じじぃの「老人のがん・健康と病気の境目はどこにある?人体の雑学」

I Am a Disease


『すばらしい人体 - あなたの体をめぐる知的冒険』

山本健人/著 ダイヤモンド社 2021年発行

第2章 人はなぜ病気になるのか より

健康と病気の境目はどこにある?

意外に難しい問い

病気とは、どういう状態のことを指すのだろうか?
この質問に答えるのは、意外に難しい。1例をあげてみよう。

細菌は私たちに病気を引き起こす微生物である。では、細菌が体の中に入った状態は病気か、というとそうではない。そもそも私たちの皮膚にたくさんの細菌が付着しているし、口の中や腸の中も細菌だらけである。これらの細菌が体に何らかの不具合を起こしたとき、初めて病気と呼ぶことができる。「細菌がいるかいないか」が「病気か健康か」を決めるのでない。

黄色ブドウ球菌という細菌はいる。心内膜炎や関節炎、皮膚の感染症など、さまざまな病気を引き起こす微生物だ。
とびひ」という俗称で呼ばれる皮膚感染症、「伝染性膿痂疹(のうかしん)」の原因菌の1つでもある。

2000年に起きた雪印(現雪印メグミルク)の乳製品による集団食中毒では、1万3000人以上が被害にあった。製造工程で繁殖した黄色ブドウ球菌の毒素が原因だ。2012年、モデルのローレン・ワッサーはタンポンが原因の重篤な細菌感染症にかかり、結果的に両足を切断した。その原因は、黄色ブドウ球菌によるトキシック・ショック症候群である。

これほど恐ろしい黄色ブドウ球菌だが、実は健康体でも約3割の人は保有している。鼻の中や皮膚表面に普段からすんでいる細菌なのだ。

「がん」か否か

「がんか、がんでないか」もまた、単純な命題ではない。
健康な人の体にも、絶えずがん細胞は生まれている。毎日、細胞分裂の過程でがん細胞は現れ、免疫によって排除される。つまり、「がん細胞が体にある状態」は、「がん」という病気ではない。

がん細胞が増殖し、周囲の臓器を破壊する(ことが予測される)などして、命を脅かすポテンシャルを持ったとき、初めて病気と見なされ、医療が加入するのだ。がんのように、一見すると「病気らしい病気」であっても、健康との境目は意外に明白でない。

実は、亡くなった人の体を解剖すると、偶然に前立腺がんが見つかることがある。その割合は、50歳以上の約20パーセント、80歳以上では約60パーセントにも及ぶ。
この前立腺がんは、おそらく不快な症状を起こさず、命を脅かすものでもなかったため、発見されないまま宿主が死を迎えた。

このようながんを「ラテントがん」という。「ラテント(latent)」とは「潜伏」という意味だ。これらの多くは、進行が極めて遅いために「寿命のほうが先に来た」と言い換えることもできるだろう。

では、死後にラテントがんが見つかった人は、「生前は病気だった」といえるのか? 何の症状もなく、周囲の臓器に影響を与えることもなけれな、命を脅かすこともないとしたら、そのがんは病気だろうか?

少なくとも寿命より成長が遅いがんであるなら、診断される必要はなかったことになる。がんであるのは事実だが、病気は「必要に迫られて定義するもの」なのだから、このがんは病気とはいがたい。

もちろん、ほとんどのがんは、見つかった時点で病気と呼ぶのが一般的だ。なぜなら、放置すると命を奪うであろうことが、数々の高い確度で予測できるからだ。だが、真に治療が必要かどうかは、タイムマシンを使って「放置した未来」を見ない限りわからない。

人間の判断を超えた、何らかの確定的な指標が「病気か否か」を決めるのではない。人間がひとまず「病気か否か」を決めるのである。

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どうでもいい、じじぃの日記。

暇なもので、病気に関する本をよく見ている。
6~7年前、テレビ NHKおはよう日本」を観ていたら、映画「八重子のハミング」をやっていた。

若年性アルツハイマー病になった妻が、自分の娘を見ても誰だか分からなくなっているにもかかわらず、音楽を聴くと曲に合わせてハミングするのだそうだ。

妻は12年間の闘病生活の後、65歳で亡くなった。

脳の病気といえば、まず パーキンソン病認知症を思い浮かべる。

これらの病気とアスペルガーとどこか共通点はあるのだろうか。
アスペルガーの場合は脳の神経細胞ニューロン)の形状が健常者と比較すると、「雑」なんだそうだ。

「がんのように、一見すると「病気らしい病気」であっても、健康との境目は意外に明白でない」

まあ、アスペルガーの場合、年とってもアスペルガーのままだ。

トホホのホ。