じじぃの「人の生きざま_625_多湖・輝(心理学者)」

多湖輝さん逝去 享年90歳 総計1200万部ベストセラー「頭の体操」著者 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=_n2g_7TulZo


多湖輝氏が死去 90歳、「頭の体操」の著者 2016/3/15 日本経済新聞
ベストセラーのクイズ本「頭の体操」の著者として知られる心理学者で千葉大名誉教授の多湖輝(たご・あきら)氏が6日午後0時53分、間質性肺炎のため東京都中央区の病院で死去した。90歳だった。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG15H5F_V10C16A3CZ8000/
文藝春秋 2016年5月号
蓋棺録 「多湖輝(たごあきら」 (一部抜粋しています)
心理学者・多湖輝は、意表を衝くパズルとクイズの本で注目され、本のタイトル『頭の体操』は流行語になった。
多湖の本にはこんなふうな問題が出てくる。
「急な坂道を前引き後押しして荷車を動かしている2人がいた。前の人に『後ろの人はあなたの息子さんですね』と尋ねると『はい』と答えた。ところが、後ろの人に『前の人は君のお父さんだってね』と聞くと『とんでもない』と言う。2人の関係は?」
1926年(大正15)年、スマトラに生まれる。父は三井物産をやめてゴム園を経営したが失敗して帰国。兄2人は金のかからない軍の学校に入って将校になったが、多湖は一浪して憧れの急性府立高校に入学する。同級生に音楽史家となる皆川達夫がいた。勉強法を工夫して今度はストレートで東京大学に進んだ。
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千葉大助教授のとき編集者が「直観力」のテーマで本を頼みにきたので、クイズ形式でやってはどうかと提案し、66(昭和41)年に『頭の体操』を刊行。ベストセラーになって10ヵ月で128万部を超えた。
思いがけない問題の設定を意外な解答で熱心なファンがつき、次々と続編が刊行された。20年後に第16集で総計700万部に達し、第23集まで続いて1200万部を越え、いまなお読み継がれてている。
私的な生活でも楽しさを重視し、奇術を趣味とし、落語を楽しみ、自宅に友人を集めてダンスをした。昼間には旅行先で購入した土産物がならび、「こうした物を見ていると、新しい発想が生まれるんです」と語っている。
千葉大時代に附属小学校の校長も併任して、子供を育てる心理学を論じ多くの提言をおこなった。「あれもだめこれもだめより、あれもよいこれもよいも」「子供ものときから社会や世界について語らせる」「挨拶をさせて、他人の子供も叱るべきだ」などなど。
90(平成2)年には『60歳からの生き方』を刊行して、これもベストセラーとなる。この本では退職した後の自立した老後を説いた。「愛情は親から子への一方通行ふだから、子も親を愛すると期待しないほうがいい」。
自分の老後についても、しっかりと計画を立てた。早くもから介護付きのマンションに入り、仏教について学んで得度を受け菩提寺を決めた。
「私は85歳までを目標に調整したもので。適当に体に悪いものを食べました」。
冒頭のクイズの答えは「母親と息子の関係」。