じじぃの「カオス・地球_80_デンジャー・ゾーン・台湾を救う」

「台湾も沖縄も軍事的なコマ・・・」米中対立の最前線、二つの島から見た“台湾有事”【報道特集】|TBS NEWS DIG

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=X62EDxgZd3c

台湾有事想定の日米共同作戦計画


南西諸島に攻撃拠点 米軍、台湾有事で展開 住民巻き添えの可能性 日米共同作戦の計画原案

2021年12月24日 沖縄タイムス+プラス
自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定したことが分かった。
有事の初動段階で、米海兵隊が鹿児島県から沖縄県の南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置くとしており、住民が戦闘に巻き込まれる可能性が高い。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/884619

デンジャー・ゾーン――迫る中国との衝突

【目次】
序章
第1章 中国の夢
第2章 ピークを迎えた中国
第3章 閉じつつある包囲網
第4章 衰退する国の危険性
第5章 迫る嵐
第6章 前の冷戦が教えること

第7章 デンジャー・ゾーンへ

第8章 その後の状況

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『デンジャー・ゾーン――迫る中国との衝突』

ハル・ブランズ、マイケル・ベックリー/著、奥山真司 /訳 飛鳥新社 2023年発行

第7章 デンジャー・ゾーンへ より

民主制度を守ること

最後に、アメリカは中国との紛争で最前線に位置している民主国家群を守る必要がある。だがそれはただ単に「小さくて脆弱な国を保護すればよい」のではない。ある場所で権威主義的な強制が成功すれば、別の場所でもさらに大胆な行動を促すことになりかねないのだ。

最も重要な戦場は、中国が大規模な転覆運動を展開している台湾だ。

このキャンペーンは、台湾のメディアに偽情報やプロパガンダを流すだけにとどまらない。コンテンツ製作者から消費者に直接リーチするオンライン・プラットフォームまで、台湾のいわば情報サプライチェーンのあらゆる分野を操作することも含まれる。さらに台湾の主要メディア複合企業の直接的な買収やソーシャルメディアでの何十万もの偽アカウントの使用、そしてジャーナリスト、メディアグループ、政治家などへの一連の賄賂(わいろ)も含まれている。北京をデジタル的に孤立させることは、台湾の民主制度を守る上で極めて重要である。だが、それも十分ではない。なぜなら中国は台湾を「解放」する、別の手段を持っているからだ。

台湾を救う

これから10年以内に中国による侵略が可能になる場所は数多くあるが、その筆頭は台湾だ。
中国は台湾を再吸収すると決意しており、それを実現する唯一確実な方法は、台湾海峡を越えて軍隊を送り込むことだ。アメリカはすでに台湾の抑止力を強化する第一歩を踏み出した。それは遠回しな言い方ではあるが、戦う意志があることを相手に伝えるものだ。

アメリカの専門家たちの中には「アメリカはさらに踏み込んで、実質的には条約上の同盟国でない台湾に、条約締結国のような安全保障を与えるべきだ」と主張する者もいる。なぜなら中国の攻撃に台湾単独で立ち向かう必要がないことを示し、台湾の抵抗の意思を強化できるかもしれないからだ。だが最も強い「レッドライン」の宣言も、それが強力な防衛体制に裏打ちされていなければ――それはまさに現在のアメリカと台湾に欠けているものだが――単なる口先だけの話と捉えられかねない。

もちろん台湾とアメリカの政策立案者たちは、この問題を認識している。だが彼らは問題を解決しうる十分な速さで動いていない。現在のペンタゴンは、台湾を守ることをアメリカの防衛戦略の中心に据えているはずだが、アメリカの政策立案者たちは2040年代に完成するかどうかも怪しい355隻体制の海軍を作り上げるか同化について、膨大な時間を費やして議論している最中だ。ペンタゴン自身も、10年遅れてようやく使えるようになるかもしれない派手な新機能に研究開発費をつぎ込んでいる。

台湾は、中国の侵略に対抗するために必要な「ヤマアラシ構想」を原則として採用している。だが台湾は、配備まで長い時間がかかる国産の艦船や潜水艦、戦争になったら離陸できないかもしれない戦闘機、台湾の砂浜やジャングルや市街地で簡単に操縦できない戦車に、年間防衛予算の4分の1以上をつぎ込み続けているのだ。

このペースで行けば、台湾とアメリカは、2030年代の戦争への準備は整えられるかもしれない。ところが実際に必要なのは2020年代の紛争の抑止(そしてできれば勝利)のための戦略だ。中国にとっての短期的な「チャンスの窓」を閉じるためアメリカと台湾は様々な分野で迅速に行動する必要がある。

第1に、ペンタゴンは、台湾海峡の国際水域を、攻撃しようとする軍隊にとって「死の罠」に変え、中国の侵略コストを劇的に引き上げることができる。しかもそれは今すぐ使える、あるいはもうすぐ使えるツールを購入するだけで可能だ。最も単純な解決策は、ミサイルランチャー、武装ドローン、電波妨害装置、スマート機雷、海中センサー等を、海峡付近の海上と同盟国の領土に大量に配置することだ。中国の侵略が始まるまで待ってからこの地域に派遣され、ミサイル攻撃を誘い寄せてしまう空母の代わりに、ペンタゴンは実質的な「ハイテク地雷原」とでも言うべきものを利用して、中国の侵攻部隊を壊滅させ、本土の港で荷物を積み込んだり、100マイル以上離れた海域を移動してくる部隊間の通信回線を切断できる。
このような分散した武器と妨害装置をつなげたネットワークは、中国にとり、地域全体を巻き込む戦争でも始めない限り、排除するのが難しい。
 (略)

第2に、アメリカは戦場に留まらなければ戦いに勝つことはできない。これは東アジアのアメリカ軍基地、通信、兵站ネットワークを急速に分散させ抗堪化(こうたんか)すべきであるという意味だ。中国の勝利の理論(技術的に優れた敵対者アメリカを打ち負かす計画)は「システム破壊戦」に大きく依存している。この意味は、前方展開されているアメリカの航空機を基地で駐機中に破壊し、その通信回線と兵站機能を麻痺させて、他の地域からのアメリカ軍の増援を阻止することだ。
中国のこの「勝利の理論」の実現を防ぐため、アメリカは部隊を東アジアの何十もの小規模な作戦拠点に分散させ、1回きりの通信やデータのやりとり以上のものを必要とする、非ステルス性兵器システムへの依存を減らす必要がある。
 (略)

それは第3の要件に関連してくる。つまり、台湾の自助努力を支援することだ。台北は移動式ミサイルランチャーや機雷の備蓄、レーダーなどの備えに関する賢い計画を持ち、通信インフラを強化し、陸軍と陸上部隊の予備役の増強を行っている。
台湾はゆっくりではあるが確実に、勝利のための唯一の戦略に向かっている。
 (略)

第4に、アメリカは台湾付近、さらには台湾本島での軍事的プレゼンスを高めることで、地理的な不利を軽減し、さまざまな措置が効果を発揮する時間を稼ぐ必要がある。アメリカの軍艦と潜水艦は、他の地域から部隊を再配置してでも台湾海峡を定期的にパトロールすべきで、最も近いアメリカの火力が数百マイル離れているときに紛争が始まってしまう確率を減らすべきだ。

日米両国は、日本南端の琉球列島に攻撃基盤となる共同運営基地を設置すべきだ。しかもこれは戦争が始まるのを待たず、今すぐやるべきだ。

アメリカはまた、台湾とひそかに行っている特殊作戦部隊の訓練任務を増やし、エリート部隊の小グループが、すでに台湾の現場にいて支援の準備が整っている状況が多くなるようにすべきである。
 (略)

第5に、アメリカは中国の軍事通信システムを混乱させる能力を開発すべきだ。独裁的な政権が最も嫌うのは、軍に対する統制力を失うことである。中国共産党は1979年のベトナム侵攻以来、主に自国民を殺害してきたため、戦時中のストレス下で指揮統制システムをテストしたことがない。中国共産党の幹部たちは、ひどく政治化され、しかもまだ腐敗している党が「戦争の霧の中」でうまく機能できるか疑念を持っているはずだ。
サイバー攻撃やその関連手段を通じて中国の指揮統制機構に負荷をかけ、軍の通信ネットワークに混乱を引き起こす能力を開発することで、ペンタゴンは中国の当局者に自分たちの部隊が戦闘中にどれだけ不具合を起こすか、懸念を持たせることができる。また、平時からその能力をさりげなく宣伝することで、アメリカは北京に、紛争をエスカレートさせる価値がそもそもあるのかどうかを疑問視させることができる。

最後に、アメリカは中国に「台湾での戦争は拡大するだけでなく長期化する可能性がある」と認識させる必要がある。アメリカが多くの同盟国やパートナーを参戦させられるなら、北京にとってその戦争はさらに魅力を落とすことになる。人民解放軍は「東京が台湾侵攻の邪魔をするなら、日本を核攻撃する」と豪語するかもしれないが「世界の超大国」と「地域で最も強力なその同盟国」と同時に戦うことを本気で喜ぶことなどできない。

同様に、インドとオーストラリアの海軍は、マラッカ海峡を通過する北京のエネルギー輸入を阻止することで、ワシントンを助けることができる。