じじぃの「人の死にざま_1638_モーリス・シャトラン(電子技術者・神々の遺産)」

Nibiru, The Sumerians & The Annunaki Part 1 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=-4oF7mWIESQ

Maurice G Chatelain (1909 - 1995) San Diego, CA
http://www.ancientfaces.com/person/maurice-g-chatelain/85264997
『新怪奇現象41の真相』 ASIOS/編 彩図社 2016年発行
太陽系を司る!? ニネヴェ定数の謎 より
【伝説】
1849年、イギリス人考古学者オースティン・ヘンリー・レヤードは、古代メソポタミアの都市ニネヴェの遺跡から2万2000枚の粘土板を発見した。これは紀元前4000〜2000年にかけてのこの地域に住んでいたシュメール人に起源を持つと考えられることから、「シュメール文書」と呼ばれている。
その粘土板の中に奇妙な1枚があった。そこに刻まれた文字を翻訳してみると、「195兆9552億」という途方もない数になることが分かったのだ。これは何を意味するのか。
この謎を解いたのは、NASAの宇宙工学技師モーリス・シャトランである。彼はこの数字が、1日の秒数(8万6400秒)で割り切れ、22億6800万日(約620万年)というきりのいい数字になることに気づいた。
シャトランはさらに計算を進め、この日数が地球の歳差周期(945万日)の正確に240倍であることや、太陽系内のすべての天体の周期の正確な倍数になっていることも発見した。
「いままでのところ、惑星、彗星、衛星の公転、会合周期で、22億6800万日というニネヴェ大常数の、少なくとも少数4桁までの、正確な分数でないようなものは、1つも見つかっていない」(モーリス・シャトラン 『神々の遺産』)
すなわち、太陽系内のすべての天体の周期を掛け合わせたものがニネヴェ定数であり、太陽系は正確に22億6800万日で元の位置に戻るということなのだ。
また、我々の太陽系は恒星シリウスの周りを80万年かけて公転しており、同時に2億2350万年かけて銀河の中心に対して公転している。これはニネヴェ定数の正確に36倍である。銀河系の中を公転している太陽の運動も、ニネヴェ定数に従っているのだ。
【真相】
この説を唱えたモーリス・シャトランのことを「NASAの研究者」などと書いているブログや書籍が実に多い。これは間違いである。
問題のニネヴェ定数について紹介している『神々の遺産』は1975年の著書だが、シャトランはこの本の中で、自分の経歴を詳しく書いている。それによれば、彼はアポロ計画当時、ノースアメリカン航空のダウニー工場で宇宙通信関係の仕事していただけで、NASAに在籍していたことはない。彼を「NASAの研究者」などと紹介している者はみんな、誰かがネットにアップした文章をコピー&ペーストしているだけで、自分では『神々の遺産』を読んでいないと考えられる。
この奇妙な数字に最初に言及したのは、考古学者ヘルマン・V・ヒルプレヒトが1906年に出版した『ニップル寺院文書館出土の数学・度量衡・年代表』という本の中だった。ニップルというのは古代バビロニアの年。つまりこれはニネヴェで出土したものではなかったのだ。
ニネヴェ定数の信者たちは、粘土板に「195955200000000」という数字が刻まれていたと思っているかもしれないが、それは違う。当時のバビロニア人は60進数を用いていた。1から59までの数字に、それぞれ異なる59種類の文字を割り当てたのだ。
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惑星や彗星や衛星の公転周期がすべて、ニネヴェ定数を割り切れるというのは本当だろうか? もしそれが事実なら、なぜシャトランはそれらの数字の一覧表を載せなかったのだろうか?
それはシャトランの言葉がまったくでたらめだけらである。実際に『理科年表』を元に、太陽系の惑星の公転周期の日数を求め、それで22億6800万日を割ってみた。結果はきれいに割り切れた数字は数字はひとつもない。唯一、金星の数字(1004万8737)が1000万に近いが、それ以外は何かの近似値ですらない。
現在でもなお、ニネヴェ定数の信奉者は大勢いる。どうやら彼らのうちの誰一人として、こんな簡単な計算をやってみて、シャトランの主張を検証してみようとは思わなかったらしい。
さらに現代のニネヴェ定数の信奉者たちは、シャトランの嘘の上に、新たな嘘をつけ加えている。たとえば太陽系がシリウスの周囲を80万年で公転しているという話である。
そんな事実はない。シリウスと太陽の距離は8.6光年(81兆キロ)、太陽と海王星の距離(45億キロ)の1万8000倍も離れている。シリウスの質量は太陽の2倍と推測されているが、それでもこの距離だと、シリウスが太陽に及ぼす引力は、太陽が海王星に及ぼす引力の1億6000万分に1にすぎない。天体同士が引力で束縛し合えるような距離ではないのだ。実際にはシリウスと太陽は宇宙の中で別々に運動しており、秒速19キロ(光速の0.000063倍)の相対速度ですれ違いつつあることが分かっている。