中国人難民 命がけの亡命
アメリカへ“亡命”目指す中国人が急増? いったいなぜ?
2023年7月12日 NHK
メキシコ国境越える中国人が急増 その実態は?
いったい何が起きているのか。
取材を進めた結果、「ことし2月に入国し亡命申請中の男性がいま、ニューヨーク市で暮らしている」という情報を入手し、われわれはニューヨーク市に向かいました。
中国語の看板を掲げた店が建ち並ぶ通りから車で5分ほど走ると、男性が暮らしている住宅にたどり着きました。
出迎えてくれた男性の名前は李小三さん、年齢は42歳です。
https://www3.nhk.or.jp/news/special/international_news_navi/articles/feature/2023/07/12/32966.html
『日本のなかの中国』
中島 恵/著 日経プレミアシリーズ 2024年発行
日本国内に、中国人だけによる「経済圏」が形成されていた!
在日中国人社会の驚くべき実態を、豊富な取材で明かす迫真のルポルタージュ。
4章 日本に来たい中国人 中国に帰りたい中国人 より
日本に「とりあえず」移住する人々
知人の中国人から教えてもらったのは、60代で来日した歯科医師の話だ。その人は中国の大都市で勤務医として働いたあと、独立して院長までつとめた。しかし、日本で働けないかと考え、都内で中国人が経営する歯科医院に打診してきたそうだ。日本の歯科免許は取得していないため、歯科医としては働けないが、患者の矯正プランなどを作成する医療コンサルタントとして採用されたという。
知人によると、その人は日本に移住したい理由を明かさなかったが、来日をかなり急いでいたという。
「中国ではもともと医師の地位が低く、給料も安い。これまでは患者からの付け届けなどで補填してきましたが、「反腐敗」を掲げる習近平政権になって取締りが厳しくなり、このまま中国で医師を続けられないと感じたのではないでしょうか。ゼロコロナの影響で病院が経営難に陥ったという理由も考えられます」(知人)
医師、弁護士は、日本では社会的地位も収入も高い仕事だが、中国ではそうっではない、むしろ逆だ。弁護士でも、国際業務ならばまだいいが、国内の企業法務などは報酬がかなり少ない。そういう人の中には、日本に移住し、弁護士事務所で中国関係の仕事をしたい、と考える人増えているという。
取材していて感じるのは、一部を除き、最近の移住者は日本に対する憧れや関心はあまり持っていないということだ。
日本への一定の理解はあり、日本人に好意を持っているものの、これまで日本との接点はほとんどなかった。むろん、日本語もできない。そのため努力して日本に溶け込みたいと考えているわけではない。
あくまでも身の安全や資産のリスクヘッジなどのために、とりあえずの転居先として「近い、安い、治安がいい」、そして在日中国人も多く、協力者も身近にいて便利な日本を選んでいるに過ぎない。プロローグに書いたように、当然、友人はほとんど中国人だ。
かつての中国人は、日本に来たら、日本社会に溶け込むよう努力したものだったが、今はそうではない。日本に来たら、まず日本の「中国人社会」に溶け込むのだ。
「とにかく中国を出たい」が生む不正
ある中国人の行政書士から、「潤」してくる中国人の一部が「経営・管理ビザ」を不正に取得しているという話を聞いた。
それは、「何が何でも中国から脱出したい」という目的の人が増えていることと関係する。
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富裕層の多くはビザを取得するために、中間業者である移民コンサルタント会社に依頼。そこを通じて行政書士 に手続きを依頼するという流れだという。
もちろん、日本で真面目に事業を行おうとする人もいるが、中には納税義務を果たしていない人もいる。このような問題が起こる背景には、「とにかく中国を出たい」という目的があるからだ。