じじぃの「人の生きざま_730_フェン・チャン(分子生物学・ゲノム編集)」

 ゲノム編集

Jennifer Doudna, Emmanuelle Charpentier, Feng Zhang

Challenging Lander's CRISPR history On Science Blogs
At Fortune, Laura Lorenzetti explains details of the patent dispute, incuding why the US Patent Office did something it hardly ever does: launch an official “interference” proceeding. Which means that “a panel of three patent judges will determine whether Zhang should hold onto the rights to the foundational CRISPR patent, as well as other patents related to the technology.”
http://blogs.plos.org/onscienceblogs/2016/01/29/is-landers-revisionist-crispr-history-sexist/
科学イノベーション阻害する特許法 (1/3ページ) 2016.4.20 SankeiBiz
科学界で今最も大きな話題は、画期的な遺伝子編集技術「クリスパー」の特許をめぐる争いだ。
この技術は多くの科学上の大発見と同様、世界中のさまざまな大学や研究機関の複数のチームによって段階的に発見され、ほぼ同時期に2つの研究チームがメカニズムの解明に成功した。一つは米カリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ博士らの率いる研究チーム、もう一つはフェン・チャン博士率いるマサチューセッツ州のブロード研究所のチームだ。
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/160420/cpd1604200500009-n1.htm
フェン・チャン Feng Zhang Chem-Station
フェン・チャン(Feng Zhang, 1982年xx月xx日(中国生)-)は、アメリカの生化学者、脳神経科学者である。マサチューセッツ工科大学、ブロード研究所、McGovern研究所 助教授。
http://www.chem-station.com/chemist-db/2016/09/feng-zhang.html
『ゲノム編集の衝撃―「神の領域」に迫るテクノロジー NHK「ゲノム編集」取材班 NHK出版 2016年発行
起爆剤、クリスパー・キャス9〜爆発的広がりをアメリカに追う (一部抜粋しています)
世界を変える力を秘めたクリスパー・キャス9。今、さらなる改良が世界中で行われている。
その中で、最も結果を出している一人がフェン・チャン博士だ。クリスパー・キャス9がヒトやマウスでも働くことを確認した研究者である。
「来年にもノーベル賞を取るかもしれない」「メールで依頼すると、面識のない研究者にも気前よくゲノム編集のツールを送ってくれる」「間違いなく天才だが、飾らない気さくな人柄」……。彼を知る日本の研究者たちの口を突いて出るチャン博士のイメージを一言で言えば、「すごいけどいいヤツ」。しかも、聞けば30代前半の若者というではないか。
チャン博士に会ってみたい。私たちはアメリ東海岸・ボストンに向かうことにした。ボストンにあるジェネラル・エドワード・ローレンス・ローガン国際空港から車で1時間。市内を流れるチャールズ川の南、赤れんが造りのヨーロッパ風の建物が並ぶ旧市街からほど近くに、チャン博士の研究拠点はあった。
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チャン博士が世界の大きな注目を集めることになったのが2013年2月。科学雑誌『サイエンス』に掲載された論文の中で、クリスパー・キャス9を使用すれば、熟練した科学者でなくともヒトやマウスの細胞の遺伝子を、自由自在に、ねらって切断できることを示した。2013年以前に誕生していたクリスパー・キャス9だが、ヒトや動物の細胞でも使えることが大きな注目を集め、この論文をきっかけに世界中の科学者の間で大ブレークすることになった。このため、世界では「クリスパー・キャス9は2013年2月に誕生した新しい技術」と指摘する科学者も多い。
そもそもいかなる経緯で、チャン博士はゲノム編集の研究に携わるようになったのか。学生時代の研究にさかのぼって話してくれた。
「ゲノム編集に興味を持つようになったのは、大学院生のときです。当時、私は動物の脳を調べるための技術開発を研究していました。その研究テーマの延長線上に、ゲノム編集があったのです」
それまで動物の脳の動きを調べるには、死んだあとに脳を解剖する方法のほか、生きた動物に電気刺激を加える方法などが知られていた。しかし、それらの方法でわかることには限界があった。チャン博士は、スタンフォード大学のカール・ダイセロス博士の研究グループに参加して、動物の脳を、生きたまま直接調べる新たな方法を模索していたのだ。そして、研究グループは光を使って脳内のある特定の細胞群をコントロールし、生きている状態での動物の認知力やそれら細胞の機能を解明できることを発見した。それを基に開発したのが、「オプト・ジェネティクス」と呼ばれる技術だ。動物の脳内の特定の神経細胞群内に、「光に反応するタンパク質をつくる遺伝子」を直接組み込むというものだ。うまくその遺伝子を組み込めれば、光を照射して光反応タンパク質を活性化させ、動物の脳の働きを検知できたり、さらには脳の働きをもコントロールできたりするという画期的な技術だった。
しかし、この研究において取りも直さず課題となっていたのが、どうやって遺伝子を入れ込むか、ということだった。そこでチャン博士らが辿り着いたのが、ゲノム編集の利用だった。彼らはすでに開発されていたゲノム編集の第1世代ZFN(ジンクフィンガー・ヌクレアーゼ)を使えば」その課題を解決できるかもしれないと考えた。しかし最初に試したZFNは、使いこなすのが非常に困難であることが判明した。それで、より簡単に使えるゲノム編集の第2世代ターレンや第3世代クリスパー・キャス9を検討することになったのだ。