「世界の警察官」をやめたアメリカ 国際秩序は誰が担うのか?
2015年5月号掲載 TOPPOINT
2013年9月、オバマ大統領がシリア問題に絡んで「アメリカはもはや世界の警察官ではない」と演説して以降、国際社会全体に「警察不在」の不穏な空気が広がっている。
中東のシリア、欧州のウクライナなどで国際社会の秩序やルールを力で踏みにじる行動がまかり通るようになった。アジアでは、南シナ海で中国とベトナムやフィリピンとの紛争が燃え盛り、東シナ海でも尖閣諸島で日中の対立が先鋭化した。
https://www.toppoint.jp/library/20150502
『宗教が変えた世界史――ビフォーとアフターが一目でわかる』
祝田秀全/監修、かみゆ歴史編集部/編 朝日新聞出版 2023年発行
イスラーム過激派がテロ活動を行う
2001年9月、ハイジャックされた旅客機がアメリカの世界貿易センタービルと国防総省に次々と突入。
この「アメリカ同時多発テロ(9・11テロ)」を引き起こしたのは、イスラーム原理主義組織アル=カイーダでした。彼らがアメリカをターゲットとした理由もは、10年ほど前に起きた湾岸戦争がありました。
ソ連消滅によって軍事的に優位となった超大国アメリカは「世界の警察官」として中東問題に介入。湾岸戦争でイスラーム教の聖地があるサウジアラビアに、アメリカ軍が駐留したことで「異教徒が聖地を占領した」とイスラーム過激派の怒りを買い、駐留軍だけでなくすべてのアメリカ人が攻撃の対象とされたのです。
アメリカが「世界の警察官」をやめる
アメリカは報復のために、アフガニスタンでアル=カイーダをかくまったイスラーム過激派組織ターリーバンを軍事攻撃。その結果、ターリーバンは追放され、アフガニスタンには暫定政権が樹立されました。
「対テロ戦争」にまい進していくアメリカは、さらにその2年後、イラクのアル=カイーダへの関与を疑ってイラク戦争を起こします。イラクのフセイン政権が核兵器などの大量破壊兵器を開発していることを理由に、国連の決議のないまま首都バグダードを爆撃。フセイン政権を倒したものの、武力攻撃の理由とした大量破壊兵器は見つからず、テロの掃討作戦は泥沼化していきました。
戦争の長期化はアメリカに大きな経済的負担をもたらし、国内世論でも厭戦機運が高まります。アメリカは自発優先の政策から「世界の警察官」の立場をやめ、2021年にアフガニスタンから完全撤退。しかし、アフガニスタンではターリバーン政権が復活し、中東情勢は混迷することになりました。
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じじぃの日記。
10月6日、テレビでニュース番組を見ていたら、こんなことが報道された。
「フィリピンの沿岸警備隊は中国と領有権を争う南シナ海で、自国の巡視船の進路の正面を中国海警局の船が横切って、わずか1メートルの距離まで接近して航行を妨害したと発表し、国際法に違反した危険な行為だと中国を非難しました」
2015年9月に中国の習近平国家主席は訪米した際、当時のオバマ大統領に「南シナ海に対し軍事化の意図はない」と語っている。
実は2013年9月に当時のオバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と発言した。
このオバマさんの発言が中国の世界戦略に大きな影響を与えたといわれている。
現在では、南シナ海のほぼ全域を中国の領海だと主張するようになった。
2022年8月、ブリンケン米国務長官は、訪問先のフィリピンの首都マニラでマルコス大統領と対面で会談した。
米国とフィリピンの防衛義務を定めた米比相互防衛条約について「同盟は強固だ」と述べ、南シナ海でフィリピンが攻撃されれば米国が相互防衛条約の責務を守ると強調した。記者会見でも米国が条約を履行すると表明した。
2ヵ月前、ハル・ブランズ、マイケル・ベックリー著『デンジャー・ゾーン――迫る中国との衝突』を読んだ。
こんなことが書かれていた。