じじぃの「カオス・地球_258_人類の終着点・ロー・AIのリスクは何か」

Hot Robot At SXSW Says She Wants To Destroy Humans | The Pulse

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=W0_DPi0PmF0

Okay, I will destroy humans


イーロン・マスク「人類はいずれ、AIに愚かだとバカにされる」

2020.8.8 COURRiER JAPON
新しいビジネスのアイディアを思いついては、それを形にしようと突き進むイーロン・マスク
彼がいま最も関心を抱いているもののひとつがAI(人工知能)だ。その進化を見くびる人間は、やがてAIの支配下に置かれるだろうと警鐘を鳴らす。

「現にいま、AIは急速に成長していて、人間より賢くなるまでには今後5年もかからないと思う。だからと言って5年後にすべてが地獄になるわけではないけれど、状況は不安定になるだろうね」
https://courrier.jp/news/archives/208322/

朝日新書 人類の終着点―戦争、AI、ヒューマニティの未来

【目次】
はじめに
1 戦争、ニヒリズム、耐えがたい不平等を超えて
 エマニュエル・トッド 現代世界は「ローマ帝国」の崩壊後に似ている
 フランシス・フクヤマ 「歴史の終わり」から35年後 デモクラシーの現在地

2 「テクノロジー」は、世界をいかに変革するか?

 スティーブ・ロー 技術という「暴走列車」の終着駅はどこか?
 メレディス・ウィテカー×安宅和人×手塚眞 鼎談 進化し続けるAIは、人類の「福音」か「黙示録」か
3 支配者はだれか?私たちはどう生きるか?
 マルクス・ガブリエル 戦争とテクノロジーの彼岸 「人間性」の哲学
 岩間陽子×中島隆博 対談

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『人類の終着点―戦争、AI、ヒューマニティの未来』

トッド、フクヤマ、ロー、ウィテカー、ガブリエル/著 朝日新書 2024年発行

2 「テクノロジー」は、世界をいかに変革するか? より

ティーブ・ロー 技術という「暴走列車」の終着駅はどこか?

【AIが抱える最大のリスクはいったい何か?】
――AI技術が社会や人間にどう影響するか見極めるには時間がかかると言いますが、では、現時点での最大のリスクはいったい何でしょうか。
   
それは「テクノロジーが社会の先を行ってしまうこと」です。今、私たちが行っているのは、人類に対する制御不能な実験です。だから、われわれ人類が、いろいろな場面で機械の支持に従おうとしている。

欧州では、リスクに基づく規制管理レベルを定めるなど、AIに対する幅広いアプローチを行っています。「雇用や融資、刑事司法といったリスクの高い分野においても、AIに仕事を任せてよいものか?」「AIにローンを組ませることはできるのか?」「AIを刑務所に送り込むことができるのか?」。今挙げたようなハイリスクの分野では、規制をかけるべきでしょう。また、AIシステムが出した結論があなたに不利だった場合には、どんな方法でその結論に至ったのか」を知る必要があるでしょう。

そして、こうした大まかなガイドラインを示すことはもちろん難しいのですが、それを実施するのはさらに難しいのです。しかし、それでも方法はあります。

たとえばアメリカには「雇用法」や「公正融資法」といった法律もありますし、雇用機会均等委員会という組織もあります。AIテクノロジーが創り出す新たな状況に合わせて改善する必要はあります。しかし、制度的構造は整っています。こうした問題は必ずしも新しいものではありません。医療も金融もすでに厳しく規制されています。

生成AIが質的に違うのかどうか。OpenAIのサム・アルトマンCEOやテスラのイーロン・マスクCEOは、「本当に恐ろしい」と言っています。「人類存続の危機になり得る」と。いささか大げさですよね。

ただ1つ言えるのは、人々の政府に対する関心を高めたということです。何もせず放置するのは危険です。そのリスクへの対処方法を政府が示せるのかどうかに関心が向かっています。

この先どうなってゆくのかわかりません。それでも、インターネットを見れば、少し想像がつきます。良いこともたくさんありましたし、革新的なこともありました。その一方で、悪いこともたくさんありましたよね。偽情報やいじめ、民主主義を脅かすことなど。

つまり、良いことも悪いこともたくさんあります。だから、いずれ何かしらの規制がかかるかもしれません。

現時点では、生成AIの波に乗っている人々がやろうとしているのは、「他の人より少し先を行くこと」でしかありません。つまり、まだ私たちは、暴走列車に乗っているというわけではないのです。

【われわれ人類とAIの共存の道】
――先ほど触れたグーグル訴訟について、あなたは精力的に取材しています。この訴訟の重要性をどう見ていますか。
   
グーグルの独禁法違反に関する裁判において、どんな証拠が提出され、どう展開していくかは重要な意味を持つことになるでしょう。

簡単に説明をしておくと、米グーグルがスマホ端末メーカーと、初期状態のスマホにグーグルの検索アプリを搭載したうえで、画面の目立つ位置するように契約を結んでいたことが、競合他社の排除につながる恐れがあるという疑いが挙がったのです。

過去に起こったマイクロソフト事件(1998~2004年)もそうでした。その際に、マイクロソフトが業界のパートナーをいじめ抜いたうえで、買収し、新たなライバルの市場参入を正面からではなく脇から阻止できたのは、契約上の制約があったからです。

文脈は違いますが、グーグルの場合も同じような特徴があります。グーグルの回答は、「昔に比べれば、今はすまほの乗り換えが非常に楽になった」というものです。

一方、司法省は「グーグルがアンドロイド・モバイルエコシステムの成功を確実にするために、サムスンや他のメーカー、それにアップルを巨額の資金で買収した」と反論しているのです。その結果、アンドロイド・モバイルエコシステムは、検索エンジンの目玉となり、データ収集が円滑に行えるのでユーザーを惹きつけ、広告収入が増えるわけです。

また、この1つの前の質問でご指摘のデータについては、データは「検索エンジンの酸素のようなものなのです。だから、グーグルの行為は酸素の供給を遮断するようなものだ、というのが政府の主張です。ちなみに、このフレーズは、マイクロソフトの裁判でも使われていました。

こういう支配的な企業に意義を申し立てるのは、政府がやるべきことです。オバマ政権下でもトランプ政権下でも、独禁法規制当局がやるべきことをやっていないという空気がありました。今、規制当局にいる人たちの中には、監督することが仕事だと思われていた時代の生き残りもいるにはいます。

――それでは最後に、「AIとどう向き合っていくべきか」についてメッセージをお願いします。
   
頑なに知ろうとしないことは、良い選択とは言えないでしょう。無暗に怖がるのではなく、慎重であること。大切なのです。

私たちはこれまでも似たような経験をしてきたのだから、人類に広い居場所を提供してくれるAIとの共存の道を見つけられるはずです。