じじぃの「科学・芸術_252_バタフライ効果(カオス理論)」

Chaos and Butterfly Effect - Sixty Symbols 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=WepOorvo2I4
 The Butterfly Effect

カオス理論とバタフライエフェクトは別物ですか? 2014/4/26 Yahoo!知恵袋
回答
バタフライ効果というのは、ローレンツという気象学者がカオス理論の基礎となる力学の論文を発表した時の、タイトルに由来する。それ以前にも蝶の羽ばたきを喩えに用いることはあったのかもしれないが、一般化したのは、このときからだ。
どうして蝶なのかというと、このとき発表された、カオスの数的構造として現れるもの、、、ローレンツアトラクタというのだが、これが、蝶に似ているんだ。それと、カオス力学の初期値鋭敏性の意味を重ねあわせて、蝶という比喩が用いられたようだ。ちなみにこれはローレンツ本人ではなく、学会の主催者側が用意した講演タイトルだったらしい。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12128152737
寺田寅彦と現代―等身大の科学をもとめて』 池内了/著 みすず書房 2005年発行
寺田寅彦が提唱した新しい科学 (一部抜粋しています)
寺田寅彦が亡くなった1935年は、偶然にも、湯川秀樹原子核内部に働く強い力の存在と、その力が働く機構を明らかにした年でもあった。物質の根源を探る物理学の最先端が原子の中心部に位置する原子核に及ぶようになり、原子核を構成する基本物質とそれらの間に働く力の性質がつぎつぎと明らかにされるようになったのだ。その行き着いた先が原子核反応に伴って放出される原子力エネルギーの利用で、たった10年後の1945年に原子爆弾が製造されて広島・長崎に投下された。寺田寅彦が夢想だにしなかったことである。
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フラクタル現象を示す自己組織化臨界状態は、多くの例に見出されている。山火事の規模と頻度、地球に飛び込む隕石の大きさと頻度、発生する渦の大きさと数などである。さらには、人間が関与する株価の変動、都市の大きさ、論文の引用数などがあり、戦争の犠牲者の数とそのような戦争の回数の間にも同様な関係が認められている。国家間や民族観の対立は、一触即発の臨界状態に達しているのかもしれない。
「カオス」
初期条件の小さなずれが結果に大きな変化をもたらし、結果が予見できなくなるような場合を「カオス」と呼ぶ。いわば、まったく無秩序に見える状態へ移行するのだ。カオスになると、起こる出来事が途中のわずかな影響によって非常に敏感に反応して変化し、未来が全く予測できなくなってしまうことになる。パチンコ玉の運動がその典型である。パチンコ玉の運動は古典力学で記述できるが、玉の行き先は予言できない。始めの玉の突き方、途中の障害物との接触、弾に塗られた油膜の厚さなど、玉の運動を変える要素は数多くある。それらすべてを知り尽くすことがfrきないから、玉がどこへ行くか予測できないのだ。パチンコ玉のカオスは、私たちが運動の条件すべてを知り尽くすことができないために生じている。天気予報が100パーセントは当たらないのも、地震がどのように起こるかが分からないないのも、天気や地震がカオスであるためだ。
その象徴的な喩がバタフライ効果である。中国で蝶々(バタフライ)が飛ぶと小さな気流の変化が起こるが、それが周囲の条件によって増幅され、さらにその気流の変化が大きく増幅されて、最終的にハリケーンとなってニューヨークを襲うという例え話である。世界中の蝶々の舞を調べることができないから、天気予報は当たらないというわけだ。地震の場合も同じである。いろいろな力を受けて歪んだ岩石が、いつか破壊されて形態が変形することから地震が発生する。岩石にかかる諸々の力、岩石の組成と強さ、岩石のいたる所に存在する脆い部分、それらすべてがわからないと、いつ、どこで岩石破壊が起こるか予想できない。さらに、小さな破壊で始まっても玉突き現象で大きく発達する場合もある。バタフライ効果と同じなのだ。ちょっとしたゆらぎや偶然のノイズが系の状態を替えてしまうからカオスになるというわけである。
秩序状態から突然に無秩序へ転移する問題については、寺田寅彦も相当に注目していた。そもそも、カオスは20世紀早々にポアンカレによって提唱されたもので、彼は天体の三体問題(3個の天体が互いの重力で運動する場合)の解が混沌と混沌となってしまうことから、運動が無秩序になってしまうカオス状態が存在すると主張したのだ。寺田の時代にはコンピューターがなかったから、その重要性には気付かれていたが、それ以上進むことができなかったのだ。