じじぃの「人の生きざま_688_松村・保広(がん・免疫学者)」

SPAGO EPR effect 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=5TvdiTqw7Rk
 松村保広 (epoc.ncc.go.jp HPより)

 EPR効果 (kusuri-jouhou.com HPより)

松村保広博士が「トムソン・ロイター引用栄誉賞」受賞 2016年9月21日 国立がん研究センター
トムソン・ロイターは、松村保広(国立研究開発法人国立がん研究センター(理事長:中釜 斉)先端医療開発センター (センター長:落合淳志)新薬開発分野長)に2016年の「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を授与することを発表しました。
【出身】熊本県人吉市
【生年月日】1955年1月20日 61歳
【研究分野と業績】
(1)がんと血液凝固:EPR効果の発見とその作用機序としての内因系凝固亢進の副産物Hyp3-Bradykininの発見。不溶性フィブリン上の凹み構造の発見と、その抗体の樹立。CAST(Cancer Stromal Targeting)療法の提唱。
(2)抗体研究:CD44変異体V2の発見とその抗体樹立。新規大腸がん特異分子の発見とその抗体樹立とヒト化抗体の作製
http://www.ncc.go.jp/jp/information/press_release_20160921.html
『新しい薬をどう創るか―創薬研究の最前線』 京都大学大学院薬学研究科 ブルーバックス 2007年
体の中の薬の動きを自由にあやつる (一部抜粋しています)
ガン細胞は正常組織とはずいぶんちがった特徴を持っています。1つは正常組織に比べて血管壁の構造が非常にルーズで、大きな物質でも簡単に通り抜けられるという特徴です。もう1つは、通常細胞にはリンパ系と呼ばれる組織から物質が洗い流されるときに利用される道筋がありますが、ガン組織にはリンパ系がまったくない、またはほとんど発達していないという特徴です。
この2つの特徴のため、大きな物質がガン組織のところだけに分布してそこに長時間にわたって留まることになります。これをEPR効果(enhanced permeability and retention effect)と呼びます。血管透過性と組織での滞留性が大きくなっていることによる効果という意味です。
低分子(小さいサイズ)の抗ガン剤は正常組織とガン組織を無差別に攻撃してしまいますが、このEPR効果の考えに基づけば、大きな物質を抗ガン剤の運び屋として利用すれば、ガンの組織だけに届けられるのです。これがガン組織への受動的ターゲッティングの原理です。
この原理に基づいて、高分子や微粒子をキャリア―に利用した抗ガン剤のDDS(ドラッグ・デリバリー・システム)がすでにいくつか実用化されています。日本で開発されたスマンクス(SMANCS)は、抗ガン剤のネオカルチノスタチンをスチレン・無水マレイン酸共重合体に結合させたものを、リピオドールと呼ばれる油性造影剤に分散させたDDS製剤です。