じじぃの「カオス・地球_404_46億年の地球史・第2章・超大陸パンゲア」

プレートテクトニクスの基礎1:海洋リソスフェアの生成と破壊

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=zfrz--4dwGc

約30億年前の地球?


地球の大陸移動がいつ始まったかはダイヤモンドが知っている

2016年01月31日 GIGAZINE
地球表面の地殻が柔らかい層のマントルの上に載って動いているとする「プレートテクトニクス」は、各大陸の成り立ちや地震発生のメカニズムを説明する理論として、広く受け入れられています。しかし、プレートテクトニクスがいつ始まったのかについてはよく分かっておらず、議論のあるところでした。そんな中、「ダイヤモンド」を使ってプレートテクトニクスの起源を推測する研究成果が発表されて注目されています。

かつて地球に一つの超大陸パンゲア」があり、それが分裂して現在の大陸になったとする「大陸移動説」は、アルフレッド・ウェゲナーが提唱した当時は大陸が移動する原動力が何であるかをうまく説明できず、まったく支持されませんでした。しかし、20世紀後半に、地球内部は異なる層状の構造をとっており、比較的柔らかいマントルの上を硬くて薄い地殻が滑るように動いているというプレートテクトニクス理論が考案されて以降は、大陸の成り立ちだけでなく地震のメカニズムを説明できるものとして、広く受け入れられるようになりました。
https://gigazine.net/news/20160131-diamond-show-plate-tectonics-beginning/

たった1日でわかる46億年の地球史

【目次】
プロローグ――地球学への招待状
1. 化学と地球――地球はどのように生まれたのか

2. 物質と地球――地球はどのように形成されたのか

3. 生命と地球――地球に広がる生命
4. 酸素と地球――呼吸できる空気はどこから来たのか
5. 動物と地球――大型化する生命
6. 植物と地球――植物と動物の世界
7. 災害と地球――絶滅が生命の形を変える
8. 人間と地球――地球を変える人類

                  • -

『たった1日でわかる46億年の地球史』

アンドルー・H・ノール/著 鈴木和博/訳 文響社 2023年発行

私たちの身の回りにある山や海、動植物、資源、空気や水はいったいいつ、どのように誕生したのか?
ハーバード大学の名誉教授(自然史学)で、NASAの火星探索ミッションにも参加している著者が、地球という奇跡の星の誕生から現在に至るまでを、地質学、自然史学的な視点でエキサイティングに読み解く一冊。

2. 物質と地球――地球はどのように形成されたのか より

かつて大地は1つの巨大な塊だった

1億年前になると、さらに見慣れなぬ世界を目にすることになる。ロッキー山脈はできはじめているが、アルプス山脈ヒマラヤ山脈は存在しない。北米中部とユーラシア南部はほとんどが浅い海の底で、大西洋は帯状の細い海でしかなかった。オーストラリアと南極は1つで、インド半島はアフリカと南極との間に収まりつつある。
    ・
海底に残された記録からわかるのは、このあたりまでだ。1億8000万年以上前の海洋性地殻のほとんどは、沈み込みによって破壊されてしまっているからだ。しかし、地質学の示唆によれば、プレートテクトニクスはそれよりもはるかに昔から続いている。大陸は海底よりも沈み込みにくいため、海底よりもはるかに長い記録が残されている。蓄積された堆積岩の大きさや特徴、花崗岩などの化学的性質や分散、古い山脈帯の断層や褶曲の特性などから、プレートテクトニクスによる地表の地形の形成は、少なくとも25億年前から起きていたことがわかっている。地球は球体であるため、分裂した超大陸はやがて集まり、分散していた大陸は衝突して合体することになる。この仕組みは、カナダ人地質学者I・ツゾー・ウィルソンにちなんで「ウィルソン・サイクル」と呼ばれている。ウィルソンは、超大陸が分裂し、分散したのちに集まってくるというパターンが繰り返されていることを初めて認識した。この25億年間で、パンゲア(約3億年前、大陸が分裂・移動する前に存在していたと想定される巨大な1つの大陸)と同じように5つの超大陸ができては消えていったことがわかっている。アパラチア山脈スカンジナビアカレドニア造山帯、ウラル山脈は、いずれも古大陸同士の衝突の痕跡だ。アフリカと南米のパンアフリカン褶曲帯には、さらに昔の超大陸の衝突の痕跡が記録されている。

新たに見つかったパズルのピース

プレートテクトニクスの重要な手がかりは、第1章で説明した古いジルコンから得られる。この結晶に閉じ込められている微量元素から、40億年以上前に物質が地表から地中に向かって移動した可能性があることがわかっている。ただし、移動の速度は、その後よりもかなりゆっくりだったようだ。
つまり、最初期の地球では、厚い火山性堆積物の底部でジルコンを含むマグマができ、横に動くことも沈み込むこともない「滞留蓋」となったのではないかと解釈されている。そして38億年前から36億年前ごろには、プレート的な動作を伴う沈み込みが始まった。

2020年の春、このパズルの新たなピースがもう1つ見つかった。海底の広がり、つまりプレートテクトニクスの仕組みを理解するうえで、数十万年ごとに反転を繰り返す地球の磁場と岩石の磁気が重要になることはすでに述べた。それだけでなく、この磁気の向きを活用すれば、大陸の動きを追うこともできる。たとえば、ある大陸が赤道近くから北緯30度の地点まで動いたとしよう。すると、途中で吐き出された火山性堆積物に含まれる鉱物の磁気の向きから、その移動経路を突き止めることができる。だとすると、非常に気になることがある。初期の地球で作られた岩石の磁気の向きには、陸塊の平行移動が記録されているのだろうか。調査の結果、確かに残されていることがわかった。アレック・ブレナートロジャー・フーらは、丹念な分析を重ね、30億年以上前に、現在のオーストラリア北西部にあたる場所にあった古代の地形が縦方向に移動していたことを突き止めた。移動の速さは、現在ボストンがヨーロッパから離れているのと同じくらいだった。

これは、プレートテクトニクスが早い段階から始まっていたことを強力に支持する証拠だ。
    ・
地球ができたばかりのころの構造が明らかになることはないのかもしれない。しかし、30億年前ごろには、プレートテクトニクスがかなり現在に近い形で地球を形成しはじめていたと考える地質学者が多い。それは地球に多大な影響をもたらした。オーストラリアの地質学者サイモン・ターナーらはこう述べている。「多くの点で、現在の地球と私たちに欠かせない環境を生み出すプロセスは、この沈み込みの始まりとともに始まった」

プレートテクトニクスは、惑星の形成にとって欠かせないものではない。たとえば火星では、昔も今もプレートが運動したという証拠は見られない。金星も同様だ。しかし、地球では、早い段階でプレートテクトニクスが起こり、地表の地形を生みだして環境を維持する物理的なプロセスが始まった。その結果、地球は海と大気、山と火山しかない惑星以上の存在、つまり生命を湛える惑星になった。次はこの点に着目することにしよう。