じじぃの「科学・芸術_520_IT企業トップ5社(ビッグファイブ)」

ITビッグ5、若い企業のむ 600社超買収20兆円 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_yHXEA_Sf1g
 千のプラトーリゾーム

 ITビッグ5nhk.or.jp HPより)

国際報道2018 「巨大IT企業が都市の命運を決める」 2018年3月23日 NHK BS1
アマゾンやグーグルなどいわゆるITビッグ5と呼ばれる企業の時価総額の合計はおよそ360兆円。
これはイギリスのGDP国内総生産を上回ります。
こうしたIT企業が街に来れば税収や雇用が跳ね上がります。
しかし、経済面でプラスになる一方、その影響力の大きさゆえの問題も懸念されています。
https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2018/03/0323.html
『世界を変えた14の密約』 ジャック・ペレッティ/著、関美和/訳 文藝春秋 2018年発行
人類史上最大案件=「知性」の取引 より
もしコンピュータを開いてグーグルが消えていたら、どうする? 次にiPhoneのスィッチを入れる。暗いままだ。フェイスブックも、ツイッターも、アマゾンも、マイクロソフトも消え去っていたら?
ありえない。でも2007年にそれが起きた。銀行に。
一晩で、世界は1929年以来最大の金融危機に飲み込まれた。だれも予想していなかった。ただし、意見を聞いてもらえないような下っ端の銀行インサイダーや、すべてを見通して空売りをかけた天才トレーダーを除いては。
破たんを許された銀行は、大木市議手潰せない銀行ではなかった。だがテクノロジーの「ビッグファイブ」は大きすぎて潰せない。リーマン・ブラザーズが破たんしても、金融システムは崩壊しなかった。だが、ビッグファイブはこの世界の機能に深く絡みあっているので、破たんは許されない。この5社はシステムを補完するものではない。システムそのものだ。
銀行と5大テクノロジー企業の違いはここだ。心臓発作を起こしたら、人工的に脳に血液を送り込むことができる。もし脳が止まったら、人は死ぬ。銀行は血液を送るが、ビッグファイブは脳そのものだ。
ではその脳を数字で表してみよう。2016年1年間のアップルも売上は2330億ドルで利益は530億ドル、資産は2390億ドルで時価総額は5860億ドルだった。アルファベット(グーグル)もアップルに匹敵する数字をあげていた。ビッグファイブの残りの席を占めるマイクロソフトとアマゾンとフェイスブックは規模としては少し劣る。しかし大切なのは規模ではない。銀行は政府に救済してもらえるかもしれないが、この5社はどんな政府よりも大きい。彼らは私たちの住む世界を作り、その世界の鍵を持っている。
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ビッグファイブは実際にはテクノロジー企業ではない。この5社はお互いに固く絡み合い、これまでにないような巨大で複雑なマシンの一部になっている。
このマシンがひとつの会社に支配されることはない。テクノロジー企業は、フランス人哲学者、ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリが1980年に出版した『千のプラトー』で著した概念を偶然にも実現していた。
ドゥルーズガタリは、資本主義の命運はエージェントとしての個人のての中ではなく、その自立的組織の変容にあると言った。『千のプラトー』に描かれた新しい資本主義には、階層構造も影で操る黒幕も存在せず、信じられないほど複雑に絡み合い、重なり合い、全てを包みこむような網の目のような基盤にあるだけだ。
ドゥルーズガタリはこの構造をリゾームと呼んだ。植物に使われるこの言葉は、さまざまな方向にあっという間に伸びていく根茎を表すものだ。
銀行はリゾームではない。貸し出しというひとつの役割で結ばれた、有限の組織だからだ。だがビッグファイブは毎日100分の1秒ごとに世界中のすべての個人と企業が交わす兆単位の取引を処理する根茎のようなシステムを作り出してきた。
こうした取引はおカネだけに限らない。わたしたちは膨大な情報を投稿している。動画、写真、シェア、ヴァイン、ミーム、イイネ、ヤダネ。あらゆるものを格付けし、アドバイスを交換し、コメントし、意見を送る。このデータ処理の地下世界、一瞬も止まらずに勢いよく流れ続けるデジタルワールドでは、デジタルなガラクタからタ販売可能なデータがふるいにかけられ、アルゴリズムによって止まることなく競売にかけられている。
こうしたデジタル競売は、宇宙で3Dチェスをプレーするようなものだ。グーグルに検索ワードを入れると、アルゴリズムの万華鏡が開き、はじめも終わりもないデータの水平線まで永遠に鏡像が反射され続ける。
いまのところ、銀行とテクノロジー企業はデータと決済システムに関して落としどころを見つけている。両者は協調している。その方が闘うよりいいからだ。しかし、この関係は一方的で、テクノロジー企業のリゾームは拡張を続け、その限界はない。長い目でみると、銀行にはテクノロジー企業が必要だが、テクノロジー企業に銀行は必要ない。銀行はそのうちリゾームの中に取り込まれるだろう。