Global Wealth Inequality - (See description for 2017 updates) What you never knew you never knew 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=uWSxzjyMNpU
アメリカの貧困と格差の凄まじさがわかる30のデータ 2018/7/30 Socius101
1. 上位1%が持つ資産は、下位90%が持つ資産の総量よりも多い
2. 上位1%の資産で全米の33.8%を占有、2〜10%は37.7%、上位11〜50%は26.0%、下位50%は2.5%
http://socius101.com/poverty-and-inequality-of-the-us/
『見る読書』 榊原英資/著 ベスト新書 2018年発行
経済を学ぶ より
海外の経済学者の本を、私はよく読みます。
とりわけ、アメリカの経済学者で最近までコロンビア大学地球研究所長だったジェフリー・サックス、2001年にノーベル経済学賞を取ったコロンビア大学教授ジョセフ・E・スティグリッツの本は、2人とも個人的によく知っていることもあって、ほとんど読んでいます。
私が読むのはたいてい日本語に翻訳された本です。英語で読むと、どうしても日本語で読むより時間がかかります。翻訳が出るまで1〜2年かかるので、英語で読むより遅れますが、どうってことはありません。
彼らの発言はよく新聞や雑誌に載りますし、国際会議などで会う機会もあります。そもそも古い知り合いですから、彼らの主張はだいたいわかっていて、新著のタイトルを見れば、おおよその内容が想像できます。英語で読むのは、日本語訳のない本やレポートに、どうしても目を通す必要があるときくらいですね。
1954年デトロイト生まれのジェフリー・サックスは、途上国経済を研究する国際経済学専門家。国連の貧困撲滅プロジェクトに関わるなど、貧困との戦いで世界をリードする一人です。
『世界を救う処方箋――「共感の経済学」が未来を創る』(2012年)、『地球全体を幸福にする経済学――過密化する世界とグローバル・ゴール』(09年)、『貧困の終焉――2025年までに世界を変える』(06年)といった本のタイトルからも、彼の関心領域がわかるでしょう。
『世界を救う処方箋』でサックスは、アメリカは「行きすぎた消費文明と異常なまでの富の追求」によって道徳的な危機の状況にあり、それが格差拡大に象徴的に示される経済危機をもたらしている、と警告しました。
08年秋のリーマンショックに始まる世界金融ききの直後(09年1月)就任したオバマ大統領が、ショックからの立て直し策に追われていたころの話です。
サックスは、問題は経済危機だけでなくて、アメリカの道徳的な危機なのだ、と警鐘を鳴らしたわけです。彼が道徳的な危機と呼んだ、アメリカ人の心理学や考え方の変化を、本からいくつか挙げておきましょう。
●「いまのアメリカに不満だ」というアメリカ人は、90年代末には人口の3分の1だったが、いまや3分の2まで増加した。同じ割合のアメリカ人が「この国は悪い方向に進んでいる」と考えている。
●アメリカ人国民の多くは、連邦政府とその機関だけではなく、銀行、大企業、報道機関、娯楽産業、労働組合にも強い不信感をいだいている。
●各組織に対するアメリカ国民の評価は、大学・教会・中小企業を除けばどの組織も支持率が50%以下。アメリカ人は国への信頼感を失っただけではなく、おたがいへの信頼感も失っている。
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70年代の初めには、アメリカを代表する企業102社のCEO(最高経営責任者)が受け取る平均年俸は120万ドルで、フルタイムの一般労働者が受け取る平均給与の40倍でした。
これが2000年には900万ドルで約400倍に、06年には800倍近くまで膨れあがったのです。
CEOの報酬が急増したのはストックオプションの給付が増えたから、野放図な金融資本主義が急膨張し、実体経済とかけ離れたバブルを招いたからです。
ところが、会社を率いるCEOの報酬が急増し、彼らが大金持ちになったのに対して、アメリカの男性正社員の平均手取り給与額は70年代初めから5万ドル弱(インフレ調整後)と、ずっと変わっていません。73年に頭打ちとなってから、ほとんど上昇していないのです。
これでは社会のモラルが崩れていくのも当然だ、富裕層とそれ以外の層とで、アメリカが分裂してしまう、というのが、サックスの危機感でした。
「家にひきこもり、仕事以外の時間をコンピュータやテレビ、またはその他の電子メディアの前で過ごしている」
彼は、アメリカの人びとの内向き姿勢を、こんなふうに形容しました。