じじぃの「科学・芸術_360_墓マイラー」

Lise Meitner Final 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=7Iu-LNIAbKY
リーゼ・マイトナーの墓

肥沼信次医師の墓

ありえへん∞世界 「世界と日本の知られざる絆スペシャル」 2015年8月11日 テレビ東京
【レギュラー出演】安田章大関ジャニ∞)、村上信五関ジャニ∞)、丸山隆平関ジャニ∞)、ベッキー美輪明宏宮崎哲弥 【ゲスト】黒谷友香泉谷しげる
●自らの命と引き換えに 多くの人を救い、慕われる伝説の 日本人医師 肥沼信次
中世から栄える歴史的な街・リーツェンの中心部にあるフリート墓地には日本人医師・肥沼信次の墓があり死後69年経つ今もお参りをする人が絶えない。
市役所には肥沼ルームという資料室があり、そこには実際に使っていた医療器具が展示されている。さらに学校の道徳の授業で使われる教科書にも肥沼の事が大きく取り上げられており、街の一番大きな公園も「DR.コエヌマビーチパーク」と名付けられている。東日本大震災が起きた時もいち早く義援金が寄付された。
http://www.tv-tokyo.co.jp/ariehen/
『物理学者の墓を訪ねる ひらめきの秘密を求めて』 山口栄一/著 日経BP社 2017年発行
リーゼ・マイトナー 苔むし朽ちかけた墓石 より
悲しい墓だった。「人間性を忘れなかった物理学者」と記された墓は、忘れ去られていた。ロンドン郊外のブライムレイにある彼女の墓は今にも崩れそうだ。
ナチスに捕まる寸前にドイツを脱出してスウェーデンに亡命。そこで、同僚のオットー・ハーンからの手紙を受け取る。理解できない実験結果だという。
彼女はそれを見た瞬間にウランの核分裂反応が起きていることを看破。原爆が可能であることを見いだす。そこで彼女はその結果をコペンハーゲンニールス・ボーアに伝え、その科学知が米国に伝わった。こうして原爆が完成する。
彼女は、広島・長崎に原爆が落とされたのを知って、自分のせいだと泣き崩れる。それからほどなく研究を捨てた。
ミュンヘンからケンブリッジに戻る途中に、リーゼ・マイトナー(Lise Meitner)の墓を訪ねることにした。オーストリア生まれのユダヤ人であるマイトナーも、ハイゼンベルグとは別の文脈で原爆開発のプロセスに登場する物理学者だ。
科学界のユダヤ人差別と女性差別にさらされながら、オットー・ハーンと30年以上にわたり共同研究を重ねた。ドイツを愛し、1933年にナチスが政権を掌握した後もドイツに残留すると決めていた。
しかし、ユダヤ人であることを示す「黄色い六芒星」のバッチを胸にかけることを強要され、街角で殴られたり唾を吐られたりするようになったマイトナーは、1938年に強制収容所に入れられる寸前にスウェーデンへの亡命を余儀なくされた。
その直後にハーンは、ウランに中性子をぶつける実験でバリウムができているのを発見。ハーンから手紙で相談を受けたマイトナーは、核分裂反応が起きていることを看破した。ウランによる原子爆弾の可能性が、このときマイトナーによって発見されたのである。
ところが、ハーンはナチスを恐れて論文発表の際にマイトナーの名を外し、その後も核分裂の発見者としてマイトナーの名を挙げることはなかった。1944年のノーベル化学賞はハーンだけに贈られた。
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7年後には一切の研究を絶ち、彼女の生涯を映画化したいという要請もかたくなに拒んだ。最期はケンブリッジの老人ホームで、89歳で亡くなり、その遺志によってロンドン南西の田舎町ブラムレイ(Bramley)の聖ジェームス教会(St.Jame's Church)の墓地に葬られた。

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『気になる科学』 元村有希子/著 中経の文庫 2016年発行
マイラー より
有名人のお墓を訪ね歩く人たちを「墓マイラー」と呼ぶそうだ。先日、東京・谷中に行ったついでに徳川慶喜墓所を訪ねると、墓マイラーらしき紳士が寄ってきて案内してくれた。大政治家の墓が意外に質素だったり、個性的な墓石だなあと思ったら画家だったり、つかの間の「墓マイラー」を楽しんだ。
ロンドンのウェストミンスター寺院には、ニュートン、ダーウイン、ファラデーら多くの科学者の墓碑銘が、目立つ場所に並ぶ。パリのパンテオンにあるマリー・キュリーの墓は美しい花束で飾られていた。どちらも科学者への敬意が感じられてうれしかった。
京都では、ノーベル化学賞を受けた福井謙一氏の墓を訪ねた。墓碑銘は自ら揮毫(きごう)した「智自在」。菩薩が獲得した力の一つで、この言葉を選んだ氏のひたむきな研究生活がしのばれた。
墓はその人の人生を表すものだ。考えてみたら、私も墓マイラーの素質十分だったりして。