じじぃの「人の死にざま_1763_テッド・リングウッド(地球科学者)」

 Ringwoodite

地球の内部に眠る「海」とは? 2014年06月13日 GIGAZINE
太平洋や大西洋などの「海」の容積は137京(10の18乗)立法メートルと推測されており、地球「上」の水分の97%を占めると言われています。しかし地球上の海水に負けず劣らず大量の水が、地球の内部にも存在していることが明らかになっています。
「地球の内部に水が存在するか?」という命題はかねてから科学者の間で議論があり意見が対立した問題でした。近年、その答えが解き明かされようとしています。
1969年に隕石の中から「ringwoodite(リングウッダイト)」と呼ばれるカンラン石が高圧で固められた鉱物が発見されました。リングウッダイトは1%を超える重量の水分を吸収・保持できるという特徴を持っており、地球内部のマントルにも含まれていると考えられてきましたが、地球での存在は確認されていませんでした。
http://gigazine.net/news/20140613-big-ocean-in-earth/
『地球はなぜ「水の惑星」なのか』 唐戸俊一郎/著 ブルー・バックス 2017年発行
コラム リングウッド より
ルフレッド・エドワード・”テッド”・リングウッド(Alfred Edward "Ted" Ringwood、1930〜1993)はオーストラリアが生んだ20世紀最高の地球科学者。
当時のオーストラリアでは、イギリスなどの国外で学位を取る人がほとんどでしたが、彼は例外的に、初等教育から博士課程までのすべての教育をオーストラリア国内で受けています(博士の学位をとったのはメルボリン大学で1気圧での実験に基づき、簡単な熱力学を使ってマントル中での相転移を講論しました)。学位取得後、アメリカのハーヴァード大学のバーチの研究室で高圧実験を学び、帰国後、設立されたばかりのキャンベラのオーストラリア国立大学に、高圧実験を主要な方法とした地球化学の研究室を作りました。この研究室で、地球深部の物質の性質を高圧実験によって調べ、地球や月の起源に関する研究を精力的に行いました。
地球のマントル鉱物の相転移のほとんどは、彼の研究室で発見されています。海洋地殻や大陸地殻の形成モデル、核の化学組成、マントル深部での相転移マントル対流に与える影響、月の形成モデルなど、彼が新説を提唱し、学界に大きな影響を与えたテーマは数え切れません。
マントル遷移層の鉱物、リングウッダイトは彼にちなんで名付けられました。この鉱物は多量の水を溶かしうるので、マントルでの水の重要な貯蔵庫と考えられています。
その業績に対して、米国地球物理学連合からのボーウィー・メダル、地球化学会からのゴールド・シュミット賞など数多くの栄誉を得ています。中でも、ガリレオ・ガリレイがメンバーであったイタリアの学士院(リンチェイ・アカデミー)から1991年に授与されたフェルトリネリの国際賞を、最も誇りにしていたと言います。この賞は、科学者だけでなく広い範囲の文化への貢献者に贈られるもので、リングウッド以前にはストラヴィンスキー(ロシアの作曲家)、トーマス・マン(ドイツの小説家)などが受賞していました。