じじぃの「科学・芸術_987_中国でいま何が・官能小説で実刑判決」

“BL”小説家に実刑判決 LGBTに厳しい環境 中国(19/01/31)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=L9QXkJVgETo

中国のBL小説 「魔道祖師」

中国の女性BL作家が懲役10年半 殺害より重い判決に反論の声も

2018年11月20日 ライブドアニュース
中国最大のCtoCサービス・淘宝(タオバオ)でBL小説を販売していた女性BL作家の劉氏。2017年11月から今年5月23日まで7000部売り上げ、その売上高は15万中国元(約245万円)となるという。
しかし、この本について政府当局は暴力や性的倒錯、虐待、侮辱やその他の行為が多くあり、「暴力、虐待、侮辱、変態の極み」「非常に見苦しい」として、「わいせつ物伝播罪」で作者の劉氏を逮捕。その後、淫らな物品を製造、販売し、私利をむさぼったとして懲役10年6か月の判決を受けてしまった。
https://news.livedoor.com/article/detail/15622038/

『中国でいま何が起きているのか』

邱海涛/著 徳間書店 2019年発行

混沌とする中国社会と若者たち より

日本を席巻する中国産「TikTok

改革開放初期の1980年代、中国は、台湾、香港から軽工業製造技術を導入し、靴や洋服などの生活用品の生産に力を入れた。2000年ごろからは、おもにアメリカからネット通信技術を導入し、巨大なネット情報社会の構築を図ろうとしていた。
いま、中国の携帯通信技術は相当進んでいる。そのおかげで貧富の差を隠すことができるようになった。もちろん、「ある程度繕(つくろ)える」という話だが、非常に意外な出来事といえるだろう。情報収集や買い物が便利になるだけではなく、娯楽を共有し、誰に対しても喜怒哀楽が瞬時に伝わるようになったからだ。
このことは外国にも当てはまる。短編動画共有アプリ「TikTok」の例を見てみよう。
日本初の漫画やアニメ文化に中国の若者たちが陶酔し、中国の絵本、動画市場を席巻しているのはまぎれもない事実だが、その一方で、最近では中国発の短編動画共有アプリ「TikTok」に日本緒若者たちが夢中になっている。
おもな利用者は、中高年、若い母親や独身女性だそうだが、ある調査によれば、女子高生がよく使っているソーシャルメディアの順位は、「LINE」「TWitter」「Instagram」および「TikTok」だそうである。
TikTok」は2017年8月に日本でリリースされたが、芸能人が参加したり、それをおもしろがる若い女性の口コミが手伝ったりして、爆発的な人気を集めている。

BL官能小説で10年以上の実刑を受ける

2人目の女性は劉婷婷(りゅうていてい)、ペンネームは天一、職業はBL官能小説家だ。BLとはボーイズラブの略で、男性の同性愛を扱った官能小説をネットで公開していた。出身は安徽省で、1986年生まれ。
2018年11月17日、安徽省蕪湖市中級人民法院は劉婷婷がわいせつ物伝播罪を犯したとして、一審で10年6ヵ月の実刑判決を言い渡した。
判決後、劉婷婷は「10年半の実刑なんて重すぎる。私はそんなに極悪非道な人間だろうか」」と泣き崩れた。
裁判はネットで中継され、彼女を慕う読者たちは、天一という著者の本名を初めて知り、また肉声も効くことができた。劉婷婷は約10万人のフォロワーをもつといわれる。
それにしても、なぜ彼女はここまで重い刑罰を科されたのだろうか。ネットでも「強姦が3~10年の懲役なのに、わいせつ図書の販売というだけで刑が10年というのはおかしい」「天文的な金額の脱税をしても刑事罰から逃れた女優のファン・ビンビンに比べるとかわいそう」といった批判や驚きの声が噴出している。弁護士などの専門家からも意義が相次いでいる。
劉婷婷はネットでBL官能小説を書いて、本も刊行していた。1年間で7000部を販売し、売り上げは15万元だった。1冊平均21元だから、良心的な値段だといえよう。しかし、この15万元という売り上げが重刑の原因だった。
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15万元というのはいまでも少額ではないが、決して「重大な犯罪行為」にはならないだろう。
だから、劉婷婷への重慶は、政府による「見せしめ」の側面が強いとも思われる。ここ数年、たしかに中国では思想の取り締まりが強化されている。過激なロックの歌詞が禁止されるなど、言論への締めつけが進んでいる。映画、小説、歌曲はとくに厳しく監視されている。一方で、美術作品への審査はわりと緩んでいるようだ。
筆者は劉婷婷の作品を読んだことはないが、女性の視点で男性同性愛者の世界を描くというのは、なかなか興味深い。