じじぃの「人の生きざま_587_カイ・シーグバーン(物理学者)」

未来を拓く夢の光XFEL −X線自由電子レーザー 動画 YouTube
https://www.youtube.com/watch?v=NeWKc3yenyw
Kai Siegbahn

SACLAを用いた固体の光電子スペクトルの時間分解計測に成功 2015.01.08 理化学研究所
理化学研究所は、X線自由電子レーザー(XFEL)施設「SACLA」から得られる硬X線とフェムト秒光学レーザーを用いたポンプ・プローブ型の硬X線光電子分光により、固体試料構成元素の内殻光電子スペクトルの時間分解計測に成功しました。
今回空間電荷効果の影響が極めて少ない固体試料構成元素の内殻光電子スペクトルを得ることに成功し、それらが大型放射光施設「SPring-8」で得られる光電子スペクトルに比べて同水準であることを確認しました。従来困難であった固体の深い層にある構成元素の選択的かつ時分割的調査や、電子状態の過渡的な超高速現象の観察が可能になります。今回の成果は、超高速で起こる電子状態の変化をピコ秒以下の時間分解能で追跡する能力を秘めており、光誘起相転移現象、物質の界面における電荷移動現象や、動作中の半導体バイスの電子状態を観察するオペランド計測など、広い応用が期待できます。
https://www.rikaken.co.jp/omiyage-news/2015/01/3317
カイ・シーグバーン ウィキペディアWikipedia) より
カイ・シーグバーン(Kai Manne Borje Siegbahn, 1918年4月20日・ルンド - 2007年7月20日)は、スウェーデンの物理学者。1944年にストックホルム大学で博士号を取得し、1981年に光電子分光法の研究により、ニコラス・ブルームバーゲン、アーサー・ショーローとともにノーベル物理学賞を受賞した。シーグバーンは、高分解能の光電子分光法によって化学分析を行う手法を開発した。ウプサラ大学のオングストローム研究所で働いていた。
父親のマンネ・シーグバーンも1924年ノーベル物理学賞を受賞している。

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『すごいぞ! 身のまわりの表面科学 ツルツル、ピカピカ、ザラザラの不思議』 日本表面科学会/編 ブルーバックス 2015年発行
ノーベル賞】 カイ・シーグバーン――高分解能の光電子分光法の開発 (一部抜粋しています)
カイ・シーグバーンは光電子分光法の開発に多大な貢献をしたスウェーデンの物理学者です(画像参照)。シーグバーンは1944年にストックホルム大学で博士号を取得し、ウプサラ大学のオングストローム研究所で光電子分光法の研究に従事しました。光電子分光法とはX線や紫外線を固体資料に照射し、固体表面から飛び出す電子(光電子といいます)の運動エネルギーを分析(電子分光)する表面分析法で、元素組成などを調べることのできる手法です。固体中を運動する電子は、光によって高いエネルギーに励起されると、固体中の原子とぶつかりながらエネルギーを失ってしまうので、光電子は固体の内部から飛び出すことはできず、表面層からしか外に飛び出すことができません。したがって光電子分光は表面分析にとって最適なツールになります。しかも光電子は注目する元素、たとえば炭素電子がどんな原子と結合するかによって、その結合エネルギー(どのくらい強く原子殻に引きつけられているかを表すエネルギー)が大きく変化します。これを化学シフトと呼びます。
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シーグバーンは多くの弟子を育て、スウェーデン光電子分光で世界をリードする国にしました。今でも光電子分光のための装置はスウェーデン製が多く使われています。これらの業績によって、1981年にノーベル物理学賞を受賞しました。実は父親のマンネ・シーグバーンもX線分光の業績によって、1924年ノーベル物理学賞を受賞しています。