じじぃの「人の死にざま_1702_デヴィッド・リカード(経済学者)」

The Economists Adam Smith, David Ricardo & Thomas Malthus 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=0gHQlh9nKVA
デヴィッド・リカード コトバンク より
デヴィッド・リカード(David Ricardo、1772年4月19日 - 1823年9月11日)
イギリス古典派経済学の最大の理論家。ユダヤ人の証券仲買人の息子として生れ、11歳から2年間オランダの商業学校に留学して帰国、14歳から父の仕事を手伝い 21歳で独立、のち公債引受人として巨富を得、1819年に事業を引退、同年よりポーターリントン選出下院議員。
労働価値説(labour theory of value コトバンク より
商品の価値は、その商品の生産に費やされる社会的必要労働量により決定されるとする学説。等価交換の説明もこれを基礎にしてなされる。労働を富の父であるとした W.ペティに始り、A.スミス、D.リカードらにより発展させられ、K.マルクスによってそれまでの理論的欠陥が克服されて完成をみた。

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『数学嫌いな人のための数学―数学原論 小室直樹/著 東洋経済新報社 2001年発行
数学と経済学 経済理論を貫く数学の論理 (一部抜粋しています)
先生 そうです。「自由市場はすべてよし」というのが古典派の教義(ドグマ)です。その対偶(contraposition)をとれば、「すべてよしと言えないのは自由市場ではないからだ」となる。つまり、「何かよからぬことが起きるのは、市場が自由ではないからである」となります。 「規制」(regulation)とは、市場の自由に規制という制限を設けて自由ではなくすることである。だから、経済に、何かよからぬことが起きれば、よからぬことを止めるためには、規制を撤廃せよ、という要求になります。
生徒 なーるほど。まことに明快ですね。論理学の練習問題みたいな話ではありませんか。それにしても、「対偶」ってこんな凄い威力があったんですか。驚きました。 でも、この議論、古典派の学説を前提にしていたんでしょう。「自由市場はすべてよし」って、でも、この学説、正しいんですか(真なのか、成立するのか)。
先生 そこが1つのポイントなんです。アダム・スミスが拓いて、リカードの代に目の眩(くら)むような理論的高みに達したんです。
生徒 「目の眩むような理論的高み」ですって。いくらなんでも本当ですか。
先生 あなたはリカードの理論を知らないからそんなことを言うんです。知ったら、言いすぎなんて言わないことうけあいです。
 リカードの大発見
 比較優位説(comparative advantage)なんて驚くべき大発見です。それだけでも、リカードは世界史に名を残す値打ちがある。その他、差額地代説、これは限界効用説、限界生産力説のはしりです。魁(さきがけ)ではありません。労働価値説も、リカードで一応完成されてそっくりマルクスに引き継がれたんです。シュンペーターは言いました。「マルクスは、リカードの、餌、釣針、釣竿まで飲み込んでしまった」と。「労働価値説」なんていうと、日本ではマルクスの名で知られていますが、マルクスも、労働価値説では、リカードの丸呑みだと言うんです。
生徒 へえ、リカードって、そんなに偉いんですか。では、この人の仕事のなかで、特に注目すべきは何ですか。
先生 「セイの法則(Say's law)」をはっきり採用したことでしょうな。
生徒 「セイの法則」って何ですか。
先生 「市場に出した品物はみんな売れる」という法則です。
生徒 え! 何ですって?
先生 もう1回言います。「セイの法則」とは、供給すれば売れる。Demand on supply! ということです。すなわち、供給はそれ自体需要を作る。Supply ctreates its own demand. ということです。
生徒 そんなことってあるんですか。それはいわば売る人の理想であって、滅多に叶えられることはないでしょう。だってそうでしょう。市場に出した品物がみんな売れるんだったら誰も苦労しません。呑気に暮らしていればいいことです。でも、ヘンだなあ。セイという人は正気の沙汰ではないんじゃないですか。
先生 いや、セイという学者、偉い人なんですよ。リカードは、セイの法則を彼の経済学で採用しました。そして極めて重要な法則であると評価しました。(David Ricardo, On the Principles of Political Economy, and Taxatio, 1817. リカード『経済学および課税の原理』)
生徒 リカードほどの経済学の達人がセイという人をそんなに高く評価するとは、これは驚きですね。