じじぃの「科学・芸術_259_小説『金閣寺』」

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金閣寺 (新潮文庫) 三島 由紀夫 (著) Amazon
一九五〇年七月一日、「国宝・金閣寺焼失。放火犯人は寺の青年僧」という衝撃のニュースが世人の耳目を驚かせた。
この事件の陰に潜められた若い学僧の悩み――ハンディを背負った宿命の子の、生への消しがたい呪いと、それゆえに金閣の美の魔力に魂を奪われ、ついには幻想と心中するにいたった悲劇……。31歳の鬼才三島が全青春の決算として告白体の名文に綴った不朽の金字塔。

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『世界文学大図鑑』 ジェイムズ・キャントンほか/著、沼野充義/監修 三省堂 2017年発行
一方の手の指で永遠に触れ、一方の手の指で人生に触れることは不可能である 『金閣寺』(1956年) 三島由紀夫 より
第二次世界大戦にいたるまでの数十年間にわたって、日本は中国の一部を占領する攻撃的な軍事国家であった。文学作品に対する検閲は戦時中にさらにきびしくなった。戦争終結時にこうした規制がが緩和され、文学の声が開花した。
「第一次戦後派」(1946年〜47年に最初の作品が出版された作家)の多くは、おもに戦時体験をテーマとして書いた。
しかし、「第二次戦後派」(1948年〜49年)と「第三次戦後派」(1953年〜55年)が登場すると、作家たちを結びつける唯一のテーマは、彼らの活躍の原点たる自由だけとなった。その後、創造性と生産性のきわめて高い時代がもたらされた。
三島由紀夫(1925年〜70年)は第二次戦後派の作家で、『金閣寺』は三島の最高傑作と言われることが多い。『金閣寺』は事実に基づいてた話で、吃音がある無器量な若い僧が、あらゆる美を、とりわけ京都にある550年前に建てられた金箔の禅寺を憎悪するようになる。金閣寺は当初、生命と美のはかなさの象徴であったが、しだいに僧を脅かす存在となり、逃れられないものとして僧の思考を支配するようになる。『金閣寺』は、破壊をもたらす狂気についての力強い考察としてだけでなく、美しさそのものについての思索としても評価された。中でも格段の美しさを放つのは、三島の散文体である。