じじぃの「未解決ファイル_297_突然変異・抗体遺伝子改編酵素(AID)」

 ピロリ菌

ピロリ菌が胃がん作る仕組みを解明 京都大大学院医学研究科
胃にすみ着くピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)が胃がんを作る仕組みを、京都大大学院医学研究科の千葉勉教授(消化器内科)、本庶佑(ほんじょ・たすく)教授(免疫ゲノム医学)らのグループが解明、1日付の米医学誌「ネイチャー・メディシン」電子版に発表した。
本来は免疫細胞にしかないはずの酵素がピロリ菌の刺激で現れ、誤動作することががんの引き金になっているという。これまで知られていなかった新たな発がんメカニズムの解明として注目される。
ピロリ菌は胃粘膜の細胞の間に潜り込んで胃炎を起こし、さらに症状が進むと胃がんを起こす可能性が指摘されている。ピロリ菌が感染した胃粘膜の細胞では、その遺伝子の一部に突然変異が起きていることがわかっており、それが起こる仕組みが追究されていた。
そこで本庶教授らが注目したのが、99年に自らが発見したAIDという酵素。この酵素は、細菌などの多様な外敵に対して、様々な抗体を作るようにBリンパ球という免疫細胞の遺伝子に突然変異を誘導する働きを持つ。通常はBリンパ球でしか働かないが、遺伝子操作で全身で働くようにしたネズミでは、胃がんや肺がん、リンパ腫などを起こすことを明らかにしていた。
そのため、今回グループは、ピロリ菌に感染したネズミの胃粘膜細胞でAIDの有無を調べてみた。すると、本来ないはずのAIDがたくさん存在していることが判明。さらにその細胞では、がん抑制の作用を持つp53遺伝子など、複数の遺伝子に突然変異が起きていることを確かめた。さらにヒトの胃がん組織でもAIDがたくさん存在していることを見つけた。
http://medical-today.seesaa.net/article/37526267.html
『図解入門 よくわかる分子生物学の基本としくみ【第2班】』 井出利憲/著 秀和システム 2015年発行
突然変異を起こす遺伝子 より
DNAの損傷は日常的に起きている。しかし、損傷を修復するたくさんの酵素群があって、突然変異の発生はゼロではないものの、低頻度に抑えられています。つまり、DNAの傷の大部分はキチンと治すのが普通である。ところがなんと、細胞内には突然変異を積極的に起こす酵素があり、その遺伝子があるんです。遺伝子編集酵素(APOBEC)ファミリーです。DNAを編集するということは、別の見方をすれば、変異を挿入するということです。なぜそんなものがあるのだろう? 必要があるのだろうか? もちろん必要だから存在しているんです。
少なくともヒトを含めた哺乳類では、こういう酵素が必要なんです。なぜ必要か? ちょっとだけ前置きしまう。ヒトは何千万とも何億ともいわれる多種類の抗体(免疫グロブリン)を作り出すことができ、この抗体は病原菌やウイルスをやっつけたり、ときにはアレルギー症状を起こしたり、他人の臓器や細胞の移植に抵抗したりします。抗体を作り出す細胞はリンパ球です。
さて、遺伝子編集酵素のファミリーの一つであるAIDという遺伝子は、活性化Bリンパ球でだけ発現しています。AID遺伝子は、何千万とも何億ともいわれる多種類の抗体遺伝子を新たに作り出すために、抗体遺伝子に突然変異を積極的に起こしているんです。変異を積極的に起こすことで、非常に多種類の遺伝子を作り出す。といっても、やみくもに突然変異を起こしては困るんで、抗体遺伝子にだけ起こしてもらう必要があります。そういうことをやっている。この酵素が働かなかったら、十分な種類の抗体ができなくなる。
ヘリコバクターピロリ菌というバクテリアが胃に感染していると、胃がんが起きやすいことが知られています。このしくみは不明でしたが、最近、ピロリ菌が胃壁の細胞に働きかけて、なんと普段は決して発現することにないAID遺伝子に働きかけていることがわかってきました。こうして様々な遺伝子に突然変異を引き起こし、やがて遺伝子が活性化されることによって、細胞ががん細胞に変化するわけです。

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どうでもいい、じじぃの日記。
生物の進化を説明する際に、「突然変異」で説明されることが多くなった。
どういうきっかけで突然変異が起こるのか?
最近の研究で、ピロリ菌が遺伝子変異を起こして胃がんを引き起こしていることが分かった。
ウイルスとか、バクテリアなんかも突然変異と関係しているらしい。