#4ホセ・オルテガ・イ・ガセット:ひとくち名言解説 動画 YouTube
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農地
『大衆の反逆』 オルテガ/著、神吉敬三/訳 角川文庫 1967年発行
大衆の反逆 より
つまり、われわれはここで、愚者と賢著の間に永遠に存在している相違そのものにつきあたるのである。賢者は、自分がつねに愚者になり果てる寸前であることを胆に銘じている。だからこそ、すぐそこまでやって来ている愚劣さから逃れようと努力を統けるのであり、そしてその努力にこそ英知があるのである。
これに反して愚者は、自分を疑うということをしない。つまり自分はきわめて分別に富んだ人間だと考えているわけで、そこに、愚者が自らの愚かさの中に腰をすえ安住してしまい、うらやましいほど安閑としていられる理由がある。
ちょうど、われわれがどうやっても、その住んでいる穴からおびき出すことのできない昆虫のように、愚者にその愚かさの殻を脱がせ、彼を彼の盲目の世界からしぱらく散歩につれ出し、彼が慣れきってしまっている鈍重な視覚をもっと鋭敏な物の見方と比較してみるよう強制する方法はまったくないのである。
ばかは死ななければなおらないのであって、ばかには抜け道はないのだ。
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『気になる科学』 元村有希子/著 中経の文庫 2016年発行
「わからない」に向き合う より
日本はいい国だ。安全で便利でテクノロジーが発達している。
1年間滞在した国で、いろんな人からこんな言葉で日本をほめられた。私もそう思う。一方で私は、日本の便利さとテクノロジーが、日本人を変えつつあると感じている。
折に触れて読み返してきた本がある。『大衆の反逆』(ちくま学芸文庫)。スペインの哲学者オルテガが約90年前に著した文明論だ。オルテガは1920年代の欧州で、科学技術の急速な発展の中に生きる人々を批判的に見つめた。健康で文化的な生活を享受しながら、背後にある科学の原理のような難しいことには関心を払わず、考えてもわからないことには目をつぶって自分の世界に引きこもる。こんなふるまいを彼は「文明という舞台にひょっこりと姿を現した野蛮人」と評した。
今の日本を彼は的確に表現しているように思う。戦後の驚異的な経済発展は科学技術の進歩に負うところが大きい。ライフラインや医療など、私たちは科学技術の成果に全面的に依存し、それがない生活を思い浮かべることもない。しかし人を幸せにしてきたはずの技術が、逆に人を追い立て、人間同士を遠ざけ、人を孤独にしていないか。
1863年、世界で最初に開通したロンドンの地下鉄は設備が古く、ホームから改札口までの間に必ず階段がある。だが、ベビーカーを押す母親がいれば、居合わせた人がさりげなく手を貸す。私も重いスーツケースを持て余し、見知らぬ人たちに何度か手伝ってもらった。
日本は逆だ。都心の多くの駅にはエレベーターがあるが、本来使う必要のない人たちが先に乗り込み、必要としている人が取り残される。日本のエレベーターに必ずある「閉」のボタンは、世界では特殊であることも、外国に暮らして知った。
英国でロボット技術のセミナーに参加した時、研究者が先進国の例として日本の家庭用留守番ロボットを紹介した。独りでいる子供の遊び相手をし、外出先から親が携帯電話をかければカメラに変身して子どもの様子を携帯電話の液晶画面に映し出す。私の隣の参加者が「機械に子守をさせるなんて」と顔をしかめるのを見てはっとした。
この技術は独り暮らしの高齢者の安否確認にも使われる。病気などの非常時には誰かに連絡がいく。しかし機械だから故障もある。そもそも異常が起きなければ誰も訪ねて来ない状態が幸せだろうか。科学技術は万能と思い込み、陰の部分を見ない私たちの生き方を、オルテガは「文明社会の野蛮人」と呼んだ。
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どうでもいい、じじぃの日記。
今から200年ほど前までは、すべての生きものは餌(食べもの)のために生きてきた。
鶏などは、日中 餌探しをしている。
確かに、農業社会→工業化社会→脱工業化社会、になるにつれて、人の生き方も多様化した。
去年の衆議院選挙が行われたとき、ある政党の集会に参加した。こんなことを言っていた。
「人々が汗を流して、精魂込めて作った農作物と、ネットで一晩に稼いだ額が同じだったとして、そのお金の価値が同じであるはずがない」
これは、スペインの哲学者オルテガが言った言葉だという。
今アメリカの証券会社では、人間のトレーダーに替わって人工知能(AI)が行うようになった。
AIが一晩で、数兆円の金を動かす時代だ。
同じ100円でも、どうやってそのお金を得たかで100円の重さが違う?