じじぃの「科学・芸術_280_ユーロのルーツ」

The History of Europe: Every Year 動画 Youtube
https://www.youtube.com/watch?v=oWWLECJnylM
ヨーロッパ

現代のヨーロッパ文明と古代のギリシャ・ローマ文明の関係性とはなんですか? 2011/7/13 Yahoo!知恵袋
回答
西洋文明の源は、ギリシャ文明です。どちらも、脳の論理思考文明だからです。だから八頭身美人などの、ギリシャ文化の調和の美学は、脳を美的に刺激して遊ぶ、脳の頭の文化です。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1266486507
『ユーロ誕生への道』 山本武信/著 共同通信社 2000年発行
ユーロのルーツ より
最後の氷河期が終わりを告げた8000〜1万年ほど前、人類の生存環境は急激に変化した。
気温が上がり、降水量が増えた。地域によって暑くなり、乾燥し、雨量が多くなるなどの違いが生じた。海岸線が下がり、潮の流れが変わり、デルタ(三角州)が形成された。ヨーロッパ大陸の海抜が上昇し、英国が島として切り離されたのは約6500年前。ユーラシア大陸の西端にあるヨーロッパはこのころ、今日の地形になった。
歴史は人間によって創られるが、地形にも大きく左右される。ヨーロッパは特にそうだ。英国が近代から現代にかけて大陸封じ込め政策を取り、ヨーロッパ統合に消極的な姿勢を取るようになった遠因はこの自然変動にあったわけである。
ヨーロッパ人は新しい環境に適合し、生存能力を高めた。
石を単純な道具にする時代は終わり、さまざまな物資を研磨し、陶器を作り、粘土や木で家を造るようになった。家畜を飼い、植物を栽培することも覚えた。採集・狩猟経済は農耕・牧畜経済へ移行する。こうした文化の最古の痕跡はヨーロッパでは現トルコ領の小アジアギリシャクレタ島ルーマニアブルガリアなど各地に残っている。動物を描いたスペインのアルタミラ洞窟やフランス南部のラスコー洞窟の壁画もその1つだ。
ヨーロッパの言語系統であるインド・ヨーロッパ語族はドイツ語、英語、オランダ語などの「ゲルマン語族」、ロシア語、ポーランド語などの「スラブ語族」、フランス語、イタリア語、スペイン語などのロマンス語族」の3グループ。それにギリシャ語、ペルシャ語サンスクリット語などの古い言葉がある。先史時代に同一の共通言語を持つインド・ヨーロッパ語族がオリエント・地中海地域の開拓民族を駆逐し、各語族に分化していったのだ。その過程でアジア地域の単語がヨーロッパ言語に同化した。
民俗の移動と領土の拡大を促したのは農耕・牧畜である。
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農耕革命の波はオリエントから西方のヨーロッパへ広がり、BC4000年ごろ英国や北ヨーロッパにも伝わった。
BC3000年ごろ、ヨーロッパはまだ後進地域だった。
東方のオリエントに銅や青銅などの原料を提供する代わりに武器、繊維、陶器などを手に入れた。ヨーロッパという言葉がアッシリア語で暗いを意味する「Ereb」に由来するのは、このような東西文明の温度差とも関係がある。
ヨーロッパが他の文明圏と違うのは、早くから大陸全体に満遍なく人々が住み着いたことだ。民族紛争や国家の対立がどの文明圏よりも激しくなる一因はここにある。人口が多いと、どうしてもいざこざが増える。小さな家にたくさんの人が住んでいる光景を思い浮かべると分かりやすい。人口が多いというのは、ヨーロッパを統一しょうという意志と表裏一体にある。三方を海に囲まれた小さな大陸に多用な民族が密集しているからこそ、統一への機運が芽生える。ここにヨーロッパ固有の「分裂と統合の力学」がある。
この力学によって、文明の発展は他の文明圏に比べて速くなる。
オリエント文明に依存した西低東高の時代を経て、ギリシャクレタ文明の「銅器時代(BC2700〜1600)」が始まる。やがてエーゲ文明に代表される「青銅器時代(BC1600〜1100)」、さらに古代ギリシャに最後の移り住んだドーリア人の「鉄器時代(BC1100〜750」へと展開する。
青銅や鉄から武器、生活用具、工具道具、芸術品を作り出す技術は農耕と同じように、ギリシャ小アジアからイベリア半島へ広がる。続いてボヘミアライン川流域、北イタリア、最後に英国、アイルランドスカンジナビアに伝わった。
こうした技術の緩やかな伝播がヨーロッパ内の地域格差と文化の多様性を生む。
ヨーロッパ文明はこのように3000年前の鉄器時代とともに幕を開ける。3000年の歴史といっても、人類の歩みからすると2000分の1点にすぎない。しかし、それまで100万年かかった進歩のスピードは数百年の単位に縮まる。文明のスピードはどんどん加速し、現代では1年単位で多くのものが変わる。
スピードが速くなるというのは政治、経済、文化が拡大し、民俗間、文明間の不均衡が大きくなるということである。それは摩擦の温床になっている。
BC8〜9世紀ごろ、ギリシャの「暗黒の中世」は終わり、花が咲き乱れるようにギリシャ社会は活気づいた。
緩やかな共同体があちこちに生まれ、政治的集合体としての国家が誕生する。それが都市国家ポリスだ。ヨーロッパで最初に国家が興ったのはギリシャということになる。ギリシャに続くのはイタリア。その他の地域の国家形成は中世以降である。