じじぃの「人の生きざま_768_ジェフ・ホーキンス(脳神経学者・自己連想記憶)」

Jeff Hawkins 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=BxUD5jB6gOM
Jeff Hawkins

ジェフ・ホーキンス ウィキペディアWikipedia)より
ジェフ・ホーキンスJeff Hawkins, 1957年6月1日 - )はパーム (Palm) とハンドスプリング (Handspring) の創始者である。ニューヨーク州ロングアイランド生まれ。
パームではPalmを、ハンドスプリングではTreoをそれぞれ考案した。
その後は神経科学について従事するようになり、レッドウッド神経科学研究所を設立。脳について独自の自己連想記憶理論を唱え、『考える脳 考えるコンピューター』を著した。
電気工学の学士号をコーネル大学より取得。2003年には「ハンドヘルドコンピューティングという概念を打ち立て、初めて商業的に成功したその装置を作りあげた」ことにより、米国工学アカデミー会員に選ばれた。

                            • -

『脳研究の最前線(下巻)』 理化学研究所脳科学総合研究センター/編 ブルーバックス 2007年発行
脳型コンピュータと連想記憶 より
連想記憶は脳のモデルとして、どの程度有力なのだろうか。アメリカの富豪、ホーキンスは、これこそが脳の仕組みの中核をなすと考えた。脳の仕組みの根幹は、現在の情報から未来を予測する先回りの機能にある。これなくして、厳しく変化する環境の中で生き抜いていけない。自分の行動の結果をまって、フィードバックによって制御していたのでは間に合わない。予測をし、未来に備え、なおかつ自分の予測がずれた場合の対応が必要である。
     ・
ホーキンスは大富豪である。彼は若いときに脳に興味を持った。これを解明したいとMITを訪れたが、時は人工知能の全盛時代、脳など研究していたのでは、コンピュータによる知能の解明はできないと門前払いを食わされた。そこで、しかたないからできたばかりの会社に勤めた。この会社がコンピュータで今をときめくインテルである。
ここで、社長に手紙を書く。これから先は脳の時代である。私に脳の研究をさせて欲しい、そのためのプロジェクトを組もうというのである。さすがにインテルである。社長からすぐに返事が来た。お前の言うことには一理ある。副社長のホフに話しに行け。ホフはマイクロプロセッサーの開発で京都賞を受賞している。
ホフのところに行くと、ホフは言った。お前の言うことには一理ある。将来は脳の時代になるだろう。しかしそれには10年、15年では無理だ。インテルは金儲けを目指す会社であるから、今はそれはできない。
失望したホーキンスはインテルをやめ、カリフォルニア大学の大学院で生物物理を先行する。その後、ベンチャー企業を起こし、ここで開発した携帯情報端末のパームコンピュータが大ヒットして、一躍億万長者になった。こうなれば若いときの夢である脳である。脳の勉強を怠りなく、ついにカリフォルニアにレッドウッド脳科学研究所を私財をなげうって作る。ここで、その研究所長になり、自ら脳の原理を解明しようとする。
そこで考えたのが連想記憶である。脳は、階層的に順序を踏んで情報を処理しながら、その過程は連想による予測をおこなうコンピュータであると断じて、著書を公にした。しかも、本人は真面目で10年以内にニューロコンピュータの原型をこの方式で作って見せると豪語する。その意気や壮であるが、いささか勇み足でもある。しかし、エンジニアとして実績のある人である。どうなるのか、是非見守って行きたい。