じじぃの「科学・地球_306_人権の世界ハンドブック・アメリカのマイノリティー」

History of Race & Ethnicity in the United States (1610-2060)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=4iUAZqytK98

アメリカのマイノリティ

アメリカでマイノリティが多数派になる日

2015-06-26 ONEDOG:壁打翻訳手習帳
米国において、白人人口は完全に停滞している一方で、マイノリティの出生数は死亡数をはるかに上回っていることが、木曜日に米国国勢調査で報告された。これは、白人人口をマイノリティ人口が追い抜く日が米国で近づいていることを示している。
この統計によれば、米国のマイノリティ人口は2004年には米国住民の32.9%であったが、2014年には37.9%にまで増加した。そして、ワシントンD.C.と同様に、ハワイ、カリフォルニア、ニューメキシコ、テキサスの4州では、マイノリティが多数派になった。マイノリティ人口が48.5%を占めているネバダ州が、おそらく、この4州に続くだろう。
https://onedog.hatenablog.com/entry/2015/06/26/204355

『地図とデータで見る人権の世界ハンドブック』

カトリーヌ・ヴィトール・ド・ヴァンダン/著、土居佳代子/訳 原書房 2021年発行

新しい権利の獲得 より

人権は一度あたえられた普遍の原理の集合体で構成されているのではない。人権には歴史があり、その歴史は今日もなお書きつづけられている。社会や経済の変化、そこから生じる新しい渇望、市民社会の当事者たちの要求、情報科学や生物医学(バイオメディカル)の技術の進歩が体現する挑戦などの影響下に、変容することをやめない。

戦争を根絶することができないかわりに、国際人道法は戦争を「文明化」しようと試みた。ニュルンベルクで生まれた国際刑事法は、性質からも規模からも全人類にかかわるような犯罪が無処罰であることに終止符を打とうとした。グローバルゼ―ションと将来の世代に対するわれわれの責任の認識が、新しい権利を構想するのを余儀なくさせる。たとえば環境や持続可能な開発にかんする権利、移動する権利などだが、これらは国家に互いに関連する義務を課している。

マイノリティーの権利

マイノリティーは長いあいだ、とくに国民国家において、国民のまとまり、さらには政府にとってのさまたげだと考えられていた。いまも多くの国家が、民族的、宗教的、言語的、文化的に一様でありたいと願っている。だが、ある人々は自主独立を要求し、あるいは権利や国家を奪われている状況にもかかわらず、彼らの権利はゆっくりとだが認識の対象となっている。

マイノリティーとはなにか?

マイノリティーは、マジョリティーといわれることの多いほかの集団に比べて少人数をいう。この用語は、19世紀から20世紀にかけて、国民国家を中心に構成されている国家が、均一であるという神話を維持しつつ、新しい政治主体のなかで、完全な権利を認められない集団を編入したとき、多く聞かれた。マイノリティーは、オーストリアハンガリー、ロシア、オスマン帝国といった大帝国のなかに多く存在して、トルコのミレット[オスマン帝国時代、非トルコ人イスラム教徒に認められた宗教自治体]のように特別な権利を認められていることもあったが、多くは不平等な立場にあった。ユダヤ人、あるいはカトリック国でのプロテスタント、さらにはイスラムの国の東方教会のような宗教的マイノリティーは、非常に厳しい差別に苦しんできたが、いまもときにその犠牲となることがある。反抗するマイノリティーは多民族で成立している国家を分裂させる。
レバノンや旧ユーゴスラビアでのように内戦にさらされて、あるいは反対に国家の継承によってバングラデシュミャンマーでのように、無国籍になってしまったり、さらには自分たちの領土から追われたり(パレスチナ人、アルメニア人)することもある。またマイノリティーは言語によることもあるし、事実上の状況で成立することもある。そのため、世界中では6000以上の言語が話されているが、多くは危機に瀕している。別のマイノリティーは、社会的地位もなく場違いのように、浮いている。そして、マジョリティーであってもマイノリティーとして扱われることさえある(女性)。

普遍的な目標のために?

個人の市民権や国籍は市民の平等権の実践における不平等を防ぐのに役立つものであるにもかかわらず、国家や国境線がしばしばマイノリティーを決める原因となる。特定のグループに集合的な権利を認めているヨーロッパの国はごく少なく、移民人口をもつ国は彼らに民族的ということよりも社会的経済的問題についての特別な方策として積極的差別[被差別者優遇措置]を認めたこともある。多くの国際組織(欧州評議会EU、国連)が、マイノリティーの権利を守ろうと努力している。それらは普遍的な目的を立てるが、その目標はアイデンティティに関する集団的政治化の源ともなりうる。
マイノリティーが沈黙のうちに迫害され、虐殺されて減らされるのは、しばしば同質のユートピア的国家においてである。国民国家の世界でマイノリティーと和睦することは、新しい権利の獲得を意味する。すなわち平等な公民権、結社や言語的・文化的・宗教的表現の権利、差別に対する闘いの普通法への組み入れである。いくつかの少数民族は今日もなお、国家(パレスチナ人、クルド)、権利(東方教会)、国籍(バングラデシュミャンマーの無国籍者)を奪われている。国家をもつことができた人々もいるが(バルト諸国)、彼らの新しい国家のなかに極少数民族を受け入れたことで、互いのバランスが不安定になったことで、互いのバランスが不安定になっているところもある(ベルギーやレバノン)。