じじぃの「科学・芸術_147_ペルー・日系大統領」

ペルー大統領選、ケイコ・フジモリ氏が敗北認める 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=U9MCfbJaDp4
ペルー日本大使公邸人質事件 1/4 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=6TIKb5WKlPw
フジモリ大統領とケイコ・フジモリ (1997)

ケイコ・フジモリ氏、ペルー大統領候補の横顔 2011年06月04日 AFPBB News
ペルーで初めての女性大統領を目指すケイコ・フジモリ(Keiko Fujimori)氏は弱冠36歳かもしれない――だが、彼女には、19歳のころから父、アルベルト・フジモリ(Alberto Fujimori)元大統領のファーストレディーを務めてきた経歴がある。
父のアルベルト・フジモリ氏は1990〜2000年までペルー大統領を務めた末、汚職スキャンダルでペルーを出国した。帰国後、人権侵害や汚職の罪で有罪判決を受け、いまも服役中だ。
ケイコ・フジモリ氏は、その父と距離を置くどころか、逆に選挙ポスターに父を起用し、父のかつての同志たちと活動をともにする。父フジモリ氏が獄中から娘の選挙活動を指揮しているのではないかとの懸念も聞こえてくるほどで、さらには、ケイコ・フジモリ氏が大統領に就任すれば、父に恩赦を与えるのではないかと危ぐする声もある。
だが一方で、アルベルト・フジモリ氏の支持者は現在も多い。ハイパーインフレを打開し、武装ゲリラを打破した人物として、いまもなお、有権者の5分の1に支持されている。ケイコ氏は、その父の人気を元手に、自らへの支援を広げてきた。
http://www.afpbb.com/articles/-/2803990?pid=7298800
『ペルーを知るための66章【第2版】』 細谷広美/著 赤石書店 2012年発行
「社会的包摂を伴う成長」へのウマラ左派政権の挑戦 (一部抜粋しています)
2011年選挙の争点は、新興国の資源需要を背景に鉱産品輸出と内需によって年率7%で伸び続ける成長の恩恵を、いかに人口の3割の貧困層に及ぼすかに絞られた。中道のトレド元大統領、カスタニェダ前リマ市長、トレド時代に首相を務めたクチンスキー元経済相に加え、元大統領の長女で弱冠35歳のケイコ・フジモリが参戦。左派からは「成長の恩恵を受けない貧困層の側に立つ」と主張するオジャンタ・ウマラ元陸軍中佐が再度立候補、多彩な顔ぶれとなり混戦が予想された。生長を押し上げながらも支持が伸びなかった与党アプラ党は独自候補を立てられなかった。
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決戦投票の争点と消去法で勝敗が決する構図は2005年選挙と重なった。前回決戦投票は第1期で失敗した前大統領と、急進的な元軍人の「ましな方」を選択する選挙と揶揄され、結局、「責任ある改革」を掲げたガルシアが保守層の恐怖心を動員して逆転勝利した。今回は「末期のガン患者とエイズ患者の戦い」という2010年ノーベル文学賞受賞バルガス・リョサが下した不適切な表現が、最悪の候補同士の戦いという雰囲気を代弁していた。
チャベスを信頼するウマラ候補は自ら軍事反乱を率いた上に、弟アンタウロも6年前武装蜂起して25年の刑に服していた。今回は穏健化を演出したものの経済運営の不安を払拭できなかった。1回目の投票で8%の差があるものの、前回の選挙でガルシアが演じた役回りをケイコが演じて逆転勝利する構図が、ケイコ陣営では想定されてはずである。基幹部門の国家管理を主張する左派が勝利すれば投資が敬遠され成長に影響が出るのを嫌う他候補の票がケイコに流れるというものである。今日の経済成長の基盤は父親が築いたと自負するケイコ陣営にとって経済モデルの継続性という点からすれば、他の中道候補の求める政策と一致するはずだった。だがケイコ候補は、良きも悪しきも元大統領の遺産に依拠せざるをえなかった。元大統領は、治安を回復し市場経済の基礎を築いたものの、強権政治を強め、人権侵害と腐敗容疑で25年の刑が1年前に確定したばかりだった。
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選挙運動の中でケイコ候補は、当選した場合に元大統領に恩赦を与えるとする公約を封印して反フジモリ感情に配慮した。そして「陸軍中佐」に対する有権者の恐怖心を動員して世論調査でがy句点したが、「独裁と腐敗にまみれた政権の復帰は許さない」とするバルガス・リョサをはじめとする根深い反フジモリ感情の壁を崩せなかった。トレド元大統領がウマラ支持を表明、最後はネガティブキャンペーンが選挙戦を支配し、フジモリ時代に強制避妊手術の犠牲となったとされる母親たちの存在が選挙戦を決した。
2回目の投票で23%から48%に票を上積みする善戦だったが、3%の僅差でケイコは敗れ、ペルー史上初の親子2代の日系大統領誕生、女性大統領誕生は実現しなかった。21世紀になって決戦投票で敗れた候補が次の選挙で当選している。善戦したケイコ・フジモリに5年後その可能性があるとすれば、それは父親の遺産から自由になった時であろう。