じじぃの「科学・地球_57_エネルギーの世界ハンドブック・核融合・ITER計画」

【NTT】IOWN技術を活用し核融合の安定運用に貢献します

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ch6pb9wbvyE

ITER:International Tokamak Reactor (INTOR)

Europe beats Japan to ITER prize

28 Jun 2005 Physics World
The ITER fusion experiment will be built in at Cadarache in the south of France.The decision was announced by the six ITER partners - China, the European Union (EU), Japan, Russia, South Korea and the US - at a ministerial meeting in Moscow this morning.
As part of various concessions to Japan, which had also offered a site for the project, the EU has agreed "privileged partnership" status for Japan, which includes support for a Japanese director-general for the project and a significant financial package.
https://physicsworld.com/a/europe-beats-japan-to-iter-prize/

核融合

ウィキペディアWikipedia) より
核融合炉は、原子核融合反応を利用した、原子炉の一種。発電の手段として2021年時点では開発段階であり、21世紀前半における実用化が期待される未来技術の一つである。
【実用化に向けて】
2016年3月18日、文部科学省は現在の実証炉ITER(イーター)以降の次世代炉を三菱重工東芝(東芝エネルギーシステムズ)と共同で研究し2035年頃の建設を目指す予定と日本経済新聞が報じた。
2017年8月9日、岐阜県土岐市にある核融合科学研究所は大型ヘリカル装置(LHD / 超伝導核融合プラズマ実験装置)を使った実験で、世界で初めてプラズマ中のイオン温度を核融合発電に必要とされる1億2000万℃まで達成させることに成功したと発表した。再現実験も行い、恒常的にプラズマ温度を1億2000万℃まで引き上げられることも確認したという。今後は高密度化などによりさらに高性能なプラズマの生成を目指し、今世紀半ばには核融合発電を実現したいとしている。
2018年3月9日、米国マサチューセッツ工科大学(MIT)が企業と協力して、発電可能な核融合炉を15年以内に建設する計画を発表した。

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『地図とデータで見るエネルギーの世界ハンドブック』

ベルトラン・バレ、ベルナデット・メレンヌ=シュマケル/著、蔵持不三也/訳 原書房 2020年発行

「クリーン」な石炭と福島後の原子力発電 より

石炭は大量の埋蔵量と魅力的な価格、そして地政学的なリスクが小さいという利点をもっているが、その反面、火力発電所による大気汚染や炭鉱事故、さらに人間によるCO2排出量の30%を占めるという弱点もおびている。こうしたなかにあって、はたして「クリーンな石炭」など考えられるのだろうか。一方、原子力エネルギーは世界全体の電気量の11%を担っている。このシェアは拡大しつつあったが、福島の事故によって安全性にかんする論議がまきおこっている。いずれそれは合意をみるのだろうか。

原子力は環境問題への解決策となるか?

1986年、ウクライナ地方のチェルノブイリで起きた原子力発電所の爆発とそれに続く火災は、ヨーロッパの大部分を汚染し、長いあいだ、発電所の周囲30kmは立ち入り禁止となった。
さらに2011年3月、巨大な地震津波とに襲われて、福島第1原子力発電所の原子炉3基が連鎖的に炉心溶融を起こした。放出された放射能物質の大部分は太平洋に流されて希釈され、現場から50kmまでの土地(おもな北西方)が汚染された。6回におよぶ徹底的な調査のあと、今日、放射能がこれから公衆衛生に重大な影響をあたえることを示すものはなにもないとされている[ただし、調査報告書にもりこまれた地域住民の甲状腺障害などにかんするこの結論に対しては異論も出されている]。しかし、事故現場の浄化や周辺地域の除染作業は30年から40年かかり、それには巨額の費用がかかるだろう。
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福島の事故後、稼働中の原子炉の安全性を第3世代の原子炉のそれに近づけるため、前者の原子炉(欧州加圧水型炉 EPR)を強靭化する重要なプログラムが開始されている。

核融合、イエス、だが、いつ?

重い原子核が2個以上のより軽い原子核に分裂するとき、エネルギー[この束縛エネルギーが原子力エネルギーとして利用される]を放出する。これを核分裂という。2個の軽い原子核を融合させても、同様にエネルギーを放出する。核融合である。ただ、核力[原子核内の各核子(陽子、中性子)同士を結びつけている力]は巨大だが、力の相互作用半径(到達距離)は極端に短い[核子同士が十分に近づかなければ働かない]。
核融合を成功させるには、それゆえ核力が原子核同士を切り離そうとする静電的な反発力[クーロン力]を超えるまで、2個の原子核を近づける必要がある(恒星の場合は、重力が水素原子とヘリウム原子の、ヘリウム原子と炭素原子などの融合を可能にしている[この核融合によって生じる巨大なエネルギーが、恒星の光源となる])。
21世紀に地球上で実現できると期待される唯一の核融合は、水素のふたつの同位体である重水素(deuterium)と三重水素(tritium)の核融合である。このD-T核融合から、ヘリウム原子核(アルファ粒子)[放射線の一種であるアルファ線はアルファ粒子の流れ]と中性子、そして大きなエネルギーが生成される。このD-T核を強制的に融合させるためには、「プラズマ」[電離によって生じた荷電粒子をふくむ気体]を1億度から1億5000万度まで加熱して熱攪拌を起こし、きわめて高速でこれらの原子核を近づける。ただ、この超高温のプラズマが炉壁と接触しないよう、トカマク[磁場]とよばれる磁力線の一種の「牢獄」に隔離する「磁場閉じ込め方式」。ほかに「慣性閉じ込め方式」もあるが、これはむしろ軍事的な目的で開発されている。核融合を制御するのはきわめてむずかしい事業であり、国際的な科学者団体はこれまで50年以上もそのための努力を重ねてきた。

ITER計画

2005年、世界の主要7極(EU、日本、ロシア、アメリカ、中国、韓国、インド)は、カダラシュ(フランス南東部)にITER(国際熱核融合実験炉)と命名された世界最大のトカマクを建設することを決めた。このプラントは2022年頃に実証実験に入り、2027年頃にD-T核融合に移行することになっている。