じじぃの「カオス・地球_137_2050年の世界・いま生きている世界・スウェーデン」

Direct from Sweden: The Music of ABBA

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Jakq9RWulFo

幸福度 ランキング

スウェーデンSEは世界3位の音楽輸出国

2019-09-16 bstsry63のブログ
ABBA(音楽) 【あば】
スウェーデンのポップス・グループ。
1974年に、メンバーの頭文字をとった「ABBA」のグループ名での活動を開始。1983年、事実上解散。2010年、ロックの殿堂入り。
代表曲に「S.O.S」、「Mamma Mia」、「Dancing Queen」、「Gimme! Gimme! Gimme!」、「Chiquitita」など。
https://bstsry63.hatenablog.com/entry/2019/09/16/043312

2050年の世界――見えない未来の考え方

【目次】
序章 2020年からの旅

第1章 わたしたちがいま生きている世界

第2章 人口動態――老いる世界と若い世界
第3章 資源と環境――世界経済の脱炭素化
第4章 貿易と金融――グローバル化は方向転換する
第5章 テクノロジーは進歩しつづける
第6章 政府、そして統治はどう変わっていくのか
第7章 アメリカ大陸
第8章 ヨーロッパ
第9章 アジア
第10章 アフリカ・中東
第11章 オーストラリア、ニュージーランド、太平洋
第12章 この先の世界を形づくる大きなテーマ――不安、希望、判断

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『2050年の世界――見えない未来の考え方』

ヘイミシュ・マクレイ/著、遠藤真美/訳 日経BP 2023年発行

第1章 わたしたちがいま生きている世界 より

北欧諸国とスイス――社会と経済のリーダー

北欧5ヵ国(デンマークフィンランドアイスランドノルウェースウェーデン)は、世界のなかでもとくに豊かな国である。そしてスイスは人口が800万人を超えており、小さな産油国でもタックスヘイブンでもないという意味で、”正真正銘”の世界でいちばん裕福な国だ。

この6つの国は、どこも社会の結束が強い。社会はうまく運営され相対的に平等であり、生活水準は他国がうらやむほど高く、医療と福祉も手厚い。多くの国にとって、北欧諸国はモデル社会であり、高い税金をもとに高い福祉を提供すると、国民に最善の機会が与えられることを証明している。国の規模が小さければそのバランスはうまくとりやすいとの批判もあるだろう。デンマークフィンランドノルウェーの居住者は500~600万人で、スウェーデンは1000万人強だ。アイスランドはわずか34万人である。国への信頼は高く、富と所得の格差は相対的にちいさい。平等の重要な側面である女性が活躍する機会も多い。

スイスには直接民主制の伝統があり、ポピュリストの示す選択肢が政策を動かすという点で、やや独特である。その結果として、スイスは伝統的社会に回帰している。しかしどの国も、少なくとも部外者には、騒々しい世界にあって穏やかで満ち足りた天国に見えるという点では共通している。

北欧諸国はどうしても比べられがちだが、社会の特徴はよく似通っている。ところが繁栄の源泉はそれぞれ違う。ノルウェーは北欧最大の産油国である。

生産量は2001年にピークに達したものの、石油収入の大部分は将来世代のために運用に回されており、ノルウェーソブリン・ウィルス・ファンドは世界最大規模で、中国、アラブ首長国連邦UAE)をしのぐ。国家債務は実質ゼロである。

スウェーデン経済は裾野が広い。技術力が高く、長い歴史をもつエンジニアリング企業が国に富をもたらしており、サービス輸出も増えている。たとえば、国の規模を考慮した相対ベースでは、カナダとならぶ世界最大の音楽輸出大国である。財政は保守的だげ、イノベーションには積極的に投資しており、ハイテク分野のスタートアップ企業がたくさん生まれている。

だが、最も際立った特徴は、富が均等に行き渡っていることだ。各地域の所得がすべてEUの平均がすべてEUの平均を上回っているのはスウェーデンだけである。それでも負の側面があり、なかでもスウェーデンは移民の規模が相対的に大きく、自国の社会モデルをどこまで維持できるか懸念されているが、経済状況は良好である。

デンマークもそうだ。経済のバランスは少しちがい、石油、ガス、食品生産からの収入が多く、工業からの少ない。ドイツと国境を接しているため、ヨーロッパの中核国との結びつきが強い。しかしなにより、デンマークは世界でいちばん幸せな国である。
さまざまな幸福度ランキングで1位か上位が定位置だ。デンマーク語の「ヒュッゲ(hygge)」は、安心感、調和のとれた暮らし、コミュニティの一員であるという意識、心地よさを表す言葉であり、これがデンマークのライフスタイルの特徴とされている。デンマークスウェーデンとおなじような画題に直面しているが、現時点で先行きは明るい。

フィンランド、そしてとくにアイスランドは、経済の浮き沈みが激しい。フィンランド、には、かつての世界最大の携帯電話メーカーで、ヨーロッパで時価総額が最も大きい会社だったノキアがある。ノキアが躍進すると、フィンランドは好景気にわいたが、ノキアが凋落すると、その影響は国全体をのみ込んだ。
アイスランドは、2008年に金融危機が起きるまで、世界のどの国よりも大きなバブル景気を謳歌しやが、その後、どこの国よりも大きな崩壊を経験した。どちらも経済は回復しているが、この経験が物語るように、小国は経済のショックに弱く、大きい国のほうが危機に対する耐性は高い。

それ以上に問題なのは、北欧の社会モデルは持続可能なのかどうかだ。高支出・高負担の社会を成り立たせるには、強い一体感と信頼が欠かせない。このシステムを悪用する人はいないという信頼だ。ヨーロッパ域外から多くの移民が流入したことで、この信頼が揺らいでいる。移民を統合しようと力を尽くしているものの、緊張は高まってる。これはヨーロッパ全体にとっての課題だが、北欧諸国はこの先、重要な試験台になるだろう。

試験台になるのはスイスも同じである。スイスは代表民主制ではなく、直接民主制をとっている。自転車専用道の設置から、金融規制にいたるまで、政府が大きな決定をするときは、有権者の有効署名を集めれば、国民投票にかけて是非を問える。スイスでは毎年10件ほどが国民投票にかけられる。それでも国民投票に行くのは面倒だ。テクノロジーが発達し、選挙によって選ばれた代表者に任せるのではなく、国民が直接投票して栄治の問題を決められるようになったら、どうなるのだろう。
ポピュリズムはすでにアメリカとヨーロッパで民主主義を変えつつある。スイスが証明するように、小国でも経済を成功させること、それこそ驚くほど成功させることができる。スイスは公用語が4つあり、内陸国で、天然資源もほとんどないにもかかわらず、通貨は世界最強とされ、世界で最も裕福な国でもある。これはものすごいことだ。西側の人たちが民主主義そのものを疑うようになるなか、スイスは民主主義を後退させるのではなく、逆に前進させて、約束を実現できることを示している。