じじぃの「人の生きざま_697_スティーヴン・キング(小説家・キャリー)」

Best of: Stephen King's IT 動画 YouTube
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映画 「キャリー」

キャリー (新潮文庫) スティーヴン キング、永井淳 amazon
スティーヴン・キングStephen King)。
1947年メイン州生れ。貧しい少年時代から恐怖小説を好む。高校教師、ボイラーマンといった職業のかたわら執筆を続け、’74年に『キャリー』でデビュー。好評を博し、以後『呪われた町』『デッド・ゾーン』など、次々とベストセラーを生み、“モダンホラーの帝王”と呼ばれる。全米図書賞特別功労賞、O・ヘンリ賞、世界幻想文学大賞ブラム・ストーカー賞など受賞多数。
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『第四解剖室』 スティーヴン・キング/著、白石 朗/他訳 新潮文庫 2004年発行
第四解剖室 より
およそ作家たるもの、いつかは”早すぎる埋葬”テーマに挑戦するべきだと思う。というのも、これほどまでに人口に膾炙(かいしゃ)した恐怖もそうないからだ。わたしがもし7歳前後のころ、いちばん恐かったテレビ番組といえば、<ヒッチコック劇場>であり、その<ヒッチコック劇場>でも格段に恐ろしいエピソードといったら――この点では友人たちと意見の一致を見ていた――それはジョセフ・コットン演じる主人公が交通事故で瀕死の重傷を負う回と決まっていた。どのくらいの重傷かといえば、医者たちがまだ生きているという診断をくださないほどの重傷。医者が心臓の鼓動さえ感じられないほどだ。そしていよいよ医者たちが検屍解剖をしかけたそのとき――いいかえるなら、内面ではまだ生きており悲鳴をあげている主人公を、そのまま切りひらこうとする寸前――主人公はやっとの思いで涙をひと粒流し、おのれの生きていることを周囲の人々につたえる。
これはじつに感動的な番組だったが、あいにく感動的な話はわたしの得意とする分野ではない。このテーマの作品を書こうと思いいたったとき、自分が生きていることをつたえるための、もうひとつの方法が――ここに”モダンな”という形容詞を追加するべきでしょうか?――ふっと頭のなかに浮かんできて、それがこの作品として実を結んだ。

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『フューチャー・オブ・マインド 心の未来を科学する』 ミチオ・カク/著、 斉藤隆央/訳 NHK出版 2015年発行
念力 より
科学者だけでなく起業家までもが、ブレイン・マシン・インターフェースBMI)に注目している。彼らは、こうした絢爛たる発明の多くを、ビジネスプランの一部に必ず含めたがっている。BMIはすでに、脳波センサーで扱うビデオゲームや玩具という形で、若者市場に入っている。バーチャルリアリティーでも現実世界でも、心で物をコントロールできるわけだ。2009年には、ニューロスカイ社が、最初の玩具マインドフレックスを上市した。これは、脳波センサーを使ってボールを動かし、迷路を抜けさせるというものだ。マインドフレックスの脳はデバイスを装着して意識を集中すると、迷路に仕組まれたファンの回転数が増して、小さなボールがルートに沿って進むのである。
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こうしたテクノロジーは、戦争をいっそうひどいものにするとも考えられる。いつの日か、白兵戦はすべて、ハイテク兵器をごてごて装備したサロゲート同士でおこなわれるようになるかのかもしれない。生身の兵士は、何千キロメートルも離れた安全な場所にいて、民間人を巻き添えにすることなどほとんど気にかけず、最新のハイテク兵器で撃ちまくる。サロゲートで戦えば、兵士自身の命は守られるとしても、恐ろしい人的・物的被害がもたらされるおそれもあるのだ。
さらに大きな問題は、この力が強大になりずぎて、ただの人間には制御不能になるおそれもあることだ。小説『キャリー』(永井淳訳、新潮社)で、著者のスティーヴン・キングは、つねに仲間からいじめられる少女の世界というものを探っている。少女は仲間外れにされ、その人生は侮辱と屈辱の連続だった。しかし、少女をいじめていた連中は、彼女についてひとつ知らないことがあった。少女は念力の持ち主だったのだ。
いじめに耐え、卒業パーティーでドレスを着た全身に豚の血をかけられて、ついに少女は「キレる」。己の念力をすべて呼び起こしてクラスメートを捕らえ、ひとりずつ殺していく。そして最後の身振りで、学校全体を焼き払うことにする。だが少女の念力はもう強大すぎて制御が利かなくなっていた。しまいには、少女は自分が起こした火に包まれて死ぬのだ。