じじぃの「科学夜話・量子センサー・微弱な信号や生体内の活動を調べる!世界を変える100の技術」

図2 量子ドット(QD)のイメージと量子サイズ効果による発色の例


2023年ノーベル化学賞は量子ドット、医療やディスプレー発色改善に貢献

2023.10.04 xTECH
QD(量子ドット)は、硫化カドミウムCdS)やセレン化カドミウム(CdSe)、硫化亜鉛(ZnS)といったありふれた半導体材料から成る微粒子である(図2)。具体的には直径が10ナノ(n)m前後の微粒子で、通常の材料特性とは異なる特性を発揮する。

●今後のディスプレーの主流の1つに
QDで液晶ディスプレーの発色を改善したテレビなどは以前から発売されており、最近はQDをカラーフィルターに用いた有機ELテレビなどが発売された。シャープは、QDを有機EL有機半導体材料に代わる材料として用いる「nanoLED」を開発中だ。

今後、本格的に登場する見込みのマイクロLEDディスプレーと並んで次世代ディスプレーの柱の1つになっていく可能性が高い。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/news/18/16042/?i_cid=nbpnxt_sied_blogcard

『世界を変える100の技術』

日経BP/編 日経BP 2023年発行

量子センサー 原子や分子の挙動を観測し、微弱な信号や生体内の活動を調べる より

量子力学の原理を利用してさまざまな物理量を高精度に計測できるセンサー。原子や分子レベルの小さな物体の挙動を観測することで、現状のセンサーでは計測できなかった微弱な信号や生体内の活動などを調べられる。

量子センサーの研究開発を巡っては、大学などの研究機関だけでなく民間企業の参入も広がり、自動車業界などに向けた量子センサーの販売も始まりつつある。

量子センサーによるセンシングでは物質中のスピンや原子気体を利用する。それらは周囲の環境に影響を受けやすく、その挙動を観測することで高精度なセンシングが可能になる。スピンを演算に用いる量子コンピューターではこの不安定さが正確の演算の妨げになっていたが、量子センシングではその性質を逆手にとることで優れた機能を実現できる。

大阪大学量子情報・量子生命研究センター准教授の根来誠氏らの研究グループは、量子センシング技術を応用した高感度な磁気共鳴画像装置(MRI)の開発に取り組んでいる。分子構造を解析する核磁気共鳴(NMR)の信号を増強させる独自の技術により、室温下で対象物を高感度に計測できるようにするもの。
マウスの体内の代謝を調べることでがん細胞の活動を調べたり、タンパク質の結合状態から薬剤スクーリングに利用したりといった応用を目指している。

海外では既に量子センサーの商用化が進んでいる。量子コンピューターの開発を手掛けるスタートアップの米コールドアンタは量子技術の中で「冷却原子力式」と呼ばれる量子コンピューターと量子センサーを開発している。2022年11月には住友商事と代理店パートナーシップ契約を締結し、日本市場で販売活動を始めた。

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どうでもいい、じじぃの日記。

下村脩博士は、オワンクラゲから緑色蛍光タンパク質GFP」を発見した功績で2008年にノーベル化学賞を受賞した。

下村博士は、オワンクラゲからGFPを最初に単離するとともに、紫外線を当てるとこのタンパク質が緑色に光ることを発見した。

蛍光タンパクは、これまで目に見えなかった生物の現象を目に見えるようにし、生物学に革命的変化をもたらした。
即ち、蛍光タンパクは腫瘍細胞の動き、浸潤、転移や血管新生などのような生きた動物の体内での癌の重要な側面を目で見ることを可能にした。

2023年のノーベル化学賞の受賞者に、「量子ドット」と呼ばれる、1ミリの100万分の1という「ナノ」サイズの極めて微細な結晶を発見するなどして、「ナノテクノロジー」の発展につながる基礎を築いたアメリカの大学の研究者など3人が選ばれた。

「量子ドット」を使った技術はさらに、今まで目に見えなかった生物の現象を目に見えるようにしてくれるものと思われる。

画像診断技術と組み合わせて検査し、すい臓がんも治る病気になるのかなあ。