じじぃの「科学・芸術_802_大図鑑・埋葬の習慣」

A Short History of Human Skulls as Drinking Cups

動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ifYk9jfCpBo

髑髏杯 (skull cup)

イギリスで発見された世界最古の「髑髏杯(どくろはい)」、食人の形跡も

2011年02月18日 GIGAZINE
イギリスで発掘された石器時代の人骨の一部が食器として使うため加工されていたことが判明し、世界最古の髑髏杯であると明らかになっています。
https://gigazine.net/news/20110218_ancient_skullcup_with_evidence_of_cannibalism/

『ビッグヒストリー大図鑑:宇宙と人類 138億年の物語』

デイヴィッド・クリスチャン/監修、ビッグヒストリー・インスティテュート/協力、オフィス宮崎/日本語版編集 河出書房新社 2017年発行

埋葬の習慣 より

いかにも人間らしい特性(すなわち死者への敬意や習慣)が現われるのは旧石器時代である。当時の儀式は簡単なものだったが、そこにはすでに、何世代にもわたる祖先の霊を祭る墓が築かれる時代の前兆が見られる。

死に関する習慣が重要なのは、それが知的能力(時間の概念を理解することなど)の証になるためである。個体が生きている状態から死に移行したことを理解する能力は人間特有のもののように思われるが、理解していることをうかがわせる種はほかにもある。例えば象は、死んだ仲間のそばを離れたがらないことがあるし、チンパンジーは極端な興奮状態から遺体のそばに何時間も静かにつき添っていることまで、普段と違うさまざまな反応を示す。時には子の亡骸を何時間も抱えて移動することもある。しかしこれらの反応が、単なる混乱と苦悩の結果なのか、死者に対する心からの哀しみを表すものなのかを判断することはむずかしい。
人間が死という概念を認識したことを示す最初の証拠は、遺体を「隠す」、または1ヵ所に集めるという風習だ。約43万年前には、スペインのシマ・デ・ロス・ウエソスで少なくとも28体が意図的に深い穴に入れられ、そのそばには鮮やかな色に塗られた石器が1つ置かれていた。遺体を完全に埋める埋葬が始まるのはずっと後のことである。約9万2000前頃に、イスラエルのカフゼーとヅフールでは多数のホモ・サピエンスが埋葬された。そのなかには若者と子どもが一緒に埋葬されている事例や、10代の子どもの胸に鹿の角が置かれている事例などがある。
4万年前以降は埋葬される場合が増え、何らかの品物と一緒に埋められるケースも多くなる。ロシアのスンギールでは、1つの墓に2人の子どもが合葬され、棺や多数のビーズ、赤い顔料で色づけした大人の大腿骨が1本添えられているのが見つかった(約2万5000万年前)。
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死者を食べる

ネアンデルタール人でもホモ・サピエンスでも、遺骨に石器を切りつけた跡が見つかることがあり、旧石器時代の埋葬に別の一面があったことをうかがわせる。この印はいろいろな骨に見られるが、遺体から肉をはがすか、遺体を切り刻んだときについたものである。これが死者との交信や死者への表敬の手段だった可能性はあるが、十分な栄養をとるために人肉を食べる必要があったとも考えられる。1898年、イギリスのゴフス洞窟で1万4000年前のそのような骨が多数発見された。ほぼ間違いなく人肉嗜食の証拠だが、そのなかに彫刻を施した「髑髏杯」がいくつか含まれている。これは人間の頭蓋骨を杯にした最古の例である。