じじぃの「丸刈りのパラドクス・ウイルスから進化した生物?生命科学入門」

La Planete des singes : Les origines - VF 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=Vn8GriIog1s
中学生の「丸刈り

週刊現代』 (追加) 2017年6月3日号
ウイルスが生物を進化させた
数十億年前、いま最も注目を集めるあるウイルスの祖先が誕生した。
ヒトや細菌とは遺伝的系統を異にする彼らが、私たちの共通祖先に感染し、生物の発展・繁栄に不可欠なDNAや細胞核をもたらした。
https://magazine.dmkt-sp.jp/magazine/0014/0128/00009938
ウイルスは生きている 中屋敷講談社現代新書 2016年 「この一冊」 -図書の紹介-
従来の印象では、ウイルスは生きた我々とは別個の存在。感染し変異を繰り返すけれど、どこまで行ってもウイルスであってそれ以外ではない。うつる、罹る、ひたすらそういうものという認識だったのだが、本書を読むとこれが違うのである。
生命活動に必要なタンパク質ができる由来となったり、寄生した生物が生きるのを手伝ったりしている。時には、それはウイルスにとって何になるのか、誰得なのか、といった場合さえあったのだ。
少なくとも、自分が生き残るために手段を選ばず変異を遂げ、誰が病気になろうが死んでしまおうがおかまいなし、というウイルス観は、崩れてしまった。複雑な気分である。
それにしてもこの著者の中屋敷先生は、文章が達者だ。説明が何しろわかりやすく、比喩も多彩である。
映画の『エイリアン』を例に、幼虫に寄生してその身を破って出てくる寄生バチを紹介して下さるくだりなど、その生々しさにぞおっとなった。その反面、中学生男子の丸刈りアタマを例にとって「どこまでを丸刈りと呼ぶか」というパラドクスを考え出すなどチャーミングである。
http://www.nvlu.ac.jp/library/bookreport/bookreport-143.html/
『ゲノムが語る生命像 現代人のための最新・生命科学入門』 本庶佑/著 ブルーバックス 2013年発行
ウイルスは生命体か より
細胞は、真核生物と呼ばれる酵母から動植物にあてはまることである。多様な生物界には、明確な核構造を持たないバクテリアなどの原核生物も存在する。さて、それでは細胞に感染し増殖するウイルスは生命体と言えるであろうか。ウイルスの種類は非常に多いが、一般にその構造はきわめて簡単である。ウイルス粒子はDNAと数種類のタンパク質、およびこれらを包み込む外套膜(がいとうまく)からできており、細胞内小器官を持たない。
ウイルスは独立に生活することはできず、必ず好みの宿主に感染し、その細胞のエネルギーや代謝能力を利用して増殖する。多くの場合、ウイルスに感染した宿主細胞は破壊される。
生物の3つの特性(自己複製、自律性、適応性)のうち、ウイルスは、かろうじて自己複製能力を持つと言えるであろう。ウイルスの遺伝情報は、DNAの複製酵素と外套膜タンパク質の他に、複製制御に関わるタンパク質の構造と発現様式を決めているにすぎない。
見方によっては、もっとも原始的な生命体とも言えるし、逆に生命体にとって、もっとも大切な自己複製能力以外の不要な部分をなくした、もっとも効率のよい生命体という考えもある。むしろ自己複製に必要な最小限の仕組みを持った物体と言うこともできる。しかし、生物界と無生物界に大きくわけようとするならば、やはり生物に近く、両者の境にある不完全な生命体とみるのが妥当であろう。それはやはり、ウイルスがゲノムを持っているからである。

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『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』 ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行
知能の遺伝的特質 より
幹細胞のほかに、人間の知能をもたらしている遺伝子を特定するという探索の道筋もある。生物学者は、われわれの遺伝子がチンパンジーとおよそ99パーセント同じであると指摘しているが、われわれのほうが2倍長く生きるし、過去600万年のうちに知的スキルを大幅に向上させた。今後数年以内に、両者の遺伝子の違いをすべて明らかにしたマップが完成し、人間の長寿と高い知能の秘密がこのわずかな違いのなかに見つかる可能性もある。すでに科学者は、人間の脳の進化の原動力となったかもしれない遺伝子をいくつか絞り込んでいる。
すると、ひょっとしたら知能の秘密を解き明かす手がかりは、祖先の類人猿を理解することで得られるのかもしれない。これにより、また別の疑問が生じる。この研究で、『猿の惑星』は可能になるのだろうか?
この次々と続編が作られた映画では、核戦争によって現代文明が滅びる。人類は未開状態に退行するが、放射能によってなぜかほかの霊長類が進化を加速し、地球を支配する種となる。彼らは先進文明を築くが、人類は臭くてみすぼらしい蛮族となり、森の中を半裸でうろつきまわっている。動物園の動物になるぐらいが関の山だ。人類と立場が逆転し、類人猿が檻の外から人間を眺めている。
2011年に公開された作品『猿の惑星:創世記』では、科学者がアルツハイマー病の治療法を探っている。その過程で、彼らはあるウイルスを偶然発見し、それがはからずもチンパンジーの知恵を向上さる結果をもたらす。不幸にも、そうして知能が向上したチンパンジーの1頭が、霊長類の保護施設に入れられたときに虐待を受けてしまう。そのチンパンジーは、向上した知能によって檻から脱出し、ほかの実験用霊長類たちをウイルスに感染させて知能を高め、全員を檻から解放する。
やがて雄叫びを上げる知的な類人猿の一団がゴールデンゲートブリッジで暴れまわり、地元警察や州警察を圧倒する。人間たちとの壮絶な戦いののち、映画は類人猿たちが橋の北のセコイアの森に安息の地を見つけ、幕を閉じる。
こんなシナリオは現実にありうるだろうか? 短期的にはありえないが、将来は可能性を排除できない。今後の科学者が、ホモ・サピエンスを生み出した遺伝子変異をすべてリストアップできるはずだからだ。それでも、知能の高い類人猿が生まれるまでには、さらに多くの謎を解かなければならない。

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どうでもいい、じじぃの日記。
ミチオ・カク著『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』という本を見ていたら、「ウイルス」が出てきた。
免疫システムはウイルスとか細菌とか寄生虫から、体を守ってくれる機構だ。
ところが、この本にはこんなことが書かれていた。
「彼らはあるウイルスを偶然発見し、それがはからずもチンパンジーの知恵を向上さる結果をもたらす」
今、ウイルスは生物の定義である細胞を持たないので、生命体なのか非生命体なのか学界でも意見が分かれている。
例えていえば、中学生の「丸刈り」と同じで、髪の長さが何センチの時点で丸刈りかどうか、境界があるのか、ないのか、というものらしい。
ミトコンドリアなんかは、細菌の一種が体の中で共生しているのだとか。
ウイルスなんかも、生命の進化にかなり関係しているのではないかと、いわれている。
でも、脳に入り込んで悪さするやつもいるらしい。