じじぃの「科学・芸術_827_間葉系幹細胞・脊髄損傷」

脊髄損傷の治療 再生医療の最前線  医療の常識を覆す驚異のメカニズム。

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=V63awOIYSzk

幹細胞から脊髄再生 損傷治療、世界初承認へ 厚労省部会

2018.11.22 産経ニュース
患者自身の骨髄液から、神経や血管などに分化する能力を持つ間葉(かんよう)系幹細胞を採取。この細胞を製薬工場で培養、医薬品として加工した後、患者の身体に戻して神経を再生する。製造販売名は「ステミラック注」と呼ばれる。
平成25年12月から札幌医科大で患者への治験を実施。13人中12人に身体の感覚が戻ったり手足が動いたりするなど目に見える効果が見られ、安全性も確認された。副作用もないという。ただ症例が少ないため今後7年間で有効性をさらに確かめた上で、正式に承認される。
https://www.sankei.com/life/news/181122/lif1811220004-n1.html

NHKスペシャル 寝たきりからの復活 ~密着!驚異の「再生医療」~

2019年5月4日

再生医療 脊髄損傷

病気やけがで損傷した臓器・組織を“自己再生能力”を活性化させることで治療する「再生医療」。
この春、一度失った神経の機能を取り戻す再生医療が世界に先駆けて日本で実際の医療に使われ始める。対象は、事故で脊髄を損傷し、首から下がマヒしてほとんど動けなくなってしまった患者さん。
この再生医療を受けると手足が動き出し、杖なしで歩けるまでに回復。自分で車が運転できるようになる人も現れている。治療に使うのは、患者自身の骨髄から取り出した「間葉系幹細胞」という細胞だ。これを培養して増やし、点滴で患者の体に戻すと、傷ついた脊髄が再生されていく。
番組では、札幌医科大学が行ってきた治験に3年間密着。「再生医療」の新時代が扉をあけるまでの現場を活写する。iPS細胞やES細胞などを使った研究も進み、脳梗塞パーキンソン病など治療の難しい病の克服が期待されている。再生医療が私たちの医療をどう変えていくのか。
建設現場での事故で重傷を負い、寝たきりになった男性。
脊髄損傷。首から下が麻痺して動かせない。回復は難しいと告げられていた。
再生医療の最新の治療により立ち上がり、歩き始めた。
いまでは自分で車も運転できる。
男性が受けたのは新時代の治療法、再生医療
この治療法は札幌医科大学などが開発したもので、事故などで脊髄が傷つき手や足を動かせなくなった脊髄損傷の患者を対象に患者の体内から取り出した「間葉系幹細胞」と呼ばれる特殊な細胞を培養して増やし、1億個ほどを血液中に戻して症状の改善をはかる。

この治療法を開発した札幌医科大学の山下敏彦教授は「患者の『もう一度歩きたい』という思いに応えられる可能性がある非常に大きい治療だ」と話す。

この再生医療はことし5月から健康保険が適用され、誰もが受けられるものとなった。
世界に先駆ける日本の快挙。
これを皮切りに脳卒中認知症、肝硬変など治療が困難な病気も再生医療により克服できる可能性が見えてきている。
臨床研究情報センター・福島雅典センター長は「どうしようもない病気は薬で治すんじゃなくて細胞で治す。天動説から地動説に変わったぐらいの大きい変化」と話す。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20190504

『驚異の再生医療 ~培養上清とは何か~』

上田実/著 扶桑社新書 2019年発行

培養上清って、何だ? より

培養上清という言葉は、本来はシャーレ中の実験に限定して使われるもので、幹細胞を培養したあとの”上澄み液”というほどの漠とした概念です。
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脊髄は、脳と体を結ぶ中枢神経のことです。脊髄が損傷を受けると、孫層部より先の運動神経や知覚神経、自律神経が麻痺してしまいます。日本では、年間約5000人が受傷するといわれていますが、原因で一番多いのがスポーツによる外傷です。
現在のところ、有効な治療法がありません。現状の治療方法としては、急性期の脊髄の浮腫を取り除くためにステロイド薬の大量投与が行われていますが、効果は不確実といわれています。
最近、慶応大学の研究グループが、幹細胞増殖因子の臨床試験を初めていますが、適応は急性期に限られ、結果はまだ出ていません。