じじぃの「アメリカ人の陰謀論好き・Qアノン!トランプ信者 潜入一年」

【衝撃】トランプを崇める、「Qアノン」に会ってみた

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Ek0TrvNDzB4

QAnon Is a Wolf in Wolf’s Clothing


QAnon Is a Wolf in Wolf’s Clothing

AUGUST 26, 2020 Christianity Today
He doesn’t know much about the QAnon conspiracy theory, President Trump told a reporter this month. But “I understand they like me very much, which I appreciate,” he added.
“I have heard that it is gaining in popularity, and from what I hear, these are people … that love our country.”
https://www.christianitytoday.com/ct/2020/august-web-only/qanon-is-wolf-in-wolfs-clothing.html

今もトランプは米保守派の1番人気! 集会には「金ぴか像」まで登場

2022年3月9日 Yahoo!ニュース
2月24~27日にフロリダ州オーランドで開かれた保守派の政治家や活動家の年次集会、保守政治活動会議(CPAC)会場で丁寧に布拭きされる黄金色のトランプ前米大統領像。26日には本物のトランプも登場して演説した。
2024年の次期大統領選に向けた共和党候補指名争いの模擬投票では、トランプが59%の支持を得てトップに。根強い人気を見せつけた。
https://news.yahoo.co.jp/articles/40ff35932ce6f475b2bc7f7f0d9095d04786f2a9

『トランプ信者 潜入一年 私の目の前で民主主義が死んだ』

横田増生/著 小学館 2022年発行

第10章 Qアノンと行く「連邦議事堂襲撃」への道 より

ワシントンDCに向かうためライシングのアパートを早朝に出発し、デトロイトの空港で飛行機を乗り換えたのは、5日の朝8時台のこと。
3人掛けの座席で私が座るのは通路側。真ん中の席は空席で、窓際には白人女性が座っていた。朝食代わりなのかラズベリーパンを食べながら、数独の升目を埋めていた。
ブルーのシャツの上に同系色のジャケットを着ていた女性の胸元を見ると、ビーズ細工で《Qanon》の文字があった。
私は慌てて名刺を探し出し。自己紹介してから、
「Qアノンの信者なんですか?」
と尋ねた。
「そうよ、Qアノンの信者(フォロワー)よ」
と、笑顔で答えたのは、ミシガン州ミルフォードに住むホーリー・スパルディング(47)だった。
スパルディングが、トランプ再選を後押しするため、ワシントンDCに行くのは、3回目になる。《アメリカを救え》という集会が開催され、それに参加していたのだ。前の2回は知り合いと車でワシントンDCに来たが、今回は、これまで貯めた航空会社のマイレージを使い飛行機に乗った。
QアノンのQとは集団の主宰者を差し、そのQが出す質問に対し、匿名(アノニマス)の信者がその答えを探し出す。Qアノンとは、小児性愛者と闘うという極右の陰謀論集団のことだ。FBIは、Qアノンが国内テロの脅威になり得るととらえている。
私は1年近く、このQアノンの信者に取材したいと思っていたのだが、それが、あっさりと叶った。

アメリカ人の陰謀論好き

Qアノンにしろ、”闇の政府(ディープステイと)”にしろ、アメリカ人はどうしてここまで陰謀論にのめり込むのか。日本人からすると、アメリカ人の陰謀論好きは理解を超えている。だが、そこにはアメリカの歴史が深く絡んでいた。アメリカ人の陰謀論好きには、この国の原型がキリスト教の信教の自由のために作られたことが深い関係している。
また、キリスト教陰謀論には親和性がある。
キリスト教では、この世界の背後には神という目には見えない支配者がいて、自らの意思で宇宙全体を導き、計画を実行しているというのが、その基本的な考え方。現実世界で見えている点と点を結ぶと、いつの間にか大きな絵が浮かび上がってくる。これは陰謀論と同じ構図だ。
アメリカは近代の合理主義と啓蒙主義から生まれた国なので、物事はすべて合理的に進むという歴史的認識がある。だから、少しでも不合理なことや、意図せざる物事が起き始めると、何かがおかしいのではないか、だれかがよからぬことを企んでいるのではないかという論理が自然に発生する。
説明のつかないものを、どうにかして納得しようとする時、キリスト教の基本構造とアメリカ固有の合理主義史観が合わさることで、陰謀論の温床ができあがる(「中央公論」21年5月号 国際基督教大学教授・森本あんり談)。
アメリカ史において陰謀論の対象と対象とされてきたのが、魔女やカトリック教徒、フリーメイソンアメリカ先住民などである。
トランプが2016年に大統領になったことと、陰謀論アメリカの隅ずみにまで浸透したことには深い関係がある。

唯一のデモ

ちょうど、バイデンが就任演説をしているころ、私は、議事堂から徒歩数分ほど離れたアムトラックのユニオン駅前にある公園で、この日、唯一実施していたデモを取材していた。
中絶反対を掲げる南部のキリスト教右派で白人男性中心の団体。総勢10人ほどが、
「中絶は殺人」
「悔い改めよ、さもなくば消え去れ」
「同性間の性行為反対、イスラム教反対」
「どうしてお前が地獄に行かなければならないのかを教えてやろう」
――といった過激なメッセージが書かれたプラカードを掲げていた。
彼らの前には、同じぐらいの数のデモに反対する人たちが対峙している。
キリスト教右派のデモと大統領の就任式に、どのような関係があるというのか、
トランプは、中絶反対を最も鮮明に打ち出した大統領だった。ちょうど1年前トランプは現職の大統領として初めて、中絶反対団体《命のための行進》に参加して、演説をした。中絶反対派の票を固めるためだった。
私はここで、6月のミネアポリスの取材で知り合った在来のカメラマンと半年ぶりに顔を合わせた。彼は私にこう教えてくれた。
「「ヤツらは、ガチガチのトランプ支持者たちで、南部でトランプが集会を開くと、必ず現れる連中です。僕は見飽きているので、写真を撮る気にもならないですね」
トランプの再選という夢が破れた鉄板支持者が、その主張を中絶反対と衣替えし、怪気炎を上げる。

信者との再会

就任式の翌日21日、議事堂やホワイトハウス周辺の柵はまだ残っていたが、多くの柵は取り外されていた。前夜、テレビに映っていたリンカーン記念堂まで行けそうだ。リンカーン記念堂は、デモや集会が開かれる場所だ。
そこまで行けば、もしかしたら、トランプ信者に出会えるかもしれない。
私は毛糸の帽子を被り、リンカーン記念堂に向かった。
しかし、そう考えたのは私1人ではなかった。
記念堂には多くの軍人が自動小銃を構えて立っており、トランプ信者が近づく隙もなかった。
やっぱりだめか、と思っていると、見覚えのある長身の男性が、角笛を手に、祈るように跪(ひざまず)いている。
プロバスケットボール選手のデービッド・ウッドである。
私が、この前は話を聞かせてくれてありがとう、と言うと、一拍の間があって、あぁ君か、という表情が返ってきた。

――あなたは先日、つまり就任式の翌日の21日、バイデンが辞任すると言いましたが、その兆候はないようですね。

「そうだね。私も本当にびっくりしているんだ。けれど、それはすべて神の計らいなんだ。神がどこまで深く、物事の真相を見きわめようとしているのかは、だれにも分からない。私は、トランプが3月4日に大統領になる、という情報をつかんでいるんだがね」
3月4日就任説、初代大統領のジョージ・ワシントンからフランクリン・D・ルーズベルトまで、大統領の就任式が3月4日に行われていたことから湧き起ってきた新たな陰謀論である。陰謀論というより、ここまでくると単なる願望、いや妄想か。
私がそう思っていると、極東から来た無信心なジャーナリストを憐れんでか、ウッドはこう話し始めた。
「君は、自分の髪の毛の数が何本あるのか知っているかい? 神は君の髪の毛の本数まで正確に知っているんだ。それくらい、神は君のことを深く愛しているんだよ。分かるかい。じゃあ、ここで一緒にお祈りをしよう」
そういうウッドに敬意を表して、私は被っていた毛糸の帽子を脱ぎ、彼の言葉を復唱した。