じじぃの「歴史・思想_115_数学の天才・先駆者・ジョージ・ブール」

Boolean logic: George Boole Google Doodle (200th Birthday)

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=nccTW_29IFo

Googleブールおよび高度な検索

Dictionary.comは、ブールの定義を提供します。
論理的組み合わせシステムのまたは関連AND、OR、NOT、およびXOR演算子を使用した命題やコンピューターロジック要素などの変数の処理:ブール検索をサポートするブラウザー
そして
AND googleを使用すると、リストされているすべての単語が検索されます。
https://clausvisby.com/ja/2430-google-boolean-and-advanced-searching.html

『数学の真理をつかんだ25人の天才たち』

イアン・スチュアート/著、水谷淳/訳 ダイヤモンド社 2019年発行

思考の法則 ジョージ・ブール より

●ジョージ・ブール(イングランド1815~アイルランド1864年

父親から読み書きと数学を教わる

ブールの父ジョンは靴職人だったが、靴よりも望遠鏡の製作にはるかに関心があったため、商売は順調ではなかったが、一家は下宿人に部屋を貸して生活費を稼いだ。ジョージは科学的雰囲気のなかで育ち、探求心を育んだ。父親からは読み書きと数学を教わった。すると数学に熱中し、全6巻の幾何学の教科書を11歳までに読み通してしまう(父親がその本のなかに鉛筆でそう書き残している。ブールはさまざまな本を読み、また、見たものをそのまま覚えてしまうほどの記憶力の持ち主で、どんな事柄でも瞬時に思い出すことができた。
16歳でブールはヘイハム氏が経営する学校の教師になった。さらに2ヵ所で教師を務めたのち、19歳で林間に自分の学校を立ち上げ、その後、ワディントンでホール氏が経営していた学校を引き継いだ。家族も加わって学校の経営を助けた。それでもブールは高等数学に見切りをつけることはなく、ラプラスラグランジュの著作を読みつづけた。さらにリンカンに寄宿学校を開設し、また新たに刊行されたが学術雑誌『ケンブリッジ数学ジャーナル』で研究論文を発表しはじめた。
1842年にブールは、志を同じくするド・モルガンと手紙のやり取りを始め、その文通は生涯続くことになる。1844年には王立協会のロイヤルメダルを賜り、1849年、高まる評判に後押しされて、アイスランドのコークにあるクイーンズ・カレッジの初代数学教授に任命された。そして1850年にその地で、将来の妻メアリー・エヴェレスト(インドの初の本格測量を成し遂げ、世界一高い山にその名がつけられている、ジョージ・エヴェレストの姪)と出会った。
2人は1855年に結婚し、もうけた5人の娘はいずれも輝かしい人生を送った。

初期の研究によって一つの数学分野が生まれた

ブールの初期研究におけるある単純な発見が、のちにきわめて活発な代数学の一分野となる不変式論へとつながった。代数方程式では、各変数を適切な式を使って新たな変数の組に置き換えることで、方程式を単純化できる場合がある。単純になったその方程式を解いてその新たな変数の値が求められたら、そこから逆にさかのぼってもとの変数の値を導けばいい。バビロニア人やルネサンス期の数学者が導いた方程式の解放も、そのようなしくみになっている。
このような変数変換のなかでもとくに重要なのが、新たな変数が線形結合であるもの、つまり2x - 3yのように、もとの変数xとyの2乗以上の累乗や積を含まないような式となるものである。2変数の一般的な二次形式
  ax2 + bxy + cy2
は、そのような変数変換によって単純化することができる。このような二次形式の体系で重要となる量が、「判別式」b2 - 4ac。ブールの発見とは、変数を線形変換して導かれた新たな二次形式の判別式が、もとの二次形式の判別式に、変数変換の仕方のみで決まる係数を掛けたものになるということである。
偶然の一致のようにも思えるが、実は幾何学的に説明できる。もともと別々だった2つの性質が一致するという意味では、確かに偶然の一致だ。二次形式=0と置くと、この方程式の解は2本の直線を表わす。(複素直線の場合もある)。ただし、判別式が0の場合には2本同じ直線を表わし、この二次形式は一次形式の2乗、(px + qy)2となる。

論理法則を代数演算として解釈する

いまでは数学者や計算科学者のあいだで、さらには、グーグルでブール検索というめくるめく世界に足を踏み入れた人のあいだでその名を知られることとなる研究が、ブールの頭のなかではどんどんと膨らんでいった。ブールはつねに、さまざまな数学的概念の根底をなす単純さを追い求めていた。一般的な原理を組み立てて、それを記号形式で表わし、その記号自体に考えさせるというやり方を好んでいた。
著作『思考法則』は、それを論理法則に対しておこなったものである。その中心的な狙いは、論理法則を、命題を表現した記号に対する代数演算として解釈することだった。論理は算術とは違うので、通常の代数法則のなかには通用しないものもあるだろう。またその代わりに、算術には通用しない新しい法則もあるかもしれない。そうして完成したブール代数と呼ばれる体系は、代数計算をおこなうことで論理命題を証明することを可能にした。