じじぃの「科学・芸術_888_世界の秘密都市・エスペランサ基地(南極)」

Argentina's Esperanza Base, Antarctica

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=FzOl8QMkek8

Argentine Base Esperanza,

『ビジュアルストーリー 世界の秘密都市』

ジュリアン・ビークロフト/著、大島聡子/訳 日経ナショナル ジオグラフィック社 2019年発行

南極大陸の観測基地 より

西洋では昔から、はるか南には巨大な大陸があるらしいといわれていたが、捕鯨船の乗組員たちが、南極半島先端にあるサウスシュトランド諸島のデセプション島を発見したのは1820年になってからだった。その後、島は南極の嵐や氷山から避難するための天然の良港として利用されるようになったが、南極大陸本土に人が上陸するまでには、さらに75年の歳月を要している。最初の恒久基地が英国の水兵たちによってデセプション島に設けられたのは、第二次世界大戦も終わりを迎えた頃だった。
その後10年ほどの間に、世界各国が次々と南極のいたるところで領有権を主張した。領土の獲得競争がそれ以上激化しないように、南極条約が結ばれたのは1959年。そのあとに建てられた基地の数は160を超える。今日でも100に近い基地が使用されており、20ヵ国以上の科学者が南極で観測を行なっている。1年を通して人が住んでいる基地も多い。1番大きな基地は、1956年に米国がロス島に建てたマクマード基地だ。
3本の滑走路と港、100以上の棟があり、1200人以上が滞在できる。小さな町といってもいいほどだ。
面白いのは、ビジャ・ラス・エストレージャスというチリの町とエスペランサというアルゼンチンの居住地だ。観測基地としての役割ももちろんあるが、世界で最も寒い大陸での普通の家族が暮らせるかを調査するためにつくられた。現在、エスペランサ基地には10家族が定住している。南極大陸で最初の人間が生まれたのもこの基地で、1978年のことだ。そのあとにも何人か生まれている。数は少ないが色鮮やかな建物の中には、学校もあり、この驚きの町で育った子供たちが元気に通っている。