じじぃの「食物を運ぶ・人間はいつから共感性をもつようになったのか?人類の起源」

Why Do We Walk Upright? The Evolution Of Bipedalism

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LzEOYgXodGI

Why did humans first start walking on two legs?

『人類の起源、宗教の誕生』

山極寿一・小原克博/著 平凡社 2019年発行

人間、言葉、自然――我々はどこへ向かうのか より

実はそのような特徴(チンパンジーやゴリラの集団行動)は現代人でも持っています。仲間外れや村八分がそうですし、子供の集団によく見られますが、毎日会っていないと仲間に入れてもらえないといったことが起こります。これは、人間も未だに身体のつながりを重要視している証拠です。しかし、人間はその呪縛を解くことができます。また、仲間が数週間から数ヵ月、あるいは数年の空白を経て帰ってきたとしても、元のように迎え入れるフレキシビリティを、社会が持つようになりました。それはいつのことで、その背景はなんだったのかというのが私の疑問です。
きっかけは、人間が行動範囲を広げたこと、それによって集団が常にまとまって動くことができなくなったことです。チンパンジーは1つの集団が常にまとまっているわけではありませんが、行動域は限られています。しかし、人間は進化の過程で、ゴリラやチンパンジーが住み続けている熱帯雨林を離れ、行動域を広げざるをえませんでした。なぜそうなったかについては、まだわかっていないことが多いのでここでは問いません。しかし、いずれにしても、私たちの祖先が熱帯雨林を離れたことは確かです。
その時、大きな壁にぶつかりました。1つは、森の外は食物が分散していて、集団が1つにまとまって動いていては、食料を賄いきれなかったということ。これによって、食物を分配するだけではなく、遠くまで探しに行って採集し、仲間のもとに持って戻ってきて、それから分配して一緒に食べるという行為が必要になりました。
人間が食物を運搬するようになったことにより、それを待っている人間にとっては、仲間がどこか知らないところで採って、持ち帰った食料を食べるという行為が生まれました。これは、自分ではなく、仲間が確かめて持ってきた食物を信じて、つまり仲間を信じて食べる行為です。
食べるという行為は、人間にとって毎日やっている課題です。肉食動物だったら毎日食べる必要はありませんが、人間はサルや類人猿と同じような胃腸を持っていますから、毎日食べる必要があります。森の外にはすぐに逃げ込める場所がなく、地上性の大型肉食獣に襲われる恐れが高いですから、特定の安全な場所に弱い個体を隠して、安全な時間を見定めた上で活動する必要が出てきました。しかし、それでも活動範囲は限られますから、屈強な、特に男だと思いましが、食料を採りにいって、妊娠中の女性とか、あるいはまだひ弱な子供に食物を与え、みんなで食べるという行為が生まれました。これが人間の社会性の始まりだと思います。

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どうでもいい、じじぃの日記。
現人間ホモ・サピエンスはいつ頃から共感性をもつようになったのだろうか。
「人間が食物を運搬するようになったことにより、それを待っている人間にとっては、仲間がどこか知らないところで採って、持ち帰った食料を食べるという行為が生まれました。これは、自分ではなく、仲間が確かめて持ってきた食物を信じて、つまり仲間を信じて食べる行為です」
狩りに行って果物や獲物を持ち帰る人々、狩りに行った仲間を案じて待っている人々。
お互いの間で、見えないものを想像することで共感性が生まれたのだそうです。