じじぃの「歴史・思想_371_言語の起源・インド・ヨーロッパ語族」

Aryan Migration: Who are our ancestors, really?

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uBuZ9Kd0yRA

Indo-European language throughout Europe and the Middle East.

Aryan

From Wikipedia
●Racial Theory: White supremacy and Nazism
Drawing on misinterpreted references in the Rigveda by Western scholars in the 19th century, the term "Aryan" was adopted as a racial category by French writer Arthur de Gobineau, whose ideology of race was based on an idea of blond northern European "Aryans" who had migrated across the world and founded all major civilizations, before being diluted through racial mixing with local populations.
Through the works of Houston Stewart Chamberlain, Gobineau's ideas later influenced the Nazi racial ideology which saw the "Aryan race" as innately superior to other putative racial groups. The atrocities committed in the name of this racial ideology have led academics to avoid the term "Aryan", which has been replaced in most cases by "Indo-Iranian", with only the South Asian branch still being called "Indo-Aryan".

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『言語の起源 人類の最も偉大な発明』

ダニエル・L・エヴェレット/著、松浦俊輔/訳 白揚社 2020年発行

共同体とコミュニケーション より

ウィリアム・ジョーンズ(18世紀の終わりにイギリス領インドで判事を務めた)は、その優れた語学センスを使ってさまざまな言葉を話すだけでなく、そうした言語を科学的に理解したいとも考えていた。そして本書での話にとって最も重要なことに、ジョーンズはそうした言語間の歴史的なつながりについての証拠も探していた。
ジョーンズは、さまざまな資料に当ってデータを収集する過程で、史上でも指折りの「ヘウレーカ(わかった!)」の瞬間を体験した。そこからさかのぼること100年以上前の1686年にドイツのアンドレアス・イェーガーが最初に気づき、1767年にはインドに派遣されていたフランスのイエズス会宣教師ガストン・ローラン・クルドゥーによって再発見されていたある事実に気づき、あらためて3度めとなる発見をしたのだ。イェーガーやクルドゥーの成果はほとんど知られていなかったがジョーンズが独自に得た同じ事実への洞察は、人間のコミュニケーション研究における最大級の発見として2世紀以上にわたって語り継がれている。その洞察とは、サンスクリット語ギリシャ語、ラテン語、ゴート語(ゲルマン語系の言語)、クルト語はすべてその起源を共通の祖先にさかのぼれるということだった。つまりこれらの言語は姉妹言語だったのだ。その母に相当する言語――そしてこれから』発見されたり、これからこの系統に加えられたりするかもしれない多くの同胞言語の母に相当する言語――は印欧齟語(そご)と呼ばれるようになった。ジョーンズ、イェーガー、クルドゥーとともに、言語の起源の研究は本格的に始まった。
それから100年近くの後、ドイツのワイマール近くで、言語の起源研究のための、これまた重要なツールが開発された。1850年、29歳のドイツ人言語学者アウグスト・シュライヒャーが、人間の言語は、生物学的な有機体と同等に、属、種、変種などによって互いに関係する――動物界や植物界で成り立つことがわかっているのと同じ関係の――有機体として研究すべきとする本を刊行した。シュライヒャーは、言語どうしの進化的な関係を表現する最善の方法は「系統樹」であると説いた。このシュライヒャー説は、言語の歴史と進化に対する大きな貢献となっただけでなく、「自然な由来」という概念も世に出した――これはダーウインが『種の起源』を刊行する9年前のことだった。
シュライヒャーとジョーンズの成果は、他の人々が言語間の関係について深く考えるきっかけとなった。インド、ドイツ、フランス、イギリスなどで開発が始まった言語系統樹を構築する方法を使うと、特定の言語の起源がいつ、どこにあるかを探して時間をさかのぼれることが明らかになった。その後、印欧語がヨーロッパの大半の言語の母だったことが発見された。さらに、この印欧語がペルシャ語ヒンディ語など他の多くの非ヨーロッパ言語の母でもあることが発見された。すると当然、当の印欧語の母は見つかるかという問いが生じる。いなでは印欧語が現代ヨーロッパ諸語に分かれ始めたのはおよそ6000年前だったことがわかっている。さらにさかのぼれるだろうか。1万年前は? 10万年前は? 比較言語学や歴史言語学の方法を使えば、最初に話された言語を実際に再構成できるのだろうか。
現代の言語学者の大半は、この問いに対してはっきりと「ノー」と答える。ジョーンズの研究法は注目を浴びたが、約6000年前で壁にぶち当ったように見える。さらに先に進むには、他の分野、たとえば古生物学、考古学、生物学などの方法が必要となる――また保存された諸言語のサンプルという、決して手に入らないようなものも必要になるかもしれない。
それでも疑問は残る。仮に6000年以上前までさかのぼれるとしたら、どこに行き着くのだろう。ジョーンズやシュライヒャーなどの探求は、人間の言語の巨大な系統樹の根本にある1つの言語まで連れて行ってくれるだろうか。そう考える人もいる。スタンフォード大学の教授だった故ジョセフ・グリーンバーグは、人間の言語を1つの起源にまでさかのびれると主張し、賛同者たちとともに、その起源を「サピエンス祖語」と呼んだ。しかしそうは考えない学者たちもいる。こちらは先史時代のヒト族のさまざまな共同体にさかのぼる何本もの系統樹があると唱える。グリーンバーグらは、一元発生、つまり人間のあらゆる言語について唯一の始まり――1つの母語――があるとする仮説を信じている。多元発生という、現代人の言語には複数の進化の始まりがあるとする説を唱える人々もいる。こちらの人々は、現代人類の祖先がアフリカを出る時点で異なる言語を話していたと論じる。別々の話し手共同体が別々の言語を育て、それぞれが起源となるので、現代の全言語の起源は複数となる。ただ、一元発生説と多元発生説のどちらが良いかという選択は、人類の言語進化を再構成しようとするときに直面する数多くの問題の1つにすぎない。
他の方法、つまり言語学以外の他の科学を使えば、時間をさらにさかのぼれることはわかっている。しかしこれらの方法はわれわれを言語の始まりまで連れて行ってくれるだろうか。誰が最初に物語を語ったのかについて、何かしら知ることはできるのだろうか。

最初に「アイラブユー」と言ったのは誰なのか。