じじぃの「科学・芸術_322_イギリス人気質」

Top 40 Songs of The Week - November 25, 2017 (UK BBC CHART) 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=DofwhZBe6qo

第4節 万有引力
ニュートンの没後4年目に生まれたキャヴェンディッシュ(H.Cavendish,1731-1810)は,万有引力定数Gを初めて測定した。
ところで,キャヴェンディッシュその人はイギリスの科学者の中で最高の金持ちだが,金銭には無関心で,ただそれによって自由に研究に打ちこめることだけを喜んだという。彼はたいへんな変わり者で,一生独身で過ごし,自分のした研究の多くを発表しなかった。1771年頃から電気力についての実験をし,クーロンがその法則を発見した1785年の10年ほど前に,今日「クーロンの法則」とよばれているものにたどりついていたようである。
http://www.keirinkan.com/kori/kori_physics/kori_physics_2_kaitei/contents/ph-2/1-bu/1-2-4.htm
『イギリス人のまっかなホント』A・マイオール、D・ミルステッド/著、玉木亨/訳 マクミランランゲージハウス 2000年発行
変人天国 より
ほかの国の人間から見ると、イギリス人はみんな「変わり者」である。一方、イギリス人にとって、「変わり者」というのは、じつに便利な概念だ。同胞の反社会液なふるまいを、そのひと言で説明できるのだから。そういうわけで、イギリス人はある程度まで、奇行を好ましいもの、さらにはすばらしいものと評価している。
奇行は、それだけでも奇行としてじゅうぶん成立しているが、そこに金と地位が加わると、さらに箔がつく。金持ち、もしくは有名であればあるほど、たんに頭のネジのゆるんだ人間とみなされる危険が減り、「変わり者」と認められやすくなるのだ。このとき大切なのは、スケールの大きさである。バーナース卿は、飼っている鳩が空を飛ぶときに虹みたいに見えるようにと、鳩をさまざまな色に染めさせた。こういった罪のない馬鹿げた行為は、「しょうがない」といった感じで、大目に見てもらえる。しょせん、相手は貴族なのだ。おなじように、校外の通りに駐車した車で暮らす年老いた女浮浪者は、かつて有名なコンサート・ピアニストとして鳴らしたことがあるがゆえに、その異常な行動を近所の人に容認してもらえる。
イギリス人の生活には「正しいふるまい」を定めた決まりごとが数多く存在するが、「変わり者」は事実上、それらを免除されている。ルールにはすべて例外がある、という文句の生き証人といってもいい。もっとも、例外として目をつぶってもらえるのは、本人がおのれの変人ぶりに気づいていない場合にかぎられるが。
冷たい融和策 より
帝国を築きあげた実績があるだけに、イギリス人にとって多民族社会とは、決して目新しいものではない。それゆえ、移民に対する態度も、そこそこ礼儀正しい――移民がイギリスでの生活にかろうじて耐えられる程度には。移民は多くの点で、子供とおなじ扱いを受けている。姿は見えていても、声は聞いてもらえない、というわけだ。
イギリスの大都市を訪れて、人種の多様性に気づかずにいることは難しい。英国の人口の6パーセント(約320万人)は少数民族で、そのうちの20パーセントはロンドンに暮らしている。
社会に貢献できるものを持っている移民は、たいてい歓迎される。だが、だからといって、すぐにイギリス社会の一員になれるわけではない。数日、数ヵ月、あるいは数年でイギリス人になれると思ったら、大まちがいだ。そんな簡単になれるのだったら、現在のこの厳密な意味でのイギリスとイギリス人を作りあげるのにかかった何千年という年月は、いったいなんだったというのか。
過激な人種差別主義者の不愉快きわまりない行動は、攻撃対象とされた少数民族ほどではないにせよ、イギリス人に大きなショックをあたえる。イギリス人は基本的に寛容な民族であり、少数民族に対しても、見下しながらも冷静に対応するのがふつうだ。自分たちも階級という小集団を形成しているので、異なる文化を持つ人びとが集団を作っても、でしゃばってこないかぎり、さほど脅威をおぼえることもない。イギリス人が少数民族に嫌悪感を抱くようになるのは、彼らが負け犬の地位から脱する気配を見せたときだけである。