ラッコ - キーストーン種
ラッコが消えれば海が死ぬ
ラッコが消えれば海が死ぬ――たった一種の絶滅が招く生態系の崩壊(山田 俊弘)
2020.07.16 講談社
リベット説は、生態系をジェンガにたとえるとわかりやすくなります。
ジェンガというのは、直方体のパーツを組んでつくったタワーを崩さないように注意しながら、片手でタワーからパーツのひとつを抜き取り、それを最上段に積み上げる、という動作を交代で行うゲームです。タワーを崩したプレーヤーが負けです。
ここでは、タワー全体が生態系に相当し、タワーの崩壊は生態系の消失を意味します。当然、生態系機能も失われます。そして、タワーをつくる各パーツが、生態系を構成する個々の種に該当します。つまり、パーツの抜き取りは、生態系からの種の喪失を意味するのです。
https://gendai.media/articles/-/73936?page=3
『<絶望>の生態学――軟弱なサルはいかにして最悪の「死神」になったか』
山田 俊弘/著 講談社 2023年発行
人間は、意図せず大量絶滅を引き起こそうとしている。その絶望的状況が明らかになってきた。生物多様性の喪失と大量絶滅の先に、希望はあるか? 絶望的な未来を回避する術はあるか?――その答えは生態学が教えてくれる。
第6章 ラッコが消えれば海も死ぬ より
たった一種の絶滅が招く生態系の崩壊
リベット仮説でも冗長性仮説でも、一種が絶滅したくらいでは、生態系はほとんど影響を受けないと予想しています。しかし、前節の最後に触れたように、例外もあります。過去に、たった一種が絶滅しただけで生態系が崩壊したことがあったのです。そんな事例を紹介します。
ラッコは金になる
北太平洋の沿岸域には、食肉目イタチ科最大の動物、ラッコが生息しています。ラッコは寒帯性で、日本沿岸では北海道が分布の南限です。
ラッコは道具を使う数少ない動物です。カニやウニ、貝の硬い殻を石で砕いて、中の軟体ブを食べる姿はおなじみですね。ふつう単独で生活しますが、群れを成すこともあります。繁殖のスピードは遅く、1回の出産で通常1頭の子しか生まれません。独り立ちするのにも時間がかかり、生まれてから親離れまでに4年も要します。
そんなラッコが18世紀になると、(ラッコはまったく望んでいませんでしたが)ヒトとの関係を急に強めました。ヒトが、ラッコが金になることに気がついてしまったのです。
ラッコがいなくなった海で起こったこと
乱獲の結果、多くの海域でラッコが絶滅、もしくは絶滅寸前にまで追い込まれると、まったく想像もつかなかったことが起こりはじめます。ラッコが消えたアラスカから南カリフォルニアまでの沿岸で、ジャイアントケルプ(コンブの仲間で、50mにもなる巨大な海藻)が衰退しはじめたのです。もともとこの海域は、ジャイアントケルプジャイアントケルプがうっそうと茂る生態系で、ラッコもその一員でした。ところが、ラッコの減少に続いて、みるみるうちにこの海藻が姿を消し始めたのです。
ジャイアントケルプの衰退の理由は、初めのうちこそ謎に包まれていましたが、その後の調査により解明されました。謎解きに貢献したのが、アメリカの生態学者、デイヴィッド・ドゥギンズによる研究です。
彼は、ケルプが衰退したアラスカの海の中に、ウニを排除した実験区を設置しました。そして、ウニのいなくなったその区域で何が起こるか観察したのです。人為的なウニの除去の効果はてきめんで、すぐに海藻が復活しはじめました。彼のこの研究は、ジャイアントケルプを衰退させた犯人がウニであることを強く示唆しています。
いなくなって初めて気づくキーストーン種
ジャイアントケルプ生態系のラッコのように、生態系にはその存続のカギを握る種がいる場合があります(必ずいるとは限りません)。そういった種を”キーストーン種”と呼びます。
アーチ状の石橋を想像してください。”キーストーン”とは、アーチの頂上にはめられる石のことで、これを取り除くと石橋は崩れてしまいます。石橋のキーストーンのように、生態系から失われると、生態系に大きな変化(最悪の場合、崩壊)を引き起こす種がキーストーン種です。
生態系の存続を左右するほど影響力の大きいキーストーン種ですから、絶滅しないように格段の注意が必要です。しかし厄介なことに、どの種がキーストーンの役割を担っているか、あらかじめ知ることは、生態学者にさえ困難です。生態系内の複雑な生物のつながりに隠され、どれがキーストーン種なのかが見えにくいからです。ジャイアントケルプ生態系のラッコだって、絶滅寸前まで個体数を減らして初めて、キーストーン種であることが判明しました。ほとんどの場合、いなくなってから初めて、その種がキーストーン種だったことを知るのです。
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じじぃの日記。
<全国高校野球選手権:関東第一 2-1 東海大相模>◇19日◇準々決勝
関東第一(東東京)が東海大相模(神奈川)との関東勢対決を制し、オコエ瑠偉(現巨人)を擁した15年以来9年ぶりの4強入りを決めた。
守っては先発左腕の畠中鉄心(3年)が好投。8回まで無失点に抑えた。9回1死一、二塁となったところで坂井遼(3年)を投入。1点差逃げ切った。
(https://www.nikkansports.com/baseball/highschool/news/202408190000233.html)
9回裏、東海大相模の攻撃。あの外野フライが二塁打になっていれば、東海大相模の逆転勝利になっていたかも。
ドキドキとハラハラの9回の攻防、まだまだ続きそうだ。