レトロウイルス
エイズ治療薬に日本人に多い成人T細胞白血病(ATL)の癌細胞を殺す働き発見 京都大チーム 2015年04月28日 ウイズ矯正歯科
よく使われるエイズ治療薬の一つが、日本人に多い成人T細胞白血病(ATL)のがん細胞を殺す働きがあることを京都大のグループが見つけた。今のATLの治療は薬も骨髄移植も効果が限られる。グループは、この薬が新たな治療法になるか確かめる臨床研究を今秋にも始める。
http://blog.goo.ne.jp/withmac/e/b1f9afa6015e4b2633780951a32181bb
ロバート・ギャロ コトバンク より
ロバート・ギャロ(Robert Charles Gallo、1937年3月23日 - )はアメリカのウイルス学者である。
イタリア系移民の孫。2年間のシカゴ大学での研究生活を経て、1965年米国国立衛生研究所(NIH)に入所。’72年腫瘍細胞生理学研究部長となり、ヒト白血病ウイルス、エイズ・ウイルスや治療法の研究に従事。’84年4月エイズの病原体は「新種のレトロウイルス(HTLV3)」であると発表。以来、エイズ・ワクチンの開発に取り組む。
一時、エイズ・ウイルスの第一発見者をめぐる米仏間の論争にまき込まれた(’94年仏側勝利で決着)。’93年よりメリーランド大学教授。’98年エイズ治療に有効な2種類の新薬を開発中であることを発表。’91年自分の半生記「ウイルスハンティング―エイズウイルスとの邂逅」を出版。
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『パラサイト日本人論―ウイルスがつくった日本のこころ』 竹内久美子/著 文春文庫 1995年発行
”友”となった白血病 ウイルスから日本人を探る (一部抜粋しています)
それにしてもATL(成人T細胞白血病 Adult T-cell Leukemia)はなぜ九州、沖縄地方に多いのだろう。いや、本当にこの地域に密集していると言える。原因として思い浮かぶのは、まずは温暖な気候、マラリアのように何か昆虫が病原体を媒介する? いや、患者は九州、沖縄の他に四国の太平洋側、紀伊半島の南部、隠岐、三陸海岸などに見つかるからやはり暖流の関係か……という程度のことである。
しかし人間以外の動物では、ウイルスが原因となって白血病が起こることが既に知られていた。ニワトリ、マウス、ウシ、ネコ、サル……いずれもウイルスによって白血病が引き起こされる。ウイルスは、レトロウイルスと呼ばれる特殊なタイプのものもある。レトロウイルスはRNAを遺伝情報とし、RNAからDNAへという、普通ではありえない方向への情報転写が可能である。そのために逆転写酵素なる酵素を持っている。こうしてこのウイルスは、宿主のDNAへ、自身のRNAから逆転写したDNAを組み入れる。そうすることで自らを生き永らえさせているウイルスなのである。ATLも、もしかするとウイルスが引き起こしているのかもしれない。そうだとすればレトロウイルスが……。
日沼頼夫氏は、元々EBウイルスというガンウイルスを専門としている人である(EBウイルスはレトロウイルスではない)。1980年、熊本大学から京大ウイルス研究所へ移籍したばかりの氏は、勧められてこの幻のウイルス探しを開始する。そして分子生物学、生化学などのエキスパートとの共同研究の末、わずか数ヵ月の後にATLの原因ウイルスを発見し、翌81年には学会発表の運びとなったのである。
それはやはりレトロウイルスだった。人間で発見されたレトロウイルスとして当時2つ目、しかし実質的にそれは初めてのものだった。
というのも1980年に、アメリカのR・C・ギャロが人間のレトロウイルス第1号を発見したと発表した。それは彼が、菌状息肉症という皮膚に腫瘍ができる病気の患者(西インド諸島出身の黒人)から採取したものだった。ところが後になってわかったことには、その患者の病名は菌状息肉症ではなく、他ならぬATLだったのである。
無理もないことで菌状息肉症の腫瘍細胞も、ATLと同じく成熟したT細胞である。そうかと思うとATLの場合も、皮膚に発疹や腫瘍状のものが出て来ることがある。両者を見分けるのはなかなか難しいことなのである。
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結局、ウイルス発見については時間的にはギャロが先だが、正確さにおいては日沼氏らが勝る。専門書をひもとくと、発見者の欄には1980年、ギャロ、日沼の順で並んでいるのである。ATLウイルスの正式名は human T-cell leukemia virus' 略称HTLVとすることで落ち着いた(但しこの本ではATLウイルスと表現することにする)。
ちなみに、その3年後の1983年、人間のレトロウイルス第2号として発見されたのがエイズウイルス(HIV)である。人間のレトロウイルスとして見つかっているのは今のところこの2つだが、このときにもギャロは発見劇に関わっている。但し、またしてもゴタゴタ付きだ。