じじぃの「海の健康状態は寄生虫を調べれば分かる・海は思考するのか?時空を超えて」

モ―ガン・フリ―マン 時空を超えて「海は思考するのか?」 動画 dailymotion
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寄生虫

時空を超えて 「海は思考するのか?」 2017年3月3日 NHK Eテレ
【案内人】モーガン・フリーマン
ある科学者は、水の分子の動きを研究。シンクロの選手にたとえながら、水は生きていると言えるのかを探る。
代謝」に着目し、海を巨大な生命体と考える生物学者もいる。もし海にも免疫システムがあれば、生き延びようという意思の元に、きわめて恐ろしい事態が引き起こされる可能性を指摘する。海に潜むさまざまな謎と絶大な影響力を探る。
http://www4.nhk.or.jp/P3452/x/2017-03-03/31/23911/1988016/
3月3日、NHK Eテレ モーガン・フリーマン 時空を超えて 「海は思考するのか?」 より
ニューヨーク大学教授・タイラー・ヴォルクは多くの生物学者と同様に代謝機能を持たない生物はいないと考えています。
代謝は生命活動において非常に能動的なプロセスです。
体内に摂取した特定の化合物を小さな物質に分解し配列し直して違う物質を構成する活動です。
地球上のほぼ全ての生物は代謝機能を持っています。
体内にある臓器は栄養分からエネルギーを抽出し残りを排泄します。
海は代謝を行う生命体であふれていますが、普通海そのものは生き物とは見なされません。むしろリサイクルを担う巨大な装置と考えられています。
海中の一部の物質は生命体による吸収と排出で何百回もリサイクルされ何度も生物の体内に取り込まれるのです。
しかし、海のリサイクルについて詳しく調べるとエネルギー上のつじつまが合いませんでした。
海中の生物は生と死を通じて炭素リン窒素硫黄などの栄養分を再利用しています。
ある生物が別の生物を食べ、それをまた別の生物が食べたり栄養分として新たな命を育んだりします。ほぼ完璧な再生システムです。
ヴォルクは栄養分がどの程度有効に再利用されているかを分析しました。
その結果、全てが100%リサイクルされているわけではないことが判明しました。
計算の結果海中の生物的循環は実に優れたものではありますが完璧ではないことが分かりました。
生きるためには新たな物質の補充が必要なのです。
ヴォルクはこの不完全な循環こそ海が巨大な生命体であり代謝機能を持つことの証しだと主張します。
海も食物を摂取しているというのです。
河口は海の口と考えることができます。海を構成する非常に重要な物質が流れ込む入り口なのです。
海は川から入ってくる食物を代謝した後老廃物を海底へと排出します。
老廃物の一部は海底の堆積物に埋もれてしまい、微生物や寄生虫によって再利用されることはありません。
ヴォルクは海中の生物はそれぞれ海という一つの生命体の臓器のような働きをしていると考えています。
ヴォルク、「魚類と哺乳類を含むグループは人間でいえば呼吸器系の役割を果たします。酸素と炭素を取り込んでそれを二酸化炭素へと変えるのです。海藻や植物プランクトン二酸化炭素を取り込んで酸素に変えます。細菌類で構成されるまた別のグループは窒素を処理してアンモニアに変えます」
ヴォルクにとって海中の生物を海の代謝器官と見なすのは単なる例えではありません。
地球上の化学的な変化に海がどのように反応するかを知る手段かもしれないのです。
工業化が大気中の二酸化炭素にどう影響するか知るためにはまずは炭素の循環を理解しなくてはなりません。
するとそこにはリンを運ぶリン酸塩窒素を運ぶ硝酸塩など他の栄養分も関わってきます。
これらが相互に固く結び付き一つの巨大な超代謝システムを形成しているのです。
これぞ超個体です。
ヴォルクは海が超個体だとしたら生物と同様に危険に対して何らかの反応を示すと考えています。
人間が海を汚染してしまっているのは確かです。
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もし、海の「健康状態」を知る術があれば破滅から逃れられるかもしれません。あとどのくらいの時間が残されているのでしょうか。
生物学者のデビッド・マルコリエーゼは複雑な生態系を独自の視点で研究しています。
マルコリエーゼ、「一つの都市はそれ自体が一つの生態系です。このジオラマ鉄道模型)を生態系と考えれば、列車は栄養素を運ぶ食物連鎖と言えます」
列車が必要とする人のもとに食料を運ぶように、生態系の中で生物から生物へと栄養を運ぶのが食物連鎖です。
もし、列車が止まってしまったら、食料は底をつき町全体が崩壊の危険にさらされます。ジオラマを走る列車の様子は一目で分かりますが、海の中で起きていることとなるとそうはいきません。
海の生態系は極めて複雑です。
あまりにも大きいうえに多様な生態系で形成されているので全体を把握することは難しいでしょう。
しかし、マルコリエーゼは海の健康状態を知る手掛かりがあると言います。
寄生虫です。
寄生虫は宿主の体に卵を産みつけ繁殖します。中には宿主に苦痛を与えるものや宿主を死に追いやる寄生虫もいます。
しかし、マルコリエーゼにとっては貴重な存在です。
寄生虫が忌み嫌われる存在なのも無理はありません。釣り上げた魚から寄生虫が出てきたり、タラの腹を開いたら中に寄生虫がいたら魚を食べたくなくなります。
個々の人間や動物にとって、寄生虫は病気などを引き起こす有害な存在です。
しかし、多様な寄生虫がいることは生態系が健全である証しです。
さまざまな種をつなぐ食物連鎖なくして、寄生虫は育たないからです。
まず、アザラシの胃の中で寄生虫の成虫が産んだ卵が海に放たれます。
寄生虫の卵は排泄物に混ざって海底に沈み、やがて幼虫が孵ります。甲殻類が幼虫を摂取し、その甲殻類はより大きな甲殻類に。さらに魚に食べられます。
この魚はアザラシの食料となります。そして、アザラシの胃の中に宿った寄生虫は繁殖し卵を産みます。卵は排泄物に混ざって海の中へと戻ります。
こうしたサイクルが繰り返されます。
寄生虫は複数の種の食料となり時に海中を何千キロも移動しますが、その途中で宿主に何か問題が起きれば死んでしまいます。
生物多様性の豊かな生態系では複雑なライフサイクルを繰り返す寄生虫をより多く目にします。
マルコリエーゼは寄生虫の個体数調査を通じて生態系を分析しています。
生態系全体を見られなくても、食物連鎖によって栄養素が適切に循環しているかどうか分かるからです。
それぞれの光が寄生虫の種類を表していると思って下さい。
緑の光と赤い光は違う種類です。線路の上で止まる度に寄生虫は宿主を変えながら徐々に食物連鎖の上位へと進んでいきます。
もし、こうした寄生虫が消滅し始めたら、それは食物連鎖が途絶え生態系全体が崩壊に向かっている危険を表しています。
マルコリエーゼは寄生虫を調べることで、カナダの川や湖の生態系を見守っているのです。
そしていつか、海でも同じ調査に挑みたいと言います。

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どうでもいい、じじぃの日記。
海の「健康状態」を知るにはどうしたらいいんでしょうか。
多様な「寄生虫」が存在すれば、健康体なんだそうです。