じじぃの「盗まれた遺産・盗掘者は自慢したいだけ?宇宙考古学の冒険」

The Mummy's Curse | Lost Treasures of Egypt

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=9aG7S3IpgrU

looting pits in Egypt

Satellite images show spike in looting at Egyptian sites

2/18/2016 The Archaeology News Network
For the last several years, "space archaeologist" Sarah Parcak, an associate professor of anthropology at the University of Alabama at Birmingham, has pored over satellite images to discover lost pyramids, tombs and cities buried in Egypt.
(She's even detected the network of streets and houses of ancient Tanis, the city featured in the Indiana Jones movie "Raiders of the Lost Ark.") In her latest study, Parcak didn't analyze ancient features, but rather looked at modern ones in Egypt: the holes in the ground left by tomb robbers and antiquities thieves.
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2016/02/satellite-images-show-spike-in-looting.html

『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』

サラ・パーカック/著、熊谷玲美/訳 光文社 2020年発行

盗まれた遺産 より

ある博物館に、彩色された美しい壺があると想像しよう。その壺がまとう柔らかな金色の光が、表面に描かれたほのかな赤と青のパターンを際立たせる。思わず見とれてしまう。もっと詳しいことを知りたいと思って、添えられた説明を読む。「マヤの土器。中央アメリカ。ハンリー・スミス・コレクションの一部。9.201.1993.」控えめにいっても、こんな説明ではまったく役に立たない。
博物館の学芸員は、その鬱が、発掘されて展示されている他の器と似ていたので、マヤ文明のものと分類したのだろう。しかしこの遺物は、ある収集家の遺贈品としてこの博物館に来たものだ。何の文脈ももたないし、マヤの遺物との関連も、その周辺で見つかっていたであろう他の遺物とのつながりもない。実際のところ、何の情報もないのだ。なぜなら、考古学者が発掘したものでないからだ。発掘したのは盗掘者だ。
それが珍しい種類の器なのか、王の即位式で使われたものなのか、普通の家族が1番大切にしていた所持品なのか、大事な祭礼のために年に数回持ち出された神聖なものなのか。それが明らかになることは決してない。古代の遺物が、ただの物とみなされるようになる。背後になんの意味も目的もない、美しい、命のない物だ。それが日常生活で果たしていた文化的な役割は永遠に失われる。物が持つ真の価値を人々に理解させるのは、大変な努力を要する仕事だ。もしかしたらその責任は、専門家以外の読者を相手にしない不可解な学術論文をたくさん書きすぎている学者にあるのかもしれない。テレビ番組が華やかな金の遺物ばかりを取り上げて、それを単なるモノとして扱っているせいもあるだろう。とはいえ、金銭的な価値と文化的な価値の違いを世間の人々に気付いてもらうのはひどく難しいことだ。
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古代の遺物を評価するのは、正直なところ、大変なことだ。あらゆる古代の遺物に値段をつけられないほどの価値があるというのは、熱を入れすぎだろうし、少なくとも現実的ではない。さらに、研究への熱意を失った学者でも、美しいものの魅力には勝てない。ツタンカーメン王のデスマスクは、エジプトを訪れる人が1番に見たがるものだ。私もエジプトに行ったらいつも、一直線にそのデスマスクに挨拶をしに行く。そこに使われている高価な材料に目が行きがちだが、この遺物には、揺らめくように光るデスマスク以上の意味がある。それは、考古学が持つ可能性の象徴なのだ。つまり、土の中で見つけられるのを待っている、あらゆる遺物の象徴である。
しかし、個人のコレクションの一部である古代遺物は、「価値」という概念に別の一面をもたらす。なかには、家宝として大事にされているものもあれば、所有者が博物館や特別な展示会で進んで一般公開しているものもある。しかし一部のコレクターは、古代遺物をただむやみに欲しがる。彼らはあきらめられないし、コレクションを増やさなければ気が済まない。そして、どうしてもほしいものを手に入れるために誰が苦しもうと気に留めない。
古代遺物であふれる家を訪問したことのある友人や同僚の話によれば、持ち主はその古代遺物を見せびらかして、どうやって手に入れたかを自慢げに話したいだけなのなのだという。彼らがそういう古代遺物を手に入れるのは、ハンターがスポーツハンティングで野生動物を殺すのに似ている(無駄に強力な銃器を使っているが、最低限のスキルしかない)。その古代遺物を家に飾るのは、ハンターがぞっとする非常識な写真でポーズをとったり、戦利品である獲物の顔や角を壁に飾ったりするのと同じだ。持ち主は、その古代遺物の具体的な来歴を知っていたとしても、たいていは国や地域のレベルまでである。それでかまわないと思っているからだ。

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どうでもいい、じじぃの日記。
飛行機や宇宙からの衛星から地上を見た場合、自然にはありえない人工物のような形状の景色が現れてくる。これが宇宙考古学だ。
エジプトの古代遺跡群を空から俯瞰してみると、あちこちに小さな穴が点在している。
これらは盗掘者によって盗掘に遭った墓だ。
エジプト文明の黄金期は紀元前1570年頃から紀元前1070年頃でエジプト新王国時代と呼ばれた。
ツタンカーメンが生きた時代は紀元前1341年頃から紀元前1323年頃で、ちょうどエジプト新王国の時代だ。この時代はエジプトの最強の王と呼ばれたラムセス2世が生きた時代でもあった。
彼らは皆、それぞれの墓でツタンカーメン王のような黄金のマスクをしていたのであろうか。
酒井伝六著『エジプト学夜話』にツタンカーメン王の墓が奇跡的に盗掘を逃れた理由が書かれていた。
「やがて、王墓の安全のために、これを大掛かりに土砂で埋めて匿してしまう計画がマヤによって立案された」
一人の優れた忠臣なマヤがツタンカーメンの王墓を守り続けたからだった。
サラ・パーカック著『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』という本に盗掘者が盗掘する動機が書かれていた。
「持ち主はその古代遺物を見せびらかして、どうやって手に入れたかを自慢げに話したいだけなのなのだという。彼らがそういう古代遺物を手に入れるのは、ハンターがスポーツハンティングで野生動物を殺すのに似ている」
考古学者が遺物を見る目はまったく違う。
「考古学が持つ可能性の象徴なのだ。つまり、土の中で見つけられるのを待っている、あらゆる遺物の象徴である」
考古学者から見れば盗掘者は、野蛮で、どうしようもない人たちということになるのだろうか。