じじぃの「人の生きざま_659_ジョセフ・ルドゥー(神経医学者)」

A Portrait of Stalin: Mind Control 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=ChNG3L5p3Vc
三つ子の魂百まで

ジョゼフ・ルドゥーの本、どれを読む? 文系の自然科学本の書棚
●ジョゼフ・ルドゥー profile
1949年生まれ、ニューヨーク大学神経科学センター教授。
http://www.science-bookshelf.com/review/author_guide-joseph_ledoux/
NHKスペシャル 「キラーストレス第2回 ストレスから脳を守れ 〜最新科学で迫る対処法〜」 2016年6月19日
【ゲスト】林修小島瑠璃子高須光聖放送作家)、古川聡(宇宙飛行士) 【専門家】熊野宏昭(早稲田大学教授)
子どもの頃に受けたストレスが強いほど、大人になって脳の扁桃体が大きくなる傾向があることがわかりました。
脳にあふれたストレスホルモン(コルチゾール)が原因となり、脳の海馬の神経細胞にダメージを与えていたのです。
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160619
『危険な脳はこうして作られる』 吉成真由美/著 新潮選書 2005年発行
独裁者の脳は如何にして作られるか (一部抜粋しています)
先ず、スターリンの人格形成に影響を与えた、その子供時代を振り返ってみよう。
1879年12月21日、スターリン(ヨシフ・ヴィッサリオノヴィチ・スターリン)はロシア南部グルジア地方ゴリで生まれた。父母共に貧農の出で、当時の人々の4分の3がそうであったとうに文盲である。父親は貧しい人々の靴屋として、母親は近隣の洗濯女として働いていた。
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スターリンの子供時代で最も括目(かつもく)すべきは、父親の想像を絶する程の暴力と、母親の無力であろう。無学、粗暴でアルコール依存症であった父親は、常に理由無く、容赦なく息子に暴力をふるまった。妻ももちろんその暴力の被害者であった。
「少年時代に父親から受けた理不尽で激しい暴力は、彼を父親と同じ冷酷無慈悲な人間に育てた。自分に従順を強いる人間というのは、全て自分の父親のような存在に思えたので、自分より少しでも上のランクの者達に対して、自ずと強い反感を抱くようになった。幼少の頃より、人生唯一「最大の目的は復讐であった」(スターリン一家をよく知る Jossif Ireamashviliの回想録より)
反抗できない、自分の愛情の対象であるはずの父親から受けた、予測不可能で全く不条理な暴力が、徹底して冷酷無慈悲な、無意識下の彼の性格形成を決定付けた事は、疑いの余地が無い。
子供時代にこういう極端な虐待を受けた人間は、大人になって可成りの確立で自恃から虐待者にまる強制収容所も最も優秀な看守というのは、子供時代にひどい虐待を受けた人間達だったというのも頷ける。
強い感情を作った記憶というものは、左右の側頭葉内部にある扁桃体と呼ばれるアーモンド大の部位に記録される。ここに入った情報は、後の前頭葉からの指令で抑圧する事はできても、一生決して消し去ることができないということがJ・ルドゥーの研究で知られている。従って、幼児期にの虐待の記憶は、一生消える事がない。
しかし、虐待された子ども全てが、大人になってから虐待者になるのではなく、遺伝的に、神経伝達物質分解酵素、モノアミンオキシダーゼA(MAO A)の働きが活発に行われ脳の場合、外界からの強い負の刺激に対して余り過敏にならず、結果、虐待環境で育っても、自ら虐待者にならずに済む。(A.Capsi et Al.,2002)