疾患
第6章 合併症が怖い糖尿病
第7章 受け入れざるを得ない認知症
第8章 老衰死、自然な死
第9章 在宅死、孤独死安楽死
第10章 最期の日々
第11章 遺された人、残された物
第12章 理想的な死に方
終章 人はなぜ死ぬのか――寿命死と病死

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『死ぬということ――医学的に、実務的に、文学的に』

黒木登志夫/著 中央公論新社 2024年発行

「死ぬということ」は、いくら考えても分からない。自分がいなくなるということが分からないのだ。生死という大テーマを哲学や宗教の立場から解説した本は多いが、本書は医学者が記した、初めての医学的生死論である。といっても、内容は分かりやすい。事実に基づきつつ、数多くの短歌や映画を紹介しながら、ユーモアを交えてやさしく語る。加えて、介護施設や遺品整理など、実務的な情報も豊富な、必読の書である。

第3章 ピンピンと長生きする より

1 健康を維持する

(1)毎年1回は健康診断を受ける
死に至る病気はべき乗則にしたがう
死亡ランキング上位の死因について、べき乗則分析をした。その結果、すべてべき乗則にしたがい、その指数は5前後にあることがわかった。例外は、老衰の17.9である。
年をとることが前提にあるので、これは当然であろう。
多くの自然現象と比べると、指数(絶対値)は非常に大きい。このことは、年齢を積み重ねるにしたがい、病気になる要因、ターゲットが積み重なっていくことを物語っているのであろう。
   
(2)タバコをやめる
(省略)

(3)酒は飲み過ぎない
(省略)

(4)メタボリック・シンドロームにご用心
小太りが1番長生きする
肥満の程度を表すのにBMI(Body Mass Index)という指標がある。体重(kg)を身長(m)で2回割ると得られる。日本では、BMI與が18.5から25を普通体重、18.5以下を痩せすぎ、25以上を肥満と呼んでいる。しかし、WHOの基準では、BMIが25~30は肥満とはいわず、太り過ぎ(Overweight)である。WHOの肥満(Obesity)はBMIが30以上である。
BMI30以上の男性は、日本では2.8%にすぎないが、アメリカ人男性ではその10倍、28.1%に達する。

日本の7つの追跡調査の35万人のデータをプールし、BMIの水準と10年以上にわたる死亡率を追跡したデータによると、図(画像参照)にみられるように、BMIと死亡率の関係はU字型になる。つまり、痩せすぎに肥満と同じように死亡率が高い。死亡率が1番低いのは男性ではBMI23~27、女性では21~27である。つまり、「小太り」くらいの方が死亡率が低いのだ。痩せすぎも健康によくない。特に妊婦の痩せすぎは子どもに影響する。
   

(5)運動をする
現代社会は、便利さを求めるなかで、人々が体を動かさなくてもすむようになってきた。どこにいくにも車がある。階段の代わりにエスカレーター、エレベーターがある。思い荷物は宅配便が運んでくれる。子どもたちは、外で遊ぶ代わりにゲームに夢中だ。加えてコロナ禍である。

運動不足は、重要な病気に影響する。2012年、『ランセット』誌に発表された世界各国の分析によると、日本は特に運動不足が目立ち、前死亡の16.1%は運動不足によるという。運動不足が関わる生活習慣病には次のような病気がある(カッコ内%は運動不足の寄与率)。

 ・冠動脈疾患(10.0%)
 ・高血圧
 ・メタボリック・シンドローム
 ・2型糖尿病(12.3%)
 ・乳がん(16.1%)
 ・大腸がん(17.8%)

運動不足が解消すれば、日本の平均寿命は0.9年延びるという。
   

1日8000歩、週2回歩けば十分効果がある
運動不足解消には、有酸素運動によって、酸素とともに、糖質、死亡を消費するのがよい。1番手軽なのはウォーキングである。歩数計をつけて歩いている人も少なくない。

週に何回、どのくらいの歩数を歩けば、死亡率を下げることができるであろうか。日本を含む15の研究(対象者4万7500人)をメタ分析したところ、次のような結果が出た。

 ・60歳以上:1日6000歩から8000歩歩くと、7年後の死亡率が低い。それ以上歩いても効果は増えない。
 ・60歳未満:1日8000歩から1万歩歩くと、7年後の死亡率が低い。

さらに、京都大学の井上浩輔は、カリフォルニア大学と共同で、1日8000歩を週に何回歩けばよいかを検討した。その結果、週に2日歩けば十分効果が得られることがわかった。