2つの封筒問題:交換のパラドックス - その、期待できない「期待値」
2019.03.31 遅読猫の毛玉
【問題A】
ここに二つの封筒がある。
今 あなたは一つの封筒を手にとった。
中を確認すると1万円が入っていた。
ここであなたは次のような提案をされる。
「あなたはその1万円入りの封筒をそのままもらうこともできますが、
その1万円を元手にゲームをすることもできますよ。
そのゲームでは、コイントスして、表が出れば 2万円が貰えます。
でも、裏が出たら 5000円しか貰えません。
どうしますか?」
あなたは、このゲームを辞退すべきか、それとも乗るべきか?
【答】
このゲームをした場合の期待値を計算すると、
5000×1/2 + 20000×1/2 = 12500円
https://philonous.blog.fc2.com/blog-entry-54.html
確率のパラドックス 交換のパラドックス より
封筒を交換すると両方とも得をする!? より
まず最初の問題。今あなたは封筒を受け取った。その中には1万円が入っていた。ここで先ほど封筒をくれた人があなたに以下のような提案をしてきた。
「あなたはその1万円入りの封筒をそのままもらうことができます。でも一度返却してもらえば、金額が倍になるチャンスがあります。コイン投げで表が出れば2万円になって戻ってきます。ただし、裏が出たら5000円になります」。
要は、このゲームに1万円を出す価値があるかを考えればよいわけだ。期待値を計算すると、2万円を得る確率と5000円を得る確率はそれぞれ半々なので、
2万円 X 1/2 + 5000円 X 1/2 = 1万2500円
となる。よって期待値が1万円よりも大きくなるので、このゲームに乗るべきである。これについては問題ないだろう。
では、以下のケースではどうだろうか?
ここに2つの封筒A、Bがある。どちらかの封筒にはもう一方の2倍の金額が入っている。今あなたは封筒Aを手にとった。中を確認すると1万円が入っていた。あなたはこのことから、もう一方の封筒Bには、5000円、もしくは2万円が入っていることがわかる。
ここで、あなたは封筒Aを封筒Bに交換してもよいといわれる。その場合の期待値は、最初の問題と同様の計算で1万2500円となり、やはり交換するほうが得である。はたしてこの考えは正しいのだろうか?
たとえば、参加者がもう1人いて、あなたは封筒A、もう1人は封筒Bを手にとって、それぞれ中身を確認した設定で考えてみよう。もう1人の参加者の立場からみれば、あなたと同じように期待値を計算して「交換したほうが得」という期待値ができてしまう。すると両者とも交換そたほうが得ということになってしまう。しかし、実際には、交換すれば必ずどちらかが得をして、もう一方は損をするはずである。
このパラドックスは「交換のパラドックス」、あるいは「封筒のパラドックス」などとよばれている。一見、不合理に思えるが、先ほどの期待値の計算結果は正しく、両者ともにこのゲームに乗るべきである。期待値は両者ともに必ず得をするということではなく、あくまで計算上期待される数値である。得をすることもあれば損をすることもあるのだ。
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じじぃの日記。
ギャンブラーの誤謬
ギャンブラーの誤謬とは、いつもより頻繁に起こっていることを、次は起こりにくいと勘違いしてしまうこと(その逆もまた然り)。
ルーレットで5回連続で「黒」が出た!
6回目で「黒」が出る確率は?
ギャンブラーたちは5回も「黒」が出たのだから、6回目は「赤」が出るだろう、と考えた。
「5回連続で黒が出る確率は、1/2x1/2x1/2x1/2x1/2=1/32だ。次も黒が出て6回連続で黒となる確率は1/64、つまり1.5625%しかない。よって、次は98%以上の確率で赤が出る。よし、次は赤に賭けて大金をつぎこもう」
結論をいうと、このギャンブラーの考えは誤りである。
赤と黒の確率が1/2のルーレットであれば、過去の結果に関係なく、いつでも1/2の確率で赤が出る。
交換のパラドックス
「あなたはその1万円入りの封筒をそのままもらうことができます。でも一度返却してもらえば、金額が倍になるチャンスがあります。コイン投げで表が出れば2万円になって戻ってきます。ただし、裏が出たら5000円になります」。
2万円 X 1/2 + 5000円 X 1/2 = 1万2500円
しかし、参加者がもう1人いたとして、最初に封筒Bを手にしたもう1人の参加者は、封筒の中に5000円か2万円を確認する。そして、あなたと同様の推論により、封筒Aに交換したほうが得という結論に至る。交換してたがいに得なんてことがありえるだろうか?(交換のパラドックス)
結論
期待値の計算結果は正しく、両者ともにこのゲームに乗るべきである。
期待値は両者とともに必ず得をするということではなく、あくまで計算上期待される数値である。得をすることもあれば損をすることもありえるのだ。
あなたが得をした場合、もう1人の参加者は損をしているのだ(その逆もまた然り)。