じじぃの「知りたくない話・頭部移植手術・頭を取り換える!禁断の世界」

Head transplant team’s animal tests fail to convince critics (CONTENT WARNING)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=sDyeONMjAU4

Head Transplantation: The Future Is Now | Dr.Sergio Canavero | TEDxLimassol

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_EHCHv5u3O4

Dog Head Transplant

Head Transplants: Sergio Canavero Is About to Perform the First Human Surgery-and There's Nothing to Stop Him

11/13/17 NEWSWEEK
Canavero objects to the notion that past studies have lacked a control, a group of patients who did not receive the experimental treatment, so the results can be compared.
He contends that only one of the studies lacked a control group, and that in that case, it wasn't necessary.
He and his team severed the spinal cord of a dog, which subsequently appeared to regain some movement. As a single case study, it provides proof (in Canavero's eyes) that the spinal cord can be re-fused.
https://www.newsweek.com/head-transplant-surgeon-sergio-canavero-dangerous-maverick-medical-revolution-709332

中国とイタリアの医師が遺体を使った頭部移植実験を実施

2018.01.10 NEWSポストセブン
任小平氏中国共産党機関紙「人民日報」のインタビューでも「私たちは思い付きで、軽々しく頭部移植の研究を行っているわけではない。この移植技術があれば、脳は健康だが、脊椎損傷やがん、筋萎縮症などの身体の疾患に苦しめられる患者を助けられるようになるかもしれない」と語っている。
つまり、生きている患者の頭部を、脳死状態の健康な遺体に移植する手術が行われるわけだが、中枢神経や血管、その他の部分を拒絶反応なく、接合できるかどうかなど課題は多く、極めて難しい手術となることが予想される。
これについて、任氏は同ラジオ局のインタビューで「60年前に腎臓移植が初めて行われた際、医学界は極めて懐疑的だったが、いまは当たり前のように行われている。頭部移植も同じことで、後から振り返れば、至極当然の手術となるのではないか」などと答えている。
また、任氏は「動物実験などで、安全性が確認されない限り人間の手術は行わないが、すでに、遺体を使った実験は成功している」などと自信満々だ。
https://www.news-postseven.com/archives/20180110_640574.html/2

『科学で解き明かす 禁断の世界』

エリカ・エンゲルハウプト/著、関谷冬華/訳 ナショナル ジオグラフィック 2022年発行

パート3 タブーを破る より

#11 頭を取り換える 世界最大のタブー手術

ヴァレリー・スピリドノフはひどく小さく見えた。彼が着ているものはどれも真っ白だった。ボタンダウンシャツからズボンから靴下まで全部だ。膝には白い毛布がかけられていた。電動車いすに体を固定しているストラップだけが白ではなく黒だった。スピリドノフの病状は深刻だ。彼は脊髄性筋萎縮症というまれな進行性の運動ニューロンの病気を患いゆっくりと死に向かっていた。
スピリドノフはまだ動く左手を使って車いすを操作しながらホテルの会議室に入ってきた。そこで彼は改めて、自分の頭を新しい体に移植する最初の人間になりたいと思っていることを話してくれた。
2015年6月12日、当時30歳だったスピリドノフは、メリーランド州アナポリスで開かれた米国脳神経外科・整形外科学会(AANOS)の年次大会に出席するためにロシアから米国に飛んだ。彼が会場に駆けつけたのはイタリアの外科医、セルジオ・カナベーロの応援のためだった。頭部移植手術を提案するカナベーロは、学会の基調講演を行うことになっていた。
集まる外科医が100人に満たないほどの小規模な学会は、ごく普通のウェスティンホテルで行われた。私が到着したとき、カナベーロがロビーで即席のちょっとした記者会見を開いていた。その様子はまるで、大きな試合を見るために集まった大勢の観客を盛り上げようとしているコーチのようだった。部屋から人があふれそうだったので、学会の主催者であるマギー・カーニーは記者を追い返す仕事にずっと追われていた。彼女は、ここ15年の間にこの学会に記者が取材にやってきた記憶はないと言っていた。
カナベーロの話は3時間近くも続いた。彼は脊髄損傷と回復について研究した論文を引用しながら、中枢神経系のさまざまな部位が再生する可能性について言及した。彼は脳神経外科学の基本的な前提のいくつかは間違っているという自分の信条を披露した。時折、彼はスピリドノフや車いすを指さし、高らかに宣言した。「彼が再び歩けるようになるためのカギとなるのは脊髄固有ニューロンだ!」。カナベーロの話が終った頃には、部屋にいた記者の大半がぐったりしていた。
頭部移植は「死ぬよりひどいことになる」、あるいは患者の正気を失わせる恐れがあるという反対意見を聞かされたカナベーロは、スピリドノフの方に向き直って尋ねた。「君の(今の)状態こそ、君の気を狂わせる恐れがあると思わないかね」。スピリドノフは静かに肯定の意思を示した。
「いずれは遺伝子治療と幹細胞が彼らに幸福な未来を与えてくれることは間違いないだろう」とカナベーロは言った。「しかし、この男性にとってそれでは遅すぎる」
話が終わりに近づいた頃、カナベーロはようやく手術についての大まかな説明を始めた。彼の計画では、ナノレベルの切れ味に研ぎ上げた特殊なメスを利用して脊髄をきれいに切除する(このあたりの詳しい説明を聞いたときのスピリドノフの様子はわからなかったが、どんな反応を見せたのだろう?)。移植中の切断部での細胞壊死を最小限に抑えるために、スピリドノフの脊髄はやや下の位置で切断し、移植先の体はやや上の位置で切断し、切ったばかりの断面をつなぎ合わせられるように直前にもう一度薄くスライスする。次に、(動物実験で効果が実証されている)ポリエチレングリコールをいくらか加えて神経の再生を促進し、特殊な連結器具で切断面をつなぎ合わせる。これでおしまいだ。電気刺激を与えると、さらに再生が促される。
このような移植シナリオで、脳が別人の体をコントローラできるようになるかどうかは、切断された脊髄の修復が重要なカギとなる。脳と体の間で信号をやり取りできるようにならなければ、移植が成功したとはいえない。

知られざる頭部移植の歴史

セルジオ・カナベーロが人間の頭部移植手術の計画を公表した時点で、ほとんどの人は知らなかったが、100年以上前からこの分野ではひそかに実験が進められていた。少なくとも外科的な意味合いで恐ろしい方法が使われたこともあったようだ。
1908年 チャールズ・ガスリーが切断したイヌの頭を別のイヌの首にくっつか、大動脈をつなぎ直して血流が新たにくっつけた頭に流れてから元の頭に流れるようにした。移植された頭を約20分間血流が途絶えていたために、最低限の動きしか取り戻せなかった。
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2013年 セルジオ・カナベーロが人間の頭部移植を提案した。彼は『サージカル・ニューロロジー・インターナショナル』誌で、脊髄をきれいに切断して損傷を最小限に抑え、ポリエチレングリコール(PEG)を使用して脊髄をくっつける手術の大筋を紹介した。
2014年 カナベーロの共同研究者である任小平が率いる中国のチームがマウスの頭部移植実験を報告し、黒い頭を持つ白いマウスや白い頭を持つ黒いマウスを誕生させた。マウスは人工呼吸器を外された後も最長で3時間生きていた。長い時間ではないが、提供側のマウスの体の脳幹をそのまま維持することで、心拍と呼吸をコントロールし続けることができたという。
2015年 カナベーロが頭部移植手術に関する詳しい情報を公開した。彼が提案したやり方は、頭部と提供者の体を冷やして酸素不足による細胞の損傷を押え、他の研究で脊髄の修復を促進する効果が認められているPEGと電気刺激を用いる「ジェミニ」と呼ぶ処理を行って脊髄をつなぐというものだった。
2017年 中国のハルビン医科大学でカナベーロと任小平が率いるチームが世界初となる人間の頭部移植を行った。ただし、用いられたのは死体だった。18時間に及んだ手術は、生きた人間の体で手術を成功させるための予行演習だった。「このリハーサルで人間のCSA(頭部移植)手術が実現可能であることが確かめられ、手術計画をさらにしっかりと検証できた」と彼らは報告している。

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どうでもいい、じじぃの日記。
先日亡くなった立花隆さんの本に『脳死』がある。
少し古い本(1988年発行)だが、心臓移植手術を行った当時 札幌医科大学和田寿郎教授に対して厳しいことが書かれていた。
ドナーは海岸で水泳中に溺れた男性。その後残された医療の記録が曖昧のまま脳死と診断され心臓を取り出された。まだ生きているうちに摘出されたという疑惑だった。

「2014年 カナベーロの共同研究者である任小平が率いる中国のチームがマウスの頭部移植実験を報告し、黒い頭を持つ白いマウスや白い頭を持つ黒いマウスを誕生させた」

確かに、映像からは頭部移植が成功したように見えます。
ただ、手術のサンプル数が圧倒的に少ないのです。
マウスやイヌでの頭部移植実験から、いよいよ1~2年以内に人間にと予定しているようですがどうでしょうか。
手術が成功したとしても裏には、知りたくない話もあるかもしれないのです。