じじぃの「カオス・地球_260_人類の終着点・AIの進化・人類の近未来」

手塚治虫作品を学んだAIでよみがえる…新作「ブラック・ジャック」 制作現場に密着(2023年12月7日)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?app=desktop&v=dFpLXt_CHcU


手塚治虫の新作漫画に挑んだ裏側 ーAIを活用したあらすじ&キャラクター生成

2020.03.06 AI専門ニュースメディア AINOW
日本人なら誰もが知っている巨匠 手塚治虫の新作が31年ぶりにAIによって生まれました。
2019年10月に東芝メモリ株式会社から社名変更したキオクシア株式会社のブランドキャンペーン「#世界新記憶」第1弾として、手塚治虫の新作をAI技術で生み出すという、前代未聞のプロジェクト「TEZUKA2020」が始動しました。
そして、手塚治虫の新作「ぱいどん」が講談社の週刊「モーニング」13号(2月27日発売号)に前編が掲載されました。
https://ainow.ai/2020/03/06/190130/

朝日新書 人類の終着点―戦争、AI、ヒューマニティの未来

【目次】
はじめに
1 戦争、ニヒリズム、耐えがたい不平等を超えて
 エマニュエル・トッド 現代世界は「ローマ帝国」の崩壊後に似ている
 フランシス・フクヤマ 「歴史の終わり」から35年後 デモクラシーの現在地

2 「テクノロジー」は、世界をいかに変革するか?

 スティーブ・ロー 技術という「暴走列車」の終着駅はどこか?
 メレディス・ウィテカー×安宅和人×手塚眞 鼎談 進化し続けるAIは、人類の「福音」か「黙示録」か
3 支配者はだれか?私たちはどう生きるか?
 マルクス・ガブリエル 戦争とテクノロジーの彼岸 「人間性」の哲学
 岩間陽子×中島隆博 対談

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『人類の終着点―戦争、AI、ヒューマニティの未来』

トッド、フクヤマ、ロー、ウィテカー、ガブリエル/著 朝日新書 2024年発行

2 「テクノロジー」は、世界をいかに変革するか? より

メレディス・ウィテカー×安宅和人×手塚眞 鼎談 進化し続けるAIは、人類の「福音」か「黙示録」か

【「漫画の神様」を現代によみがえらせることができるか?】
――では、ここで話したようなことを別の側面からも見ていきましょう。ここでお話を伺いたのは、手塚眞さんです。手塚さんのお父様は「日本の現代漫画の父」であり、「漫画の神様」という異名を持つ手塚治虫さんです。
手塚治虫さんは、700タイトル、計15万ページの漫画を描き、アニメ作品を含め、国内外に大きな影響を与えました。代表作の1つが、『ブラック・ジャック』です。医師免許持つ手塚治虫が、主人公のブラック・ジャックに理想の医師像を託して、生命の尊さ、そして人間の尊厳を描きました。1989年に60歳で手塚治虫さんが亡くなってから、この『ブラック・ジャック』の新作を、AIとともに共同制作するプロジェクトが進められています。「TEZUKA2023」と名付けられたそのプロジェクトの総合ディレクターを務めていらっしゃいますのが、手塚眞さん。このAIとの共同制作はどのように進められたのですか。
   
手塚:私はAIの研究家ではありませんので、今日はアカデミックな話はできません。ただ私には、2000年代前半の頃から、多数のAI研究者といろいろ意見を交換をする機会がありました。その時に議題に上がったのが、「何とか、日本の漫画をAIで作れないだろうか」ということでした。
実は漫画は、世界中にあります。けれども、日本の漫画が、質的にも量的にも一番優れているんじゃないかな、と私は思っております。そして、日本の現代文化を代表するものだとも思っています。
    ・
手塚治虫から学ぶ、人類と技術が共存する方法】
――安宅さんが指摘したように、「テクノロジーと人間の共存の問題」って、ずっと議論されていることではあります。その例として、原子力をエネルギーにしているという点からも、手塚治虫さんの『鉄腕アトム』は、そうしたテーマに貫かれているように思えます。手塚さんは、この問題はどういうふうに捉えますか。
   
手塚:『鉄腕アトムで登場するアトムは、実は当初はロボットの少年となる予定ではありませんでした。もともと手塚治虫が思いついていたのは『アトム大陸』という題名の物語でした。これは、原子力を平和利用する架空の国を舞台にした物語です。人間が原子力をどう使えば素晴らしい未来を築けるのか。また、どういう問題点があるのか。手塚治虫は、そういう漫画を描こうとしていました。しかし残念ながら、この物語は子ども向きであるとは思われず、描く前に止められてしまい、何も残っていません。その後、この「アトム」という文字を使って、『鉄腕アトム』というロボットの物語を生み出しました。
鉄腕アトム』はだいぶ誤解をさせました  が、科学礼産の物語ではありません。「未来の社会は、これほど素晴らしい科学技術がある」ということがテーマなのではありません。
むしろ、その逆です。科学が暴走することによって、人間にどういう不利益を与えるか。どういうふうに社会が脅かされるか。ということが物語化されています。そして、その科学の暴走には、その裏に邪(よこしま)な人間たちの思惑が潜んでいます。それはエゴであったり、貪欲であったりします。そういう者たちが科学を使うことによって、どれほどひどい結果になるのかということを描いているのが『鉄腕アトム』です。
その一方で、アトムのもう1つのテーマは「アトム」というロボットの少年を介した、人間同士、あるいは人間と科学というものの接点・関係性です。「その関係を良いものにしていこう」というテーマが、ここには込められています。ですから、手塚治虫は、単に「科学は自分たちの友達である」という考え方だけではなく、その裏にある危険性もわかったうえで、それをわかりやすく子どもに伝えられる物語として『鉄腕アトム』を描いたのです。
さらにはっきりした未来の脅威を描いた作品として、火の鳥という漫画もあります。この漫画の中の1つに、未来社会を描いたものがあります。
その作品を紹介しますと、登場するある国でリーダーシップを取っているのは、1つのAIです。そのAIが国のすべてを管理しています。しかし、このAIが突如狂い始めてしまいます。そして、隣の国のAIに、喧嘩を売るようなことを仕掛けていくのです。当然、AI同士が衝突するようになり、「どちらかのAIは存在しなくなるほうがいい」という結論に行き着きます。ここで戦争が起きてしまいます。まさに、AIが勝手に決めた戦争で、結果として核戦争になってしまいます。その話では、こうして人類は滅んでしまいます。非常に厳しい物語ですが、本当にこういうことは起きるのでしょうか。
それはわかりません。しかし、起こらないように、私たちはこの社会を作っていくしかないとも思っています。ですから、手塚治虫がずっと言っていたこととウィテカーさんが言っていることは、ほとんど同じなのです。手塚治虫作品を読んできている私たちは、実は子どもの頃からそのことを知っています。
しかしその一方、安宅先生も僕もややAIに肯定的な立場から発言をしているように感じているかもしれません。この理由は、「それが日本人の感性だからではないか」と思っています。
日本人はみんなロボットが好きなんです。僕が思うところですが、日本人は非常に古い精神性を持っております。アニミズムに近い考え方がまだ心の中で生きているんです。
日本人はすべての物体や自然のものなど、そのすべてに命があって、魂を持っているというような感じ方をしています。ですから、ロボットという作られた道具のようなものでも、非常に愛情を感じることができます。
もし、AIに対して愛情を捧げる人類がいるとしたら、その最初は日本人なのではないかという気もしています。だからこそ、私たち日本人がこのAIを正しく見ておくこと、AIについて正しい知識を持っていくことが、非常に大事じゃないかな、とそんなふうに私は思いました。
   
【AIとともに描いていく「人類の近未来」】
――では、未来の世界では、人間とAIはどんな関係になっていると想像しますか。AIとそれに向き合う人間はどうなっていくでしょうか。
手塚:私は、AIと人間は「パートナー」のような関係になっていくと思います。どんなパートナーになるのかは、それぞれの人によって違うとは思います。
たとえば、僕の個人的な希望でもありますが、「もう1人の自分が欲しい」という気持ちがあります。これは物体としてのクローンということではなく、「精神的な存在」としての自分がもう1人欲しいと考えます。
AIによって生み出されたもう1人の自分と対話をしたり一緒に考えたり、といことをしたいです。そして、家族も含めて一緒に生活をしていきたいと、私は夢見ています。
   
ウィテカー:未来はどこにも書かれていなので、私たち自身が未来を有益な形にする責任があると思います。そのためには、現在地を明確に示す地図が必要です。なぜなら、現在地を正しく示した公平なデータがなければ、適切な意思決定ができないからです。
ですから、AIリテラシーとはどのようなものかを考えたときには、私たちに対する意思決定や予測に使用される。すべてのAIシステムに関する情報を明らかにすることを義務づける必要があると思います。たとえば、銀行がいつ融資の判断をしたのか、そのためにどこでAIが使われたのかを私たちは知る必要がある。また、どこの企業が提供するAIを使っているのか、そのAIはどの大企業からライセンスを受けているのか、誰がこれらのシステムから利益を得ているのかについても知らされるべきです。
さらには、コスト削減や人権費削減のためにAIを採用することを決めた取締役会での会話の内容まで私は知りたい。こうしたことについて、もっと情報が必要なのです。また、これらの情報に関して、民主的な方法で調査することを望みます。そうすれば、このアメリカ拠点のテクノロジーの管理方法や、私たちの生活や制度を陰でコントロールする中央集権的な企業にどのような権力を与えるかを私たち自身で決めることができます。そのような情報環境があれば、私たちは誰にとっても住みやすい未来を切り開く力を発揮できると思っています。

そして、20世紀に自動化技術と工業技術の分野でリードしてきた日本は、戦略的に優位な立場にあります。また、OpenAIのサム・アルトマン氏が日本を訪れて視察し、ChatGPTの利点を説いて回っている一方、日本には中国企業からの圧力もあります。つまり、アメリカと中国に挟まれた日本は、エビデンスに基づいたルールを作ることができる立場にある、と私は思っています。地政学的な意味合いや民主主義の未来への影響にも目を向けた、エビデンスに基づいたアプローチで、日本は今後もリードしていくことができると信じています。