じじぃの「人の生きざま_703_エリザベス・ロフタス(認知心理学者)」

エリザベス・ロフタス: 記憶が語るフィクション 動画 TED
https://www.ted.com/talks/elizabeth_loftus_the_fiction_of_memory?language=ja
Elizabeth F. Loftus

Elizabeth Loftus: How reliable is your memory? With Arabic Subtitles
Elizabeth F. Loftus (born Elizabeth Fishman, in 1944)is an American cognitive psychologist and expert on human memory.
She has conducted extensive research on the malleability of human memory. Loftus is best known for her ground-breaking work on the misinformation effect and eyewitness memory, and the creation and nature of false memories, including recovered memories of childhood sexual abuse.
http://www.civicegypt.org/?p=54464
『封印された科学実験』 科学の謎検証委員会/編 彩図社 2016年発行
ウソの記憶が真実になる ロフタスの偽記憶実験 (一部抜粋しています)
記憶というものは本当に、過去の出来事がそのまま記憶されているのだろうか? こう考えた研究者は決して少なくない。フロイト自身も、記憶を夢と現実が混合した曖昧なものと考えていた時期があったぐらいだ。
そして中には、記憶は不確かで信用できないと考え、実験によって自説の正しさを証明した研究者もいたのである。
それが、戦後アメリカの女性心理学者エリザベス・ロフタスだ。ロフタスは、記憶がそのまま保存されるとする従来の説に、異論を唱えた研究者の一人である。彼女は記憶と想像の間を仕切るカーテンはごく薄いものに過ぎず、僅かなノイズで簡単に変化すると考えていた。
彼女のこの理論は、依頼人を守る弁護士たちの注目を集めており、協力関係を築いていた。記憶に関するトラブルは法廷でひっきりなしに起こっていたため、彼女は自身の理論を証明するためにも、弁護士団体への協力を惜しまなかったのである。
そんな中、ロフタスは1990年に起こったある事件をきっかけにさらなる実験を決意した。
90年代初頭のアメリカは、セラピストの治療で虐待の記憶を思い出した子どもが親を告発する事件が多発していた。その結果、何十万人もの年老いた親が裁判所に連行されていたのだが、大半は虐待の証拠が何もなく、子どもの証言だけで有罪となっていたのである。
記憶の曖昧さを主張するロフタスからすれば、こうした状況は冤罪を生み出しかねない危険なものに映った。そこでロフタスは、ジョージ・フランクリンの弁護士に協力を申し出る。ジョージは20年以上前に娘の友人を強姦殺人したという容疑で逮捕されたのだが、物的・状況証拠はなく、ジョージは娘の記憶を基に告発されていた。
ロフタスは証言台で、娘の記憶は治療の過程で作られた虚偽のものであると訴えた。しかし結局、裁判官らは彼女の主張には耳を貸さなかった。ジョージは有罪となり、ロフタスは自身の理論を全否定されたのである。
この事件をきっかけに、科学的実証がなければ理論の正統性は認められないことを彼女は改めて痛感。そこで裁判から3年後の1993年に、記憶の不確実性を実証する実験が開始されることになったのだ。
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これら偽記憶の実験結果によって、裁判所はようやくロフタスの主張を受け入れた。記憶頼りの裁判は行なわれなくなり、客観的証拠のない告発は却下されるようになったのである。
その後、虐待疑惑で有罪となった親達の再審が始まり、ジョージを含む被告の多くが無罪を勝ち取った。一説によると、告訴された親の7割ほどが無実だったとされる。