じじぃの「科学・芸術_413_心臓カテーテル」

Heart Catheterization Animation 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=LH7Q5nFm51Y
心臓病と血管病 (f-sanno.kouhoukai.or.jp HPより)

福岡山王病院(福岡市早良区百道浜)|循環器センター
狭心症心筋梗塞(冠動脈疾患)の治療は、なるべく胸を切らずに、カテーテル治療を行い、健康に日常生活を過ごしていただきたいと考えています。カテーテル治療の長所は、身体への負担が少ない低侵襲な治療である点です。
https://f-sanno.kouhoukai.or.jp/jyunkanki/
ヴェルナー・フォルスマン ウィキペディアWikipedia)より
ヴェルナー・テオドル・オットー・フォルスマン(Werner Forssmann、1904年8月29日 - 1979年6月1日)は西ドイツエーベルスヴァルデ出身の医師。人間の心臓に初めてカテーテルを通した人物として知られている。マインツ大学医学部名誉教授。
1929年、彼は腕を切開し、自身の心臓の右心房に尿カテーテルを通した。その後、自ら放射線医学の部署まで階段を降りて行き、レントゲン写真を撮って心臓にカテーテルが入っていることを確認した。彼はこの一件で病院を解雇されたが、心臓の研究への貢献により、1956年度のノーベル生理学・医学賞を受賞した。

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『世にも奇妙な人体実験の歴史』 トレヴァー・ノートン/著、赤根洋子/訳 文藝春秋 2012年発行
自分の心臓にカテーテルを通した医師――心臓 より
ヴェルナー・フォルスマンは、心臓という難問に興味を惹かれていった。外科医たちは次々に新技術を開発し、ほとんどの臓器の病気に対応できるようになっていた。しかし、心臓病の場合には、どこがどのように悪いのかを知るためには死後解剖まで待たなければならなかった。
インターン時代、フォルスマンは、首からカテーテルを挿入されたウマの絵を見たことがあった。この技術を応用すれば人間の心臓内部の様子を探ることができる、と彼は考えた。彼の上司は、患者を使ってその技術を試すことに許可を与えようとしなかった。自分自身の体で試してみたいというフォルスマンの言葉にも、彼は耳を貸さなかった。
フォルスマンは自分で試してみようと決心し、必要な器具を確保するため、ゲルダという看護師に協力を求めた。彼はゲルダに、危険はないと請け合った。実は、心臓のデリケートな内壁がカテーテルにどう反応するか、彼にはまったく分からなかったのだが、ほんのちょっとした刺激でも、心臓の異常な振動を誘発する場合がある。当時、そうなったら助かる見込みはなかった。
2人は昼休み中にこっそり手術室に入った。フォルスマンは腕の血管を切開し、そこからゆっくりと長さ65センチのカテーテルを挿入し、心臓へ向かってスライドさせた。2人はレントゲン室へ移動し、そこで彼は鏡を見ながらカテーテルを心臓まで導いていった。レントゲン技師が、心臓に向かってフォルスマンの体内を不気味に這い回るカテーテルX線写真を撮影した、きっと、心臓も止まる心地のする一瞬だったことだろう。
翌朝、フォルスマンは命令不服従の廉で呼び出されて叱責されたが、上司は彼の実験に感銘を受け、彼をディナーに招待した。その後数週間にわたって、フォルスマンは自己実験を5回成功させた。さらに彼は、血管に通したカテーテルを使って終末期の患者に薬物を投与する許可まで得た。
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フォルスマンの実験は、心臓病の診断法や治療法に革命をもたらした。それは、心臓外科にとって飛躍的な進歩だった。これによって、メスで胸部を切開することなく、心臓内部にアクセスできるようになったのである。絶望的だと思われていた病気が治療可能になった。それまでは、薬剤を注射し、それが血流に乗って薄まりながら心臓に到達するのを待たなければならなかった。それが、心臓に直接薬剤を送り届けられるようになったのである。カテーテルの先端は改良され、プラークが沈着した冠動脈の内壁をきれいにして、心臓麻痺のおもな原因である血管の詰まりを防ぐことができるようになった。現在では、先端にバルーンを装着したカテーテルを血管内で膨脹させ、狭くなった血管を拡張する手術(血管形成術)もおこなわれている。