人間の未来(カルダシェフスケール)
Kardashev scale
カルダシェフ・スケール
ウィキペディア(Wikipedia) より
カルダシェフ・スケール (The Kardashev scale) とは、1964年に旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフが考案した、宇宙文明の発展度を示す三段階のスケールである。
このスケールは、次に示す3つの段階にカテゴライズされている。
I型 ー 1964年時点の地球で達成されているレベルに近い文明。エネルギー消費は 4 × 1019乗 erg/秒(およそ4 × 10 12乗W)。
II型 ー 母星の恒星の全てのエネルギーを利用することができる文明。例えば、ダイソン球を構築できる科学技術を有するレベル。エネルギー消費は 4 × 10 33乗 erg/秒(およそ4 × 10 26乗W)。
III型 ー 属する銀河の全てのエネルギーをコントロールできる文明。エネルギー消費は 4 × 10 44乗 erg/秒(およそ4 × 10 37乗W)。
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
- -
-
-
-
-
-
-
-
-
-
『人類、宇宙に住む 実現への3つのステップ』
ミチオ・カク/著、斉藤隆央/訳 NHK出版 2019年発行
先進文明 より
BBCテレビで時間の本質をテーマにした科学特番の司会を務めたとき、私はその生々しい証拠を手に入れた。BBCは私のDNAを採取し、配列を明らかにした。それから私の4つの遺伝子を世界じゅうの何千人もの遺伝子と丹念に比べ、一致するものを探したのだ。次に、4つの遺伝子が一致した人々の出身地を地図上で確かめた。結果はなかなか興味深いものとなった。一途した人々は日本から中国にかけて集中して分布していたが、点の続く道は、チベットを通りゴビ砂漠の近くまで先細りになって延びていた。つまりDNA解析によって、私の祖先がおよそ2万年前にたどったルートをさかのぼることができたのだ。
今後数万年で、人類はどこまで枝分かれするのだろう? 人類は何万年も遺伝的に分離されても、それと認識できるのだろうか?
この疑問には、実はDNAを「時計」として用いることで答えられる。生物学者は、DNAが長い年月にわたりほぼ同じペースで変異することに気づいてきた。ひとつ例を挙げよう。われわれに進化上最も近い仲間は、チンパンジーだ。チンパンジーを調べてみると、われわれとDNAがおよそ4パーセント異なることがわかる。またチンパンジーとヒトの化石の研究から、両者は600万年ほど前に分かれたことが示されている。
すると、われわれのDNAは150万年で1パーセントというぺースで変異してきたことになる。これは概算にすぎないが、それでわれわれDNAについて太古の歴史を解き明かせるかどうか確かめてみよう。
さしあたり、この変化のペース(150万年ごとに1パーセントの変異)はほぼ1年と仮定する。
では、ヒトに最も近いネアンデルタール人を調べてみよう。DNAと化石の分析から、彼らとわれわれではDNAがおよそ0.5パーセント異なっており、両者はおよそ50万~100万年前に分かれたことが明らかになっている。つまり、化石とDNA時計がおよそ一致しているのだ。
次に人種を調べてみると、無作為に選んだふたりのヒトのDNAには、0.1パーセントの違いがありうる。するとDNA時計によれば、人種の枝分かれはおよそ15万年前に始まったことになり、これは実際の現生人類の出現時期とおおよそ一致している。
したがって、このDNA時計をもとに、われわれはチンパンジーやネアンデルタール人だけでなく、ほかの人種とも、いつ分かれたのかおおよそ計算することができる。
要するに、われわれが銀河系全体に散らばり、みずからのDNAに大幅に手を加えないとしたら、この時計を利用して、人類が将来どこまで変わるのかを推定できるのである。さしあたり、われわれは10万年間、亜光速ロケットをもつタイプII文明にとどまるとしよう。
人類の個々の入植地がほかの人類集団とのつながりを完全に失ったとしても、おそらくDNAには0.1パーセント程度の差異しか生じず、この程度の違いはすでに現代人のあいだでも見られる。
つまるところ、人類が光速未満の速度で銀河系全体に広まり、分かれた個々の集団がほかの集団とのつながりを完全に失っても、われわれは基本的にヒトのままなのだ。10万年後には光速で飛べるようになっていてもおかしくないが、そのころでさえ人類の個々の入植地のあいだには、現在地球にいるふたりのヒトで見られるほどしか違いがないだろう。
・
SF作家の描く夢のひとつは、純粋なエネルギーの存在となって宇宙を探検できるようになることだ。いつか遠い未来に、我々物質的なは存在を脱ぎ捨て、光線に乗って宇宙を跳びまわれるかもしれない。遠くの星々へ、最大限可能な速度で移動できるのではないか。物質の制約がなくなれば、彗星と並んで跳び、噴火する火山の表面をかすめ、土星の環のそばを通過し、天の川銀河の向こう側にある目的地を訪れることができるだろう。